【風俗トラブル】店内での盗撮の疑いでやるべきこと・避けたいこと|状況別の判断表
風俗店の利用後に、キャストや店から「避妊具を外した」「付けずに行為をした」と言われ、検査費や慰謝料、罰金などの名目で金銭を求められるご相談があります。避妊具をめぐる主張は、妊娠や性感染症への不安と結びつきやすく、請求する側の感情も強く出やすい場面です。そのため、その場の雰囲気に押されて支払いや署名に応じてしまい、後から整理に困るケースが少なくありません。
この記事では、避妊具をめぐる主張を理由に請求を受けた場面を状況ごとに分け、やるべきことと避けたいことを判断表の形でまとめます。そのうえで、主張の中身や請求の名目をどう分けて考えるか、弁護士に相談する目安をご説明します。
この記事は、2023年の刑法改正(不同意性交等罪の新設)後の法令を前提に、記事作成時点の情報で書いています。実際の見通しは、店の業態、行為の経緯、残っている記録などによって変わります。
避妊具をめぐる主張を理由とする請求とは
ご相談で多いのは、行為の途中で避妊具を外したと言われる場面、避妊具が破れたりずれたりしたことを理由に責任を問われる場面、そもそも付けていなかったと言われる場面です。請求の名目は、性感染症の検査費や治療費、妊娠の可能性を前提にした費用、精神的苦痛に対する慰謝料、店の規約違反を理由とする罰金や違約金など、さまざまです。
この種の請求は、刑事と民事の2つの面に分けて考えると整理しやすくなります。刑事の面については、避妊具の装着を条件に性交に同意していたのに無断で外す行為(いわゆるステルシング)について、性交そのものには同意があるため、現行法の不同意性交等罪にはあたらないと考えられるとする弁護士の見解があります。一方で、その結果として相手を性感染症に罹患させた場合には傷害罪が問題になる可能性や、精神的苦痛を理由に慰謝料を求められる可能性も指摘されています。
ただし、本番行為が禁止されている業態の店では、避妊具の有無以前に、性交そのものへの同意があったかが争点になることがあります。この場合は、避妊具をめぐる主張とあわせて不同意性交等罪の主張が出てくることもあり、ステルシングの議論だけで見通しを立てることはできません。どのような主張なのかを見極めることが、最初の作業になります。
状況別の判断表
| 状況 | やるべきこと | 避けたいこと |
|---|---|---|
| その場で店のスタッフに説明を求められている | 安全を確保し、相手の名前・店名・やり取りの内容を記憶やメモに残す | その場での現金払い、身分証やスマホを預けること |
| 身に覚えがない(破損やずれの可能性がある) | 行為の経緯と、避妊具の状態に気づいた時点を時系列で整理する | 相手に合わせて「外したかもしれない」と認めること |
| 外したことに心当たりがある | 事実と異なる弁明はせず、早めに弁護士に相談して対応方針を決める | 相手を責める言葉、口止めを求める連絡 |
| 検査費・治療費の名目で請求された | 検査結果や領収書など、金額の根拠を確認する | 根拠を見ないまま請求額どおりに支払うこと |
| 妊娠の可能性を告げられた | 行為の日付と、告げられた時期・内容を記録する | 中絶や出産について一方的に指示する発言 |
| 罰金・違約金として定額を請求された | 規約の内容と、利用時にどのような説明を受けたかを確認する | 規約違反を前提に分割払いを約束すること |
| 「警察に行く」「被害届を出す」と言われた | やり取りを保存し、その日のうちに相談先を決める | 慌ててキャスト本人に直接連絡すること |
| 示談書や誓約書への署名を求められた | 持ち帰って内容を検討したいと伝える | 白紙や金額欄が空いた書面への署名 |
| 家族や職場への連絡をほのめかされた | 発言の日時と内容を記録し、窓口を弁護士に移すことを検討する | 連絡を止めてもらう代わりに追加の支払いに応じること |
その場で求められたときは、決めないことを優先する
店の事務所やホテルの部屋で説明を求められている段階では、事実関係を正確に話すことも、金額の妥当性を検討することも難しいのが通常です。この段階で優先したいのは、その場で支払いや署名を決めないことです。体調の確認を求めたいという相手の言い分そのものには理由がある場合もあるため、相手を否定する言い方は避け、「持ち帰って検討したい」と伝えることが考えられます。身の危険を感じるときは、警察に通報することも選択肢になります。
身に覚えがないときは、認める言葉を残さない
