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コラム
映画「精神科医ヘンリーカーターの憂鬱」:精神科医は自分を治療できるのか?
2015年7月13日
今日見たDVDはこれ
今回の作品は、大切な伴侶や母親を亡くし、残された夫や娘が苦しむ姿を描いた作品です。
一つだけ特徴的なことは、このDVDで亡くなった方々はいずれも「自死」であった、と言う点です。
精神科医ヘンリー・カーターの元へ父親から一人のクライエントが紹介されます。
彼女は高校生なのですが、どうやら母親を自死で亡くしたらしく、
母親から最後に彼女へ書かれた手紙の内容を読む勇気がありません。
当然毎日の生活は彼女にとって生気あるものではなくなります。
しかしその理由を誰にも打ち明けることができず、苦しみます。
ところが彼女の治療に当たる肝心のヘンリー・カーター自身、
実は妻に自死されその現実をどうしても受け入れられないのでした。
ヘンンリーは現実逃避とした薬物とアルコールに依存していく毎日を送るようになっていくのでした。
ケヴィン・スペーシーが実に見事にこの苦しむ精神科医の役柄を演じてくれます。
精神科医としてのヘンリーは、かつて自分が書いてベストセラーとなった本をCD化する仕事にも就くのですが、
その本のタイトルは「悲しみとつきあうには」「幸せとは」。
こういうことってあるでしょうね~
学問的にあるいは啓発本なんかを書いて小銭を稼いでいる自分自身が皮肉なことに悲しみと付き合えず、
幸せの意味が分からなくなる・・・
他人のことなら客観的にいろいろと言えても、いざ自分の問題となったらそう簡単に行かない・・・。
何だか精神医学や臨床心理に関わっている者を皮肉っているような。
苦しむヘンリーはどうしても妻の姿が浮かんできてしまう寝室のベッドで寝ることができず、
どんどんすさんだ日々を送るのですが、そこへさまざまな人々が関わってきます。
強迫性障害や不安障害に苦しむ男性や、脚本家として芽が出ずに苦しむ男性、
さらに夫との関係が壊れて苦しむ女優・、アルコールやセックス依存に苦しむ老俳優・・・
みんな自分を支えてくれる人を必要としている.
しかし本人が立ち直ろうという気持ちになっていない時、
カウンセラーにしても精神科医にしても基本的に無力なのです。
結局は自分で立ち直る覚悟を決めるしかないのだよね・・・
他人ごとじゃないよな・・・と考えさせられたDVDでした。
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