お触りの証拠を捏造するメンズエステ美人局の見分け方と現場での対処法
風俗店やキャストから届いた書面に、「治療費」「検査費用」「休業補償」といった項目が並んでいることがあります。目に入るのはまず合計額ですが、損害の賠償は本来、項目ごとに理由が成り立つかどうかを一つずつ確かめていくものです。合計額だけを見て「払うか、払わないか」を決めてしまうと、話し合いの手がかりを失いやすくなります。
この記事では、実費として請求されることの多い治療費・検査費・休業損害を取り上げ、それぞれがどのような場合に認められ、何によって裏づけられるのかを整理します。
この記事で扱う範囲
前提として、次の範囲を想定しています。
- 成人同士のトラブルで、相手方から金銭を請求されている利用者側の立場を想定しています。
- 18歳未満が関係する場合は、まったく別の問題になります。
- すでに逮捕されている場合や、警察から呼び出しを受けている場合は、記事の一般論ではなく個別の相談が必要です。
- 店のルールに反する行為をすすめる趣旨ではなく、相手の訴えを疑ってかかることをすすめる趣旨でもありません。
- けがや症状についての医学的な判断は、医療機関で確認すべき事柄です。
また、金額の目安や、請求書に書かれた名目の意味そのものについては、別の記事で扱っています。ここでは項目ごとに損害として認められるかどうかという一点に絞ります。
合計額ではなく、項目ごとに見る理由
損害の賠償は積み上げでできている
損害賠償は、「この出来事についていくら」という一本の金額が最初から決まっているものではありません。実際にかかった費用、減った収入、精神的な負担への評価といった項目を積み上げて合計するのが基本の形です。
したがって、届いた書面の合計額は、相手が積み上げた結果にすぎません。その積み上げの一つひとつに理由があるかどうかは、別に確かめる必要があります。
一つの項目が崩れても、他の項目は残る
項目ごとに見ることには、もう一つ意味があります。ある項目の根拠が弱いとしても、それは他の項目まで根拠がないことを意味しません。逆に、一つの項目が明確に認められるとしても、合計額のすべてが当然に支払うべき金額になるわけでもありません。
「全部払う」か「一切払わない」かの二択で考えると、この違いが見えなくなります。項目ごとに分けることで、争いのある部分と、そうでない部分を切り分けやすくなります。
どの項目にも共通する三つの関門
治療費でも検査費でも休業損害でも、認められるかどうかを考える筋道は共通しています。次の三つです。
- その支出や減収が、実際にあったこと
- その支出や減収が、問題になっている出来事から生じたといえること
- かかった費用や休んだ期間の範囲が、内容に見合っていること
この三つは、それぞれ「発生」「因果関係」「相当性」と呼ばれることがあります。そして、これらを説明する立場にあるのは、原則として請求する側です。請求された側が「そうではないこと」を先に証明しなければならない仕組みにはなっていません。
| 確かめること | 問われている中身 | 示される材料の例 | 不足しがちな点 |
|---|---|---|---|
| 支出や減収が実際にあったか | その費用を本当に支払ったか、収入が本当に減ったか | 領収書、診療明細、振込の記録、勤務予定と実績が分かる資料 | 見積りや概算の表だけで、支払った事実が示されていない |
| その出来事が原因か | その支出や休みが、問題になっている出来事から生じたものか | 受診日と経過が分かる書面、症状の推移、休んだ期間との前後関係 | 時期が離れている、他の原因の可能性が検討されていない |
| 範囲と程度が見合うか | 費用の額や休んだ期間が、内容に見合っているか | 通院の頻度と内容、医師の指示、復帰までの経過 | 期間や回数の根拠が説明されていない |
治療費はどこまで認められるか
実際にかかった費用であること
治療費は、実費の代表的な項目です。診察料、薬代、通院にかかった交通費などが含まれます。もっとも、認められるのは現実に支出された額が基本で、そのことは領収書や診療明細で示されます。
健康保険を使って受診した場合、本人が支払ったのは自己負担分です。窓口で支払った額と、治療の総額とは一致しません。この点が整理されないまま金額が示されていることもあります。
必要性と相当性
