AV・アダルトライブ配信をめぐるトラブル|視聴・購入側の論点

若井亮

若井亮

テーマ:風俗トラブル

「明細を見て、課金の合計額に驚いた」「見た覚えのないサイトから料金を請求する画面が出た」「配信を録画したことをとがめられた」。アダルトの動画配信やライブ配信をめぐる法律の説明は、配信する側・運営する側の話として書かれているものが多く、見る側・買う側の立場から整理されたものはあまり見当たりません。

 もっとも、実際に寄せられる相談は視聴・購入する側からのものが少なくありません。お金の問題と、画面を保存したことの問題と、相手が誰なのかという問題は、それぞれ別の仕組みで動いています。混ぜたまま考えると、打つ手を選び間違えます。

 この記事では、視聴・購入する側で起きるトラブルを整理します。支払いを免れる方法や、規制をすり抜ける方法を説明するものではありません。自分がいまどの位置にいるのかを把握し、相談の場で事実を正確に伝えられるようにすることが目的です。

この記事が想定している場面

 次のような場面を念頭に置いています。

  • 有料のライブ配信やライブチャットで、想定していたより大きな金額を使ってしまった。
  • 無料のつもりで登録したところ、あとから継続的に料金が引き落とされていた。
  • 見た覚えのないサイトから、登録料や未納料金の名目で請求する画面や通知が出た。
  • 配信の画面を録画・保存したことについて、運営や相手方から連絡が来た。
  • 購入した動画が、あとから販売停止・削除されたと知った。


 前提として、視聴・購入する側が成人である場合を想定しています。相手方が18歳未満である可能性がある場合や、すでに警察から連絡・呼出しを受けている場合は、この記事の一般的な整理では足りません。早い段階で個別に相談してください。

起きていることを四つに分けて見る


分類典型的な場面考える手がかり
お金課金が膨らんだ・身に覚えのない請求・解約できない契約が成立しているか、取り消せるか
記録画面を録画した・保存した・保存したものを人に渡した規約上の責任と刑事の枠組みは別の層
相手配信していた相手の年齢や身元が分からない他の論点と切り離して重く扱われる
発覚明細や共有端末から家族・職場に知られる通知の仕組みと事実上の伝わり方


 この四つは同時に起きることがありますが、使える手立てはそれぞれ違います。以下では、相談として持ち込まれることの多いお金の問題から順に見ていきます。

「課金トラブル」には三つの違う問題が混ざっている


問題の型中身出発点
A 実際に使った分自分で操作して課金した金額が大きくなった契約は成立しており、返金は容易ではない
B 身に覚えのない請求押した覚えのない登録、無料のつもりの継続課金そもそも契約が成立しているか
C 支払手段の問題カードやキャリア決済で引き落とされた・引き落とされそう決済の枠組みで止められるか


三つを混ぜると起きること

 Aの状況にBの論法を持ち込んでも、話は進みません。逆に、Bにあたる請求をAだと思い込んで支払ってしまうと、取り戻すのが難しくなります。また、Cは相手との争いを終わらせる手続ではなく、支払いの流れを一時的に止めたり戻したりする仕組みにすぎません。まず自分の状況がどの型かを決めてから動くことをおすすめします。

A 実際に使った分は戻りにくい

 自分でポイントを購入し、自分の操作で配信に使った場合、サービスは提供済みです。金額が大きいことだけを理由に、支払った分を取り戻せるわけではありません。

 前払いで購入するポイントや電子的なコインについては、法律上、原則として払戻しをしない取扱いが認められています。例外として払戻しが行われるのは、事業者がサービスを終了する場合など、限られた場面です。「残っている分だけでも返してほしい」という求めが通りにくいのは、この仕組みが背景にあります。

 「使いすぎた」ことと「返してもらえる」ことは別の問題です。まず確認したいのは、利用規約の解約・退会の条項と、未使用分の扱いです。そのうえで、勧誘の過程で事実と違う説明があった場合や、判断が難しい状態につけ込まれた事情がある場合には、別に検討する余地が残ります。対面での接客をともなう業態での高額な支払いについては、別の記事で扱っています。

B 身に覚えのない請求は「契約が成立しているか」から見る

 請求画面が消えない、あとから通知が届いた、という場面でまず考えるのは、金額の当否ではありません。そもそも支払う関係ができているかどうかです。

操作ミスで押してしまった場合

 画面上の操作で申し込む契約については、民法の特例を定めた法律があります。事業者が、申込みの内容を利用者が確認し訂正できる画面を用意していない場合には、うっかり押した側に大きな不注意があったとしても、勘違いによる取消しを主張できる余地が残る、という仕組みです。

