大切なことは絵本から学んだ ① こころの「とげとげ」の針は、自分にも突き刺さる 「とげとげ」
これはドメステッィク・バイオレンス(DV)の起きている家庭に住むボイという名前の男が主人公の絵本です。
タイトルの「怒り鬼」とは、パパの中に棲み付く「怒り」の象徴。
普段は穏やかでやさしいパパが、何かをきっかけに「怒り鬼」に変身してしまうのです。
次第に部屋の空気が凍り、ママはいつものようにボイを自分の部屋に行かせて
「おねむり、ボイ。よこになってねむるのよ」と言うけれど、ボイには壁越しに隣の部屋で起きていることが全部伝わってきます。
“ママが炎の中で泣いているのが聞こえる。風の中でさけぶのが聞こえる”
ボイは部屋中がゆれて、何もかもが壊れていく音が全部聞こえてきます。
こんな思いをした時、当然今の状況から逃げ出したいと思うのは当たり前ですよね。
しかし実際にベッドから出て行くこともできないボイは、空想の世界へ逃避して、白いプードル犬と一緒に遊ぶことで現実から解離して、時間をやり過ごすのでした。
ところが子どもと言うものは、親に問題があると疑うことはなかなかできないため、その原因を自分に求めてしまいがちです。
“どうしてパパはこんななの?
ぼくがなにかしたせいなの?
なにか言ったせいなの?”
“ぼくは手紙を書きはじめる。
「しんあいな王さま。
パパはなぐります。
ぼくのせいでしょうか?」”
・・・・・ちがうんだよ、ボイ。君のせいではない。君は悪くないんだよ。
本当に残念なことだけど、
大人でも抱えている問題に振り回されて、どうしようもなくなるときがあるんだ。
もちろん、だからといって暴力をふるったり、他の人に迷惑をかけてはいけない。
今は、パパが「怒り鬼」に振り回されて、
それがわからなくなってしまっているんだ。
パパが「怒り鬼」負けてしまわないためには
誰かに助けてもらう必要があるんだ。
パパのためにも、君は勇気を出して、そのことを誰かに話してごらん
できるかな?パパとママのために・・・・・・・・
世界中にいるたくさんの「ボイ」にこう伝えたくなるのは、きっと私だけではないと思います。