大切なことは絵本から学んだ＜92＞　絵本「でんでんむしのかなしみ」

新美南吉さんと言えば、国民的な児童文学作家・絵本作家ですが、その新美さんの「でんでんむしのかなしみ」
という絵本を取り上げました。

皇后さまが小学生時代の疎開先でよく思い出していた物語だ、として有名になりましたね。
この絵本には、「詩集の序」も含めて５編の短編が含まれています。
その中でも「でんでんむし」の出てくる作品が２つあります。
「でんでんむしのかなしみ」と「でんでんむし」です。

前者は
〝いっぴきの　ででんむしが　ありました
　　　あるひ　その　でんでんむしは　たいへんな　ことに　きが　つきました〟
実はそのでんでんむしは、じぶんのせなかのからのなかに　かなしみが　いっぱいつまっていることにきがついてしまったのです。
〝わたしは　もう　いきていられません〟
と言うでんでんむしとお友達のでんでんむしのお話です。

生きていくことの哀しみに突然気が付いてしまった時の驚きが伝わってきます。
思春期でしょうか。

後者は逆に母親と子供のでんでんむしのお話で
希望に満ちて新しい世界に目覚めていく子供の喜びが描かれています。

なんともやさしく純粋な言葉使いと物語で、読んでいるだけで心がキリッと引き締まってきます。
あぁ、こういう世界もあったんだ、と
大人になって思い切り世俗にまみれた私などは、うれしさと懐かしさで胸がいっぱいになるのでした。

♡♡♡　こんな大人の絵本も素敵！♡♡♡
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