96【不動産】管理費修繕積立金 動画14分

# コラム208
# 定期借家契約は本当に有利なのか?
## 25年運用した大家の結論
「定期借家契約は貸主に有利だから、これから増えていく。」
このような話を耳にする機会が増えました。
確かに、定期借家契約には貸主側にメリットがあります。
しかし、25年以上賃貸経営を続けてきた私が現在採用している定期借家契約は**1件だけ**です。
それは、大野城市の戸建てリースバック案件で締結している5年間の定期借家契約です。
それ以外は、すべて普通借家契約で運用しています。
では、なぜでしょうか。
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# 定期借家契約のデメリット
## ① 管理負担が増える
定期借家契約は、
・契約期間の管理
・終了通知
・再契約手続き
など、普通借家契約より管理が複雑になります。
実際に私の物件では、以前の管理会社が契約期間を見落としたケースを2件経験しています。
制度そのものが普通借家契約より管理しにくく、人為的ミスも起こりやすい契約と言えるでしょう。
また、契約時の説明も増えます。
「普通借家契約だと思っていました。」
このような認識違いによるトラブルも想定されます。
そのため、**定期借家契約では管理会社の質も重要**になります。
もちろん、オーナー自身も管理会社任せではなく、契約満了日や通知時期などをある程度把握し、期日管理を行う覚悟が必要です。
大切な資産ですから、最終的な管理責任はオーナー自身にあります。
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## ② 家賃は割安になりやすい
借主から見ると、
「契約期間が限定される。」
というデメリットがあります。
そのため、普通借家契約より家賃は多少割安になる可能性があります。
貸主が有利になる分、家賃で調整されるイメージです。
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## ③ 入居者から見ると安心感が違う
普通借家契約は更新を前提とした一般的な契約です。
一方、定期借家契約は契約期間満了で終了する契約です。
借主からすると、
「長く住めるだろうか。」
という不安があります。
同じ条件であれば、普通借家契約を選ぶ方も少なくないでしょう。
つまり、普通借家契約の方が募集競争力は高くなりやすいと考えています。
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## ④ 契約満了と退去は別問題
定期借家契約は、契約期間の満了によって終了し、自動更新されません。
しかし、それだけで入居者が**自動的に退去するわけではありません。**
契約終了後も退去に応じない場合は、最終的には明渡し請求などの法的手続きが必要になる可能性があります。
普通借家契約より貸主側に有利な制度ではありますが、
**「契約が終われば何もしなくても退去してもらえる制度」ではありません。**
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## ⑤ 契約期間も悩ましい
例えば5年間の定期借家契約を締結した場合、
入居者は
「少なくとも5年間はこの家賃で住める。」
と考えるのが自然でしょう。
もちろん、定期借家契約でも家賃改定は可能です。
しかし、
「契約期間が決まっているのに家賃まで変わるのですか。」
と理解を得にくい場面も想像できます。
それなら1年間の定期借家契約はどうでしょうか。
今度は、
・原状回復費用
・広告料
・仲介手数料
・空室期間
など、入退去に伴うコストが増える可能性があります。
結局、契約期間を短くすれば貸主に有利になるわけでもありません。
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# 普通借家契約は「永久固定」ではありません
普通借家契約だからといって、
契約時の家賃が永久に続くわけではありません。
借地借家法には家賃改定制度があります。
周辺相場や経済事情が変化すれば、貸主は家賃改定を求めることができます。
デフレ時代には家賃改定を経験した大家さんは少なかったと思います。
しかし、インフレ時代には状況が変わります。
私は、家賃改定は今後、
**特別なものではなく、賃貸経営における通常の経営判断の一つ**
になっていくと考えています。
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# 定期借家契約を検討できるケース
私は、定期借家契約を否定しているわけではありません。
次のようなケースでは、有効な選択肢になると思います。
## ① 競争力が極めて高い物件
例えば、
・人気エリアの希少物件
・ペット向けに特化した物件(キャットウォークなどの設備)
・ロードバイク置場やメンテナンススペースを備えた物件
・防音室など趣味性を重視した物件
など、他にはない付加価値がある物件です。
もちろん、同じコンセプトであれば普通借家契約の方が募集競争力は高いでしょう。
しかし、それだけの商品力があれば、定期借家契約という条件があっても十分選ばれる可能性があります。
**競争力があるから定期借家契約が成立するのであって、定期借家契約だから競争力が生まれるわけではありません。**
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## ② 売却予定物件
数年後に実需向け売却を予定している物件です。
退去時期をある程度コントロールしたい場合には有効です。
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## ③ リースバック物件
売却後も一定期間住み続けることが前提となるため、定期借家契約との相性は良いと思います。
私が採用している唯一の定期借家契約も、このケースです。
また、リースバック案件は**転売を前提とした商品**になっていることも少なくありません。
定期借家契約にしておくことで、次の購入者は、
・そのまま賃貸経営を続ける
・契約満了後に売却する
・自己使用する
など、出口戦略を選びやすくなります。
つまり、定期借家契約は現在の貸主だけでなく、**次の所有者にとっても商品価値を高める契約**と言えるでしょう。
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## ④ 数年後に自己使用を予定している物件
老後に自分で住む予定や、ご家族が住む予定がある物件では有効でしょう。
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## ⑤ 事業用物件
事業用では、契約条件や原状回復の範囲を比較的自由に設定しやすく、居住用より定期借家契約との相性が良いケースがあります。
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# 私の結論
私は、定期借家契約が今後急速に普及するとは考えていません。
理由はシンプルです。
賃貸経営の目的は、
**優良な入居者に長く住んでいただくこと**
だからです。
普通借家契約には家賃改定制度があります。
インフレ時代には、
契約を終了させて入居者を入れ替えるより、
適正な家賃へ改定しながら長く住んでいただく方が、経営として合理的なケースは多いでしょう。
結局のところ、重要なのは契約形態ではありません。
その物件をインカムゲイン重視で運用するのか。
それともキャピタルゲイン重視で出口を考えるのか。
まず投資戦略を決め、その結果として契約形態を選ぶ。
そして、
入居者さんと良好な関係を築き、維持すること。
管理会社と信頼関係を築き、連携すること。
契約内容を理解し約束を守っていただける入居者さんとの出会い。
家賃改定の知識や実務経験を積み重ねること。
私は、これらの方が、定期借家契約を増やすこと以上に、
長期的な賃貸経営には重要だと考えています。
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