大切なことは絵本から学んだ ① こころの「とげとげ」の針は、自分にも突き刺さる 「とげとげ」
“アヒルは、あかいぬいぐるみを つれて あるいています。
でも、ちっとも たのしく ありません。
あたりが まっくらだから。”
どうしたんのでしょう、表紙の絵もアヒルはがあかいぬいぐるみをもったまま うなだれています。
しかも黒くにごった水の中に、ぽつんとかろうじて顔を出している小岩の上で。
タイトルも「どうして?」
何が理由なのだろう?何があったのだろう?
誰でもそのわけを聞きたくなりますよね。何とかしてあげられないかと。
すると、くもがいっしょにないてくれました。
かえるは大声でこえをかけて励ましてくれます。
森の中の虫たちやミツバチや花の優しさに触れながら
アヒルはこういう気持ちになれたのでした。
“こんなきもちは もう たくさん
おひさまを さがし、
はなの いろを みつけ、
なみだを かわかしたいの”
そういうふうにアヒルが自分からおひさまをさがしだすと
おひさまのほうが あひるを見つけてくれたのです。
そうして、アヒルはおひさまの光に照らされて水面にうつる自分の姿に気がつくことができました。
さて、「どうして?」「何が理由で?」はどこへ行ったのでしょうか?
結局、それはわかりません。
自分を見失っている人にまず一番大事なのは、
理由や事情を理解する前に
だれかが黙って見守りながら、寄り添うことなのですね。