大切なことは絵本から学んだ ④ 「ムーミンのともだち」
さて、今回紹介するのは「おおきな木」
最近、村上春樹さんの訳で新版がでましたが、私の持っているのは ほんだ きんいちろうさん の訳のほうです。
言うまでもなく、シェル・シルヴァスタインさんの有名な一冊です。
この本を読むと、自分のその時その時の年齢によって思い浮かぶシーンが違っていることに気がつきます。
帯には「3才から99才までよみかた100通り」と書かれていますが、まさにそのとおりですね。
実は私の子供がこの度二人とも家庭から独り立ちすることになりました。
もうそういう年齢になったのだなぁ、という感慨と、これからは夫婦二人だけになるのだなぁ、という寂しさと、親として責任をある程度果たせたのかな、という安堵感と、これからどういう時間を過ごしていこう、という不安とワクワク感などなどいろいろな思いが胸の中にわきおこって来ています。
世の中の自分以外の多くの人も、実は同じ思いを過ごしてきているのだ、ということに気づくと同時に、自分が子供だった時、両親はどんな気持ちで自分たちの自立を受け入れてくれたのだろう、という感謝の念も沸いてきました。
また、自分の母親が死ぬ間際に、私はある店でおおきなケヤキの盆栽に出会いました。立派な幹のその木はまだ私の庭にあります。私は母親の命はこの木に受け継がれている、と私はその時確信しました。命は形を変えても綿々続く、そのことを信じています。
おおきな木はそういう永久の時間を知っている。
人の世のいろいろな移り変わりをすべて知っている。
姿・形は変わっていっても、すべての命は、深いところでつながっていることも。
もしまだ手に取ったことがない方がいらっしゃれば、ぜひ手にとって見てください。
生きるとはどういうことか、愛するとはどういうことか、そして老いるということはどういうことか、
いろいろなことを考えさせられる大人の絵本です。