 電子商取引についての国の解釈指針でも、利用者が勘違いするように仕組まれた請求については、この主張が認められる可能性が高いという整理が示されています。「クリックしたのだから自分の責任だ」と早々に諦める前に、画面の作りがどうなっていたかを確認してください。

無料のつもりが継続課金になっていた場合

 インターネットでの申込みについては、申込みの最終確認画面に、料金・支払時期・支払回数・解約の条件などを表示することが事業者に義務づけられています。表示がない場合や、誤認させる表示があり、それを信じて申し込んだ場合には、申込みを取り消すことができる仕組みがあります。解約を妨げるために事実と違うことを告げることも禁じられています。

 「お試し」「いつでも解約可能」と書かれていながら実際には条件が付いている、という形が、この規制が想定している典型例です。申し込んだ当時の画面や、届いた案内メールが残っていれば、それが判断の材料になります。

この場面でしないほうがよいこと


  • 請求画面や通知に書かれた連絡先へ、こちらから電話やメールをする。
  • 慌てて支払う。
  • 画面を閉じ、履歴やメールを消してしまう。
  • 「請求を解決します」とうたう広告の窓口に、内容を確かめないまま依頼する。


 相手の連絡先に接触すると、こちらの電話番号や端末の情報が相手に渡ります。まず画面を保存し(スクリーンショットや別の端末での撮影)、日時と操作の経緯を書き留めてください。記録が残っていれば、あとから公的な窓口や弁護士に説明する際の材料になります。

C 支払手段ごとに残っている手は違う

 クレジットカードで決済した場合、支払いを止める仕組みと、カード会社の側で売上を差し戻す仕組みがあります。ただし、支払区分が翌月一括か分割かで使える道が変わり、明細に表示される加盟店名が実際のサイト名と違うことも珍しくありません。この点は手続の中身が細かいため、別の記事にまとめています。

 通信料金と合算する決済は、通信事業者の定める手続で申し出ることになります。プリペイドカードやギフト券で支払った場合は、番号を相手に伝えた時点で回収が難しくなる傾向があります。いずれの場合も、引き落としが済んでいるかどうかで進め方が変わるため、明細と日付を先に確認してください。

 相手のサイトが海外にある場合でも、日本に住む消費者が結んだ契約については、規約に外国の法律や外国の裁判所と書かれていても、日本の法律や日本の裁判所での解決を求められる場面があります。もっとも、相手の所在や資産が分からなければ、権利があっても回収は簡単ではありません。実務では、決済の枠組みで戻せるかどうかを先に検討することが多くなります。

録画・スクリーンショットはどう評価されるか


刑事の枠組みが及ぶ範囲

 性的な姿態の撮影などを処罰する法律には、映像を送信する行為と、送信された映像を記録する行為を対象にする条文があります。ただし記録の側は、送信そのものがこの法律の禁じる形で行われた場合に、それと知って記録したときを対象としています。相手が同意のうえで有料配信している映像を、視聴者が録画した場合、この記録の罪の枠に直ちに入るわけではありません。

 インターネット上では「規約で禁止されている=犯罪」と説明されることがありますが、条文の作りは別です。逆に、相手が18歳未満である場合や、盗撮されたものだと分かっている映像である場合は、まったく別の条文の問題になります。

では何が問題になるのか


  1. サービスの利用規約に反した行為として、利用停止や損害賠償を求められることがあります。
  2. 配信されている映像には、演じている人や制作した側の権利が及びます。個人で楽しむ範囲を超えた複製は、その権利の問題になります。
  3. 写っている人の肖像やプライバシーの問題があります。
  4. 保存したものを他人に見せた、送った、投稿した時点で、扱う条文が変わります。


 なお、コピーを防ぐ技術的な仕組みを外して録画した場合は、個人で楽しむための複製という説明が通らなくなります。保存したものを人に渡した場合・公開した場合の整理は、別の記事に譲ります。

見るだけとダウンロードは分けて考える

 無断で掲載されている動画については、画面で再生して見るだけの場合と、手元に保存する場合とで扱いが違います。再生して見るだけの行為は、複製には当たらないと整理されています。