避妊具は、使用中に破れたりずれたりすることがあり、故意に外したかどうかとは別の問題として起こり得ます。それにもかかわらず、相手の勢いに押されて「外したかもしれない」「すみません、自分のせいです」とメッセージに書いてしまうと、後から事実関係を説明し直すときの妨げになるおそれがあります。謝罪の気持ちを伝えることと、事実を認めることは分けて考えたほうがよいでしょう。
心当たりがあるときは、早めに方針を決める
無断で外したことに心当たりがある場合でも、刑事責任や支払うべき金額が直ちに決まるわけではありません。ただ、事実と異なる弁明を重ねると、相手の感情を強めて交渉が難しくなることがあります。どこまでの責任を認め、何を条件に解決を図るのかは、弁護士と相談しながら決めることをおすすめします。
主張の中身と請求の名目を分けて確かめる
避妊具をめぐる請求では、「何があったと言われているのか」と「何の名目で、いくら求められているのか」を分けて確かめることが大切です。主張の中身が「外した」「破れた」「付けていなかった」のどれかによって、問われる責任の性質は変わります。また、請求の名目ごとに、根拠として確認したい資料も異なります。
- 検査費・治療費は、検査結果や医療機関の領収書があるか。
- 慰謝料は、どのような事実を前提にした金額なのか。
- 妊娠を前提にした費用は、行為の時期と告げられた時期に矛盾がないか。
- 罰金・違約金は、利用前に規約が示され、その内容に同意していたか。
- 請求者は、キャスト本人か、店か、それ以外の人物か。
特に、請求者が誰なのかは見落とされがちな点です。キャスト本人の損害を店が代わりに請求している場合、店が報酬を得る目的で交渉を担うことが、弁護士法が禁じる非弁行為との関係で問題になると指摘されることもあります。誰に対して支払い、誰との間で合意が成立するのかを確かめないまま支払うと、後から別の人物から請求を受けるおそれが残ります。
検査費などの請求については、治療費・検査費・休業損害は認められるのか|請求項目別の検討で項目ごとに検討しています。避妊の有無が争点になる場面全体の考え方は、避妊の有無が争点になる場面|感染・妊娠の主張と請求もあわせてご覧ください。
避けたい対応の背景
判断表で挙げた「避けたいこと」には、共通する理由があります。それは、一度してしまうと後から元に戻しにくいという点です。
その場での支払いは、後から返還を求めることが不可能ではないものの、交渉の手間が増えます。署名した示談書や誓約書は、強く迫られて書いたものであっても、効力を争うには事情の説明と記録が必要になります。身分証やスマホを預けたり撮影させたりすると、個人情報が相手の手元に残り、後の連絡や請求につながることがあります。
また、キャスト本人への直接の連絡は、謝罪のつもりであっても、相手からは圧力と受け取られることがあります。被害届が話題に出ている段階では、なおさら慎重に考えたいところです。示談書への署名を求められている場合は、店が用意した示談書にサインする危険性|宥恕条項・清算条項の落とし穴も参考になります。
弁護士に相談する目安
避妊具をめぐる請求は、事実関係が密室で起きたことに関わるため、当事者同士の話し合いでは平行線になりやすい傾向があります。次のような事情がある場合は、早めに弁護士への相談を検討してよい段階です。
- 不同意性交等罪や被害届という言葉が相手から出ている。
- 請求額が連絡のたびに変わる、または名目が増えていく。
- 妊娠や性感染症を理由に、継続的な支払いを求められている。
- 家族や職場への連絡をほのめかされている。
- すでに示談書や誓約書に署名してしまった。
弁護士が窓口になることで、相手との直接のやり取りを止め、請求の根拠を書面で確かめながら話を進めることができます。自分で交渉を続けるかどうか迷っている場合は、【風俗トラブル】店との交渉を自分でするか弁護士に任せるか|分かれ目になる5つの事情で判断の手がかりをまとめています。
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避妊具をめぐる主張は、相手の不安に根拠がある場合もあれば、事実関係に争いがある場合もあります。いずれの場合も、その場で結論を出さず、主張の中身と請求の根拠を一つずつ確かめていくことが、納得できる解決への近道になります。
同じような状況でも、経緯や残っている記録によって取れる手段は変わります。どこから手をつければよいか判断がつかない段階でも、事実を整理するところからご一緒できます。
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