支払った事実があっても、それだけで全額が認められるとは限りません。その治療が必要だったか、内容や期間が症状に見合っていたかという点も見られます。通院の頻度が症状に比べて多い場合や、けがとの関係が説明しにくい施術が含まれている場合には、範囲について議論になることがあります。
これは「治療を受けるべきでなかった」という話ではありません。相手の判断で受けた治療のうち、どこまでを利用者側が負担すべきかという、範囲の問題です。
もともとの体調や持病がある場合
症状の一部が、以前からの体調や持病によるものである場合、その分をどう評価するかが問題になることがあります。この点は医学的な事情に左右されるため、書面のやり取りだけで決めにくく、資料が必要になります。
これからかかる費用
将来の治療費が請求に含まれていることもあります。まだ支出されていない費用については、見込みの根拠が示されているかどうかが要点になります。医師の指示や治療計画に基づく説明があるのか、金額だけが置かれているのかで、扱いは変わってきます。
検査費は請求できる項目なのか
検査費用が損害になり得る場面
風俗トラブルでは、感染の可能性や妊娠の可能性を確かめるための検査費用が請求されることがあります。この種の費用は、「その出来事があったために検査を受ける必要が生じた」といえる場合には、賠償の対象になり得る性質のものです。
言い換えれば、検査費が認められるかどうかは、検査を受ける必要を生じさせる事情があったかによって左右されます。この点が示されていないまま、費用だけが並んでいることもあります。
結果が陰性だった場合
「検査の結果は何もなかったのだから、検査費も払う必要はない」と考える方がいます。しかし、検査の必要性は結果が出る前に判断されるものですから、結果が陰性であったことだけを理由に、費用が当然に否定されるとはいえません。
一方で、必要性そのものが説明されていない場合は別です。結果の内容と、検査を受ける必要があったかどうかは、分けて考える整理になります。
回数・時期・内容
検査費についても、範囲の相当性は問われます。同じ検査を繰り返し受けている場合、その理由が説明されているか。出来事との時間の隔たりが大きい場合、その間の事情がどうなっているか。検査の内容が、問題になっている場面と結びつくものか。こうした点が、金額の妥当性に関わってきます。
自分の側で検査を受けておく意味
感染を理由とする請求を受けている場合、自分自身も検査を受け、受診した日付とともに結果を残しておくことには意味があります。感染の有無や時期は、話し合いの前提になる事実だからです。なお、相手の受診先に直接問い合わせることは、別のトラブルにつながりやすいため避けたほうがよい対応です。
休業損害は何によって決まるのか
計算の骨組み
休業損害は、働けなかったことによる収入の減少です。計算の形はおおむね「1日あたりの収入 × 休んだ日数」で、この二つの要素それぞれに裏づけが要ります。
三つの確認
実務では、次の三点が確かめられます。
- 実際に休んだのか(出勤の予定があり、それが失われたか)
- 休む必要があったのか(症状との関係で休養が必要だったか)
- 1日あたりいくらだったのか(収入の額をどう認定するか)
このうち、風俗の場面でとくに議論になりやすいのが三つ目です。
収入の裏づけ
会社勤めであれば給与明細や源泉徴収票で収入を示せますが、申告をしていない収入については、額を認めてもらうためのハードルが高くなるとされています。この場合、日々の売上記録、店からの支払明細、口座への入金記録といった客観的な資料によって、収入があったことと、その額を示すことが求められます。
したがって、「1日いくら稼いでいた」という説明だけが示され、それを裏づける資料がない状態では、金額の当否を検討しようがありません。資料を求めることは、値切りのための駆け引きではなく、検討の前提を揃える作業です。
平均賃金の統計を持ち出された場合
収入を示す資料がないとき、統計上の平均賃金を基礎として計算する主張がされることがあります。裁判でこうした統計が用いられた例はありますが、主張すれば自動的に採用されるというものではなく、その水準の収入を得ていた見込みがあるかどうかが検討されます。
収入の性質が争われる場合
働き方の内容によっては、収入の一部が法の保護を受けにくいものとして扱われることがあります。裁判例のなかには、そうした部分を差し引いて基礎となる収入を考えたものや、統計上の平均賃金を用いたうえで一定の割合にとどめたものがあります。
