ドキュメンタリー映画「徘徊」:認知症の母と娘の日々を描いた作品
今回はこれを取り上げました。
映画館では見逃したのでぜひDVD見ようと思いましたが、期待にたがわぬ力作、というか傑作でした。
ただ、漫画の原作とは監督のスタンスが違うのがとても印象に残りましたね。
タイトルの「ヒミズ」とは「日不見」と書いてモグラの意味だと言うことです。暖かい日を浴びることがかなわずに、自分のこころの中に沈静していく存在、と言う意味かもしれません。
メタバレしても困るのでストーリーをまとめるわけには行きませんが、家族から疎外され、拒否され、あるいはもっと積極的に抹殺されようとしている似たような境遇の二人の中学生、住田祐一(染谷将太、力演!)と茶沢景子(二階堂ふみ、彼女も素晴らしい!)をめぐるストーリーですが、そこに東日本大震災の風景がオーバーラップし、「人が絶望の中でも生きぬくためには何が必要か」「生きると言うことの意味」などについて考えさせられる映画でした。
以前この障害と人生を考えさせられる映画<30>で「光の方へ」と言う映画を取り上げましたが、この「ヒミズ」という映画も同様に、人間が生きるためには暖かい光=父親・父性と暖かい大地=母親・母性に包まれて心の中に芽生え育つ安心感や自信や自尊心が必要なのだと改めて感じさせられます。
しかし、それがかなわない時、人を信じられなくなり、自分が生きている意味さえわからなくなってしまいます。主役の住田祐一を演じた染谷くんは、そういう「凍りついたまなざし」を見事に表現していました。大変だったでしょう。
まだ見ていない方はどうぞご覧下さい。
冒頭に原作とは監督のスタンスが違う、と書いたのは、時期的に重なったと言う意味もあるのでしょうが、基本的に東日本大震災の被災者と重ね合わせて、絶望の中を生き抜く人間への希望を描いているというところです。
私は涙なしには見られませんでしたが、最後のシーンで、「住田、がんばれ!」「住田、がんばれ!!」とふたり叫びながら走っていくシーンにはとても共感するものがありました。(ちなみに原作はそういう結末ではありません。しかし訴えたいものは同じかもしれませんが)
虐待やDVやいじめなどさまざまな厳しい状況で生き抜いているみんな、
阪神大震災や東日本大震災、あるいはさまざまな状況を生き抜きつつあるみなさん、
そしてあなたや、私、
どこかの誰かに無責任に言われるのではなく、自分自身に向かってこころの中で叫ぼう。
「みんな、がんばれ!」
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