大切なことは絵本から学んだ ③ 「いろいろあっても あるき つづける」
“つらいきもち、かなしいきもちは みんなビンの中にしまっておきましょう。
これで、心は安全。もうきずつくことはありません。”
この絵本のカバーの折り返しに書かれている言葉です。
あるところにごく普通の女の子がいました。
世の中に興味があって、自分を取り巻く世界に心躍らせて、毎日を送っていました。
そのそばにはいつも優しいおじいちゃんが見守ってくれていたのでした。
ところがある日、
“あるひ、いつも おじいちゃんの すわっていた いすが からっぽに なっていました”
女の子にとっていつも一緒にいるはずのやさしいおじいちゃんが突然いなくなったことが
さみしくてさみしくて受け入れられませんでした。
だから、「心をビンに閉じ込めた」のです。
何かショックなことがあってから、自分の心をビンの中に閉じ込めたり、自分自身を部屋の中や自分だけの世界に閉じこめてしまうことってありますよね。
それは決して悪いことばかりじゃない。自分を守るためにも必要な時もあります。
しかしある時期を過ぎても自分の力で閉じ込められていた心を外に出すこともできなければ、閉じ込められたままになってしまいます。
ところがいざ蓋を開けようとすると
「怖い」のです。
「不安」なのです。
「どうしてよいかわからない」のです。
この絵本の女の子も心をビンに閉じ込めたまま、ずっと暮らし、大人になっても閉じ込められた心を外に出すことができませんでした。
その「閉じ込められた心」を見て、違う女の子(たぶん「成長して母となった女の子」の子どもでしょうか)が、
ごく自然に
“あたしが 出してあげる”と言って閉じ込められた心をビンの中からスッと出してくれたのです。
子どもの持つ柔らかさ、自然さの力はほんとうにすごいですね。
大人には太刀打ちできない力があります。
もちろん子どもは大人に助けてもらってもいます。
かつておじいちゃんが女の子に付き添ってくれたように。
結局、大人も子どもも、お互いを必要としているのです。
それを忘れないようにしたいものです