 これに対し、無断で掲載されたものだと知りながらダウンロードする行為は、個人で楽しむ目的であっても、例外として認められる範囲から外れます。有料で提供されている映像を、無断掲載と知りながら繰り返しダウンロードした場合には、刑事の対象になり得る規定もあります。

 この規制は「知りながら」を要件としており、不注意で気づかなかった場合は対象外とされています。実際の場面では、サイトの見た目や入手の経路から、知っていたと評価されるかどうかが問題になります。「見るだけなら問題ない」という説明も、「保存しても個人利用なら自由」という説明も、どちらも言い過ぎです。

相手の年齢が確認できない場合

 この論点は、ほかの問題と切り離して考えてください。配信している相手が18歳未満である場合、その姿態の映像を保存する行為や、求めて映させる行為は、課金や規約の話とはまったく別の法律の問題になります。

 サイトに年齢確認の表示があったこと、相手が成人だと言っていたことは、それだけで説明が終わる事情ではありません。心当たりがある場合は、自己判断でデータを消す前に相談してください。消す行為そのものが、あとから別の評価を受けることがあります。

販売停止・削除になった作品を購入していた場合

 出演した本人が、一定の期間内であれば損害賠償の責任を負うことなく出演の契約を解除でき、販売や配信の停止を求められる仕組みが設けられています。購入した側から見ると、買ったはずの作品が入手できなくなったり、視聴できなくなったりすることがあります。

 このとき問題になりやすいのが、手元に残っているデータの扱いです。他人に渡す、売る、投稿するといった行為は、購入したこととは別に評価されます。代金を払って買ったのだから自由に扱ってよい、という関係にはなりません。削除を求められている作品であればなおさら、拡散に関与したと見られる行為は避けてください。

相談の前に整理しておきたいこと

 次の五点をメモにまとめておくと、限られた相談時間でも話が早く進みます。

  1. いつ、どのサイトやアプリで、何をしたか(登録・課金・視聴・保存)。
  2. 支払いの手段と、明細に表示されている名称。
  3. 画面の記録(請求画面、規約、申込みの確認画面、案内メール)。
  4. 相手から届いた連絡の全文と、こちらが返した内容。
  5. 保存したデータの有無と、他人に渡したことがあるかどうか。


注意したい相手

 「アダルトサイトの請求を解決します」といった広告を見かけることがあります。相手方との交渉を報酬を得て代理できるのは弁護士に限られており、調査会社や書類作成を扱う資格者が、業として交渉を引き受けることはできません。自治体の消費生活センターからも、同じ趣旨の注意が繰り返し示されています。公的な相談窓口は無料で利用できますので、費用を求められた段階で一度立ち止まってください。

まとめ


  • 起きていることを、お金・記録・相手・発覚の四つに分けて考えます。
  • 課金の問題は、実際に使った分・身に覚えのない請求・支払手段の問題の三つに分かれます。
  • 自分で操作して使った分は、返金の主張が通りにくいところから出発します。
  • 押した覚えのない登録や、無料のつもりの継続課金は、契約の成立と画面の表示から見ます。
  • 請求画面の連絡先にこちらから接触せず、画面と経緯を記録に残します。
  • 録画は、規約上の責任と刑事の枠組みを分けて考え、保存したものを人に渡した時点で扱いが変わります。
  • 相手の年齢に不安がある場合は、ほかの論点と切り離して、早い段階で相談してください。


 早く相談したからといって良い結果が約束されるわけではありませんが、記録が残っているうちに事実を整理しておくと、選べる手立ては広がります。当事務所では、風俗やアダルトサービスの利用にともなうトラブルについて、無料相談を受け付けています。

リンクをコピーしました

Mybestpro Members

若井亮
専門家

若井亮(弁護士)

弁護士法人若井綜合法律事務所

風俗トラブルや男女トラブル、それに伴う刑事事件まで一貫して対応。累計相談件数は男女トラブル約23,000件、風俗トラブル約8,000件。全国からの相談を24時間受け付け、迅速な対応を心がけています。

関連するコラム

プロのおすすめするコラム

コラムテーマ

コラム一覧に戻る

プロのインタビューを読む

風俗・男女トラブルの不当要求から依頼者を守る弁護士

  1. マイベストプロ TOP
  2. マイベストプロ東京
  3. 東京の法律関連
  4. 東京の男女・夫婦問題
  5. 若井亮
  6. コラム一覧
  7. AV・アダルトライブ配信をめぐるトラブル|視聴・購入側の論点

若井亮プロへの仕事の相談・依頼

仕事の相談・依頼