障害者施設での虐待を描いたTVドラマ「聖者の行進」
今回見た映画はこれ
TUTAYAの発掘良品のの中の一つでレンタルしました。
なかなか最初は映画の中に入りにくかったのですが、後半になるにつれ、これはひょっとしてものすごい作品では!?と思い始め引き込まれましたね。ただ、一般受けする内容ではなく、また視聴者をほとんど意識していないのではないか、と思うぐらい俳優陣がリアルにしかもそれぞれが半端なく闇の部分をさらけ出してくれるので、入れる人にはたまらない作品かもしれません。
タイトルの「こわれゆく女」とは主人公ニック(あのコロンボ刑事のピーターフォーク)の妻メイベル(ジーナ・ローランズ)のことです、映画のレビューをいくつか読んでみると、邦題の「こわれゆく」で精神的に壊れていく、というイメージに取られがちですが、どうも見ている限り「凶器」と言うよりも「対人関係の障害」に近いようです。原題も「A Woman under the influence」であり、特別精神的な狂気を表しているとは思えなかったのでうすが・・・。
ま、それはともあれ、妻のメイベルが対人的な場面で奇異な行動や発言が目立ち、感情的に不安定なわけです。しかし見ているとピーターフォーク演じる夫のニックもかなり不安定な人で、お互いがお互いを刺激し合いながら、しかし他に行くところもなく離れられない、と言う印象を受け、いわゆる共依存的な機能不全家庭なのです。しかもどうやら妻の発言の裏を見ると、メイベルと実父の間になにやら性的な関係の匂いが・・・・。隠された過去、隠された問題、隠された敵意・・・。
そしてその夫婦には3人の幼い子どもがいるのですが、その子どもの表情や態度の方にその影響がすべて及んでいる様子がありありと。「(母メイベルの不安定な言動に)何だか良くわからないけれど、お母さんのことを愛しているよ」
「世界で最高のお母さんさ」などという発言を子どもの方から母親に語り掛けるシーンや、メイベルの奇妙な言動に怒り殴りかかる父ニックに、子どもたちが必死で抵抗して母を暴力から守り抜こうとするシーンなど、何とも現代の機能不全家庭のリアリティがほうふつとされるのでした。
でもこの映画は1974年の作品なのです。アメリカはすでにこの当時から家族の病をはらんでいたのでしょうね。そして今日本でも同様の問題が、メディアを賑わせています。そういう意味で、とても現代を象徴する作品であるとともに、「事実は小説より奇なり」というように、この作品を鏡にしてさらに深刻な現代と言う時代を見つめなおさずにいられない作品なのでした。
◇◆◇ 時代を映す映画も
映画「「クワイエット・ルームにようこそ」:おもしろうて やがて悲しき映画かな
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映画「西の魔女が死んだ」:気が付いたからには目をそらすことはできない「自分」
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映画「マーサ、あるいはマーシーメイ」:マインドコントロールから抜け出す苦しみ
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「hikikomori」を描いたドキュメンタリー映画を紹介します。
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