大切なことは絵本から学んだ＜101＞　三本足の犬と過ごしたあの日々そして、「あの路」

“この路に、いつから、三本足が住み着いたのか？
だれもしらない。
いつのまにか、三本足はやってきて、
勝手に自分の路にしてしまった。
三本足は、どうして三本足なのか？
誰も知らない。
それに、三本足はそんなこと、ぜんぜんきにしない”

「三本足」とは、文字どおり三本の足しかない野良犬のことです。

いじめにあって学校に行かなくなった「ぼく」は、いつも三本足と一緒でした。

“だれもいない路に、ぼくたちの声が響いた。
僕が転んだら、三本足が乗っかってくる。
今度はぼくが三本足に乗っかる”

ところが、いつも仲良く過ごしていた三本足の姿が見えなくなります。
一生懸命探すぼく。

すると三本足は無残な姿で・・・・

やがて時がたち、「ぼく」は成長し、自立していきます。
しかし僕の心の中には、いつもあの三本足が・・・

“たくさんの日々を歩いている。
たくさんのひとのなかを、ずっと、ひとりで、歩いている。

大丈夫さ。
目をつむれば、あの路がある。
きみが僕を見ている。
ぼくは歩き続ける。”

多感な時期を三本足とともに過ごした思い出が、ぼくのこころの支えになっているのでした。
いせひでこさんの繊細な淡いタッチの絵に思わずこころ魅かれる絵本です。

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