ドキュメンタリー映画「パンク・シンドローム」:これは元気をもらえる映画ですよ!!
今回紹介するDVDは、これ!
マイ・ルーム [DVD]
メルリ・ストリープに、若き日のレオナルド・デカプリオそして円熟のダイアン・キートンとくれば悪い映画になるはずがないですが、それにしてもこの「マイ・ルーム」は素晴らしく人生の光と影を考えさせられる映画です。
始まりは、あのジェームス・ディーンをほうふつとさせるようなヒリヒリした野犬のような精悍で孤独な若き日のレオナルド・ディカプリオ演じるハンクが自分の家に火を放ち放火していくシーンから始まります。
ハンクは母親のメルリ・ストリープ演じるリーと何かにつけて素直になれずいがみ合う親子。父親は幼い頃に分かれたのか、ハンクはそのまだ見ぬ父親を理想化し追い求めていきます。
リーは屈折したハンクの態度に、手を焼き扱いかねて半ば心理的なネグレクト状態。
お互いに相手に対して愛を求めて、飢えた野良犬のようなギスギスした関係なのです。
そこへリーの姉であるダイアン・キートン演じるベッシイから連絡が入り、リーとハンク、そして弟のチャーリーはベッシーの待つ実家へ向かうのですが、そこには寝たきりの父マーヴィンと、陽気だが体の不自由な叔母ルースがいました。ベッシーは父と叔母を一人で介護していたのです。しかし実はベッシーの体はその時すでに白血病に蝕まれていたのでした。
説明すると長くなってしまいますが、この映画を観ていて私が感じたことは、「人生とは対立する二つのベクトルから成っている」と言うことです。
つまり「姉と妹」「親と子」「愛を求める人と愛を与える人」
ハンクとリーは常に相手に愛を求め、ベッシーは常に父と叔母に愛を与えています。
ある意味三者ともそれぞれ極端なほど正反対の生き方をしているわけです。
それ以外にもこの映画であらわされている対立項は「男と女」「老若」「長女(男)次女(男)」などなど。
私たちの周りにもこういう対立項と言うのは常に存在します。そしてそのどちらの項に立つ者も、自分だけがすべてだと思っている。相手の立場に立つことは、理屈の上ではともかく感情的にはなかなかできることではありません。
しかしどちらか一方に偏ってしまうあり方は、やはりどこかに無理がある、どこかで一面的な極端さを産み出してしまう。ユングは人間のこころに一面的な偏りが生じた時、人間の心は補償的な働きを産み出す力を備えており、心の全体性を取り戻すことができるのだ、と指摘しました。
私はこの映画を見ていて、心からその意味を実感できたような気がしています。
そしてそれは人間のこころと言うものに対する希望につながるのだろうと思うのです。
まだご覧になっていない方はどうぞ。
人生に対する希望につながる映画の一つだと思います。
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