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コラム
映画「西の魔女が死んだ」:気が付いたからには目をそらすことはできない「自分」
2015年8月12日 公開 / 2015年8月18日更新
梨木香歩さんの同名原作を映画化した名作「西の魔女が死んだ」
原作も素晴らしかったけれど、この映画の画面から立ち上ってくる雰囲気は、なんとも不思議で魅力にあふれています。
テーマは思春期に不登校になった女の子の内面の成長を描いています。
「内面の成長を描いています」なんて簡単に書きましたが、これは一人の少女や一つの家族の物語ではなく、もっと大きな普遍的なテーマにつながっているのです。
それは言葉で言えば「魂と身体」の問題。
思春期に入り、子供たちは自らの身体と出会うわけですが、出会うという限り逆に出会う主体としての「自分」に気づかざるを得なくなります。
「自分」って一体何?
これまで身体と魂なんて渾然一体で意識することさえなかったのに、ふと気が付くと自分を見つめる自分がいて、「これって一体どうなっているんだろう?」と思うのは当たり前でしょう。
そんな時あなたはどう答えますか?
私は思うのですが、そういう時の答えは、別に科学的に正しくある必要はないのではないでしょうか。
その疑問を解決する方法が魔法であろうとも、ファンタジーであろうとも、相手が胸にストンと落ちればよいのです。正しいかどうかなんて問題ではない。
ですから、13歳の少女には13歳なりの、14歳の少女には14歳なりの、もっと言えば人によって答えは違うのが当たり前なのでしょう。
この映画では主人公の少女だけでなく、その母親、そして「魔女」と呼ばれている祖母にとっても、自分の身体=現実を生きている実感と、魂=こころが生まれてくる泉の源泉、つまり「自分」というものが生まれてくる生き生きとした存在の源のバランスをどう取ればよいか。それぞれが悩み葛藤をしています。
娘も母も祖母も、みんないつもそのバランスをどうとるか、で悩み、それぞれがそれぞれだけの答えを作り上げていきます。
一人にとっての答えが他の人には通用しない。少なくとも、この問題に気が付いてしまったからには、自分で自分だけの答えを探し出さなければいけないのですね。
さて、私はどういう答えをさがしだせるだろう?
自分のこころに逆らわず、生き生きとみずみずしい日々を送りつつ、現実の人間関係や日常の茶飯事に対応していく、そういうバランスの落とし処を見つける営みが「生きる」ということなのかもしれません。
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