障害者施設での虐待を描いたTVドラマ「聖者の行進」
今回見たDVDはこれ
これは、まぁ、なんというか、「よくここまでアメリカの学校教育の実像を描き切ったなぁ」と言いたくなるほどの作品。
とにかく、暗い。重い。希望が見えない。
舞台はアメリカのある最底辺の学力の荒れた高校。そこにある臨時教師が派遣されてきます。
その教師のヘンリーを演じているのが、「戦場のピアニスト」で主役を演じたエイドリアン・ブロディ。
この人の憂いと哀しみをたたえた眉毛の下がり具合が、すべてを語っていると言っても言いすぎではないかも。
生徒も、保護者も、教師もみんな自分の問題でアップアップしているアメリカの病んだ現代社会の中で、
学校はどうあるべきか、人は人に対してどう関わることができるのか、という極めて現実的で困難なテーマです。
で、内容はと言うと、最底辺校で荒れに荒れたハイスクールの中で、
教師がこれまた自分の問題を抱えながらもなんとか踏ん張っているのです。
しかし次第に、自分の問題が抱えきれなくなってきた時に、生徒達に対する余裕がなくなり、
それによってさまざまな問題が起きてきます。
ヘンリーが一人語りをしています。
“だれでも問題を抱えている。夜は家に持ち帰り、朝は職場に持っていく。
その無力感と認識と胸のざわめきは、漂流する時の感覚だ。
ブイのない海で、自分が救命する立場だと思っていたのに・・・”
ヘンリー自身、現在認知症の祖父を抱え、7歳の時に母親の自殺の第一発見者となったため
その時のトラウマがフラッシュバックされて苦しんでいます。
女性のカウンセラーも無気力で夢も希望も持てず、
毎日流されているような生徒たちに向き合い続けてきましたが、
いよいよ我慢できずに、ある生徒に怒鳴ってしまい、
救う立場に徹しきれなかった自分を悔やみ絶望してしまいます。
“毎日目の前で生徒たちが人生を台無しにしていく。
流すのは簡単よ、向き合うのは勇気がいるもの!
あんたには向き合う気概がないわ!出てけ!!とっととうせろ!!”
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・そして、その彼女を慰めるのが教務部長の男性。
“君は良くやってきたよ。私がなぜ、安定剤を飲み続けていると思う?
・・・薬を飲まなきゃ半数の親をブチ殺し、生徒を窓から投げ落としている・・・。”
“君は最高さ。
この仕事で最悪なのは感謝されないことだ・・・
私が君に感謝しよう。
誰にもできない仕事をしてくれて、ありがとう”
みんなが誰かにささえられなければやっていけない時代。
教師とかカウンセラーとかも同じです。他人ごとではありません。
◇◆◇ こんな作品もありますよ
映画「明日、君がいない」:若者のリアルな姿を描いた作品
http://mbp-japan.com/hyogo/officekishii/column/51645/
映画「少年は残酷な弓を射る」:少年はどうしてこんな残虐な行為をしたのだろう?
http://mbp-japan.com/hyogo/officekishii/column/51890/
アニメ映画「Colorful(カラフル)」:思春期の少年が人と自分を信じられるようになるまで
http://mbp-japan.com/hyogo/officekishii/column/51903/
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