もっとも、これは「風俗で働いている以上、休業損害は一切認められない」という趣旨ではありません。関与の程度や働き方によって結論は分かれており、一律に決まる問題ではないという受け止め方が実際に近いといえます。
期間はどこまでか
休んだ期間についても、症状との関係で説明がつく範囲かどうかが見られます。復帰までの経過や、医師の指示の有無が手がかりになります。期間が長くなるほど、その根拠を示す資料の重みは増していきます。
減ったのは誰の収入か
もう一つ整理しておきたいのが、収入が減ったのは誰なのかという点です。休業損害は、働けなくなった本人の減収を問題にするものです。店の売上が落ちたという話は、これとは別の性質を持つ主張になります。
店が実際にキャストへ補償を支払ったという場合には、その支払いを示す資料があるかどうかが問われます。逆に、支払いの事実がないまま「店の損害」として金額が積まれているときは、内訳の説明を求める場面といえます。この点の詳しい考え方は、請求額の内訳を扱った記事で整理しています。
慰謝料と実費項目の関係
慰謝料は、精神的な負担に対する評価であり、領収書のような形で額が決まるものではありません。そのため、実費項目とは性質が異なります。
注意したいのは、同じ事情が二重に評価されていないかという点です。たとえば、通院にかかった負担が治療費として計上され、さらに慰謝料の増額理由としても同じ内容が挙げられている、といった形です。慰謝料の水準そのものについては、別の記事で扱っています。
金額を減らす方向に働く事情
請求された金額がそのまま支払額になるとは限りません。次のような事情は、金額を検討するうえで意味を持ちます。
- 相手側にも不注意といえる事情がある場合、その分が考慮されることがあります。
- すでに他から補償を受け取っている場合、その分が差し引かれることがあります。
- 同じ損害が二つの項目に重ねて計上されている場合、その重複は解消されることになります。
- 内訳が示されないまま合計額だけが提示されている場合、そもそも検討の土俵に乗っていないことになります。
相談の前に整えておきたいもの
弁護士に相談する場合でも、自分で対応を考える場合でも、手元の材料が整理されているかどうかで話の進み方が変わります。
| 整理するもの | 用意する内容 |
|---|---|
| 請求の内訳 | 項目名と金額が分かる書面。口頭で言われた場合は、その日時と内容のメモ |
| 相手から示された資料 | 診断書、領収書、検査結果、休業に関する書面などの写し |
| 自分の側の記録 | 利用した日時と店名、やり取りのメッセージ、通話の履歴、支払いの記録 |
| 自分が受けた検査 | 受診した日と医療機関、検査の内容と結果が分かる書面 |
| これまでの対応 | 認める発言をしたか、一部でも支払ったか、署名した書面があるか |
なお、その場で一部を支払ったり、内容を確かめないまま書面に署名したりすると、後の話し合いの前提が変わってしまうことがあります。急かされている状況ほど、いったん持ち帰る余地があるかを考えたいところです。
まとめ
- 損害の賠償は項目の積み上げであり、合計額だけでは当否を判断できません。
- どの項目にも、支出や減収の存在、出来事との結びつき、範囲の相当性という三つの関門があります。
- これらを説明する立場にあるのは、原則として請求する側です。
- 治療費は、実際に支払った額であることに加え、必要性と範囲が見られます。
- 検査費は、検査を受ける必要が生じたといえる事情があれば対象になり得ます。結果が陰性であったことだけで当然に否定されるわけではありません。
- 休業損害は、実際に休んだこと、休む必要があったこと、1日あたりの収入の額という三点で検討されます。収入の裏づけがない状態では、金額の妥当性を検討できません。
- 収入が減ったのが本人なのか店なのかは、分けて考える必要があります。
- 内訳と資料を求めることは、支払義務を認めたことにも、支払いを拒んだことにもなりません。
ここで整理したのは一般的な考え方であり、実際にどの項目がどこまで認められるかは、資料の内容や経過によって変わります。判断に迷う場合や、相手方に代理人がついている場合には、早い段階で弁護士に相談することをおすすめします。


