ちょっといい言葉 ③ 光浦靖子さんの言葉「直そう、直そうと思っていても直せないもの、それが個性」
「いつも太陽に顔を向けていなさい。そうすれば、暗い陰をみることはない。」
こういう言葉を聞くと、「それができればこんなに苦しむことはない」と言いたくもなりますが、しかしこの言葉を言ったのが、あのヘレン・ケラーだと知ると全く説得力が違ってきます。
御存知ヘレンケラーは、盲・聾・唖の三重の障害を持って生まれてきましたが、献身的なサリヴァン先生の指導と本人の努力によって克服し、その人生を社会福祉事業にささげました。
<8歳の時のヘレンンケラー(左)とサリヴァン先生(右)>
昔私は身体障碍児と関わっていました。
彼らの多くは車いすで移動し上肢も不自由でしたが、出会う子どもたちは誰もがとても明るく人懐っこい笑顔を向けてくれるのです。
私も彼らと過ごす時間はとても楽しみで、移動や介助の必要性もあるため、いつも介助者も含めたくさんの仲間でワイワイと過ごしていたものです。
ところがある時、ポツンと一人の子どもがこうつぶやいたのです。
「ぼくらだって、一人になりたいときもあるんだ」
確かにいつも介助が必要とされる立場の彼らは、一人っきりで過ごす時間と言うものは限られてしまいます。一人で隠れて泣くこともできない。トイレやお風呂でさえ、自分一人の時間を確保できないのです。
車いすが操作できない者にとっては、一人になるための移動さえままならないのです(当時は電動車いすなど珍しかったのです)。
それでも彼らはいつも前向きで日々リハビリや訓練に取り組んでいました。
その彼らのことを思い出すと、へレン・ケラーのこの言葉は、人生訓として他人に向けて発した言葉ではなく、運命の「陰」に飲み込まれてしまいそうな自分に絶えず言い聞かせていた言葉ではなかったか、と思わずにはいられません。
「陰」から目を背けるのではなく、「陰」の存在を十分知っているからこそ、「太陽」に目を向けることが大切になるのでしょうね。
読んでくださってありがとう。