【風俗トラブル】「警察に行く」と言われた風俗トラブルの記録の付け方|時系列メモに書く項目例

若井亮

若井亮

テーマ:風俗トラブル

風俗店の利用中や利用後に、キャストや店のスタッフから「警察に行く」「警察を呼ぶ」と言われると、動揺のあまり、その場で何があったのかを後から思い出しにくくなることがあります。しかし、その後に店との話し合いをするにしても、警察から連絡が来るにしても、弁護士に相談するにしても、出発点になるのは「いつ、誰が、何を言い、自分は何をしたか」という事実の整理です。この記事では、「警察に行く」と言われた風俗トラブルで、時系列メモに何をどう書いておくとよいかを、項目例とあわせて解説します。

本記事は、2026年11月時点の法令(2023年改正後の刑法・性的姿態撮影等処罰法を含む)を前提にしています。個別の事案での見通しは事情によって異なりますので、具体的な判断は弁護士にご相談ください。


「警察に行く」と言われた場面で記録が役に立つ理由

 人の記憶は、驚きや不安が強い場面ほど抜け落ちやすく、時間がたつと「言われたこと」と「自分がそう受け取ったこと」が混ざっていきます。数日後には、相手の言葉の順番や金額の話が出たタイミングをはっきり思い出せなくなることも珍しくありません。

 一方で、この種のトラブルでは、後から相手の話が変わることがあります。最初は「謝ってくれればいい」と言っていたのに金額が示される、提示額が連絡のたびに増える、利用中に起きたこととして説明される内容が変わる、といった具合です。その場で書き留めた記録があれば、どの時点で何が言われたのかを落ち着いて確かめることができます。

 記録は、相手の主張を検証するためだけのものではありません。弁護士に相談するときには、限られた時間で事案の全体像を伝える材料になりますし、万一警察から連絡が来た場合にも、自分の記憶を事前に整理しておくことにつながります。ここで大切なのは、自分に有利な記録を作ることではなく、起きたことをできるだけそのまま残すことです。

時系列メモを作る前に決めておくこと


書く時期|その日のうちに、できるだけ早く

 メモは、帰宅した直後やその日の夜など、記憶が新しいうちに書き始めるのが基本です。全部を一度に書き上げる必要はなく、まずは覚えている順に書き出し、後から時系列に並べ替えても構いません。翌日以降に思い出したことは、「〇月〇日に追記」と書き添えておくと、どの部分がいつ書かれたものかが分かります。

書く場所|手元に残り、家族の目に触れにくいもの

 スマートフォンのメモアプリでも、紙のノートでも構いません。スマートフォンで書いた場合は、自分宛てのメールに送っておくと、送信日時が残り、端末の故障や紛失にも備えられます。家族と共有しているクラウドやパソコンに保存すると、思わぬ形で目に触れることがありますので、保存先は意識して選んでおくと安心です。

書き方の原則|事実と推測を分けて書く

 「相手がこう言った」という事実と、「たぶんこういうつもりだったのだろう」という自分の推測は、分けて書くようにします。たとえば「店ぐるみで金を取ろうとしていた」という推測は、それ自体を書くのではなく、そう感じた理由になった発言や出来事を書いておくほうが、後で役に立ちます。推測を書き残したい場合は、「(自分の印象)」のように印を付けて区別しておくとよいでしょう。

時系列メモに書く項目例


区分書いておきたい項目書き方のポイント
利用の前提店名・業態、利用日時、予約の方法、伝えた名前と電話番号、利用場所(ホテル名・部屋番号など)店のサイトの表示名や予約時の画面も控える
サービス中の経過入室から終了までのおおまかな流れ、会話の内容分かる範囲で時刻を添え、覚えていない部分は空欄にする
トラブルの発端いつ、誰が、何を理由に問題だと言い出したか相手の言葉と自分の受け答えを分けて書く
「警察に行く」と言われた場面発言した人、言葉そのもの、前後の文脈条件付きの言い方だったかどうかも残す
求められたこと金額、身分証の提示や撮影、念書・示談書への署名、名刺や勤務先の情報求められた順番と、自分が応じたかどうか
その場を離れた経緯離れた時刻、方法、同行者や第三者の有無引き止められた場合はその状況も書く
その後の連絡着信・メッセージの日時、相手の名乗り、内容1件ごとに分けて書き足していく


発言は、できるだけ言葉どおりに残す

 特に重要なのは、「警察」という言葉が出た場面です。「警察に行く」なのか、「警察を呼ぶ」なのか、「被害届を出す」なのかで、相手が考えていた行動は違って見えます。また、「払えば警察には行かない」「今日中に連絡がなければ警察に行く」のように、金銭や期限と結び付けて言われたのかどうかも、後から交渉の経緯を評価するうえで意味を持つことがあります。正確に覚えていない場合は、「〜という趣旨のことを言われた」と書いておけば十分です。

渡したもの・撮られたもの・書いたものを漏らさない

 その場で身分証を撮影された、念書を書かされた、現金を渡した、といった事実は、後の対応を考えるうえで欠かせない情報です。何を誰に渡したか、何枚撮影されたか、書面に何と書いたか(覚えている範囲で)、署名や押印をしたか、控えを受け取ったかを書いておきます。書面の写真を撮れなかった場合の考え方は、【風俗トラブル】店の事務所で書かされた紙の写真を撮っていない|内容を後から確かめる方法でも解説しています。

その後の連絡は1件ずつ書き足す

 トラブルの後には、店やキャスト本人、知人を名乗る人物などから連絡が来ることがあります。着信の日時、表示された番号、相手の名乗り、話の内容、こちらの返答を、1件ごとに書き足していきます。出られなかった着信も、日時と番号だけは残しておくと、連絡の頻度や時間帯が後から分かります。

メモの書き方の例

 実際のメモは、たとえば次のような形になります(内容は架空のものです)。

  • 〇月〇日20時頃、〇〇ホテル5階の部屋にキャストが到着。予約時に伝えた名前は本名、電話番号は自分の携帯。
  • 21時10分頃、終了直前にキャストが「規約違反だ」と言い、店に電話。
  • 21時30分頃、男性スタッフが部屋に来る。「このままなら警察に行く。話し合いで済ませるなら今日中に金額を決める」という趣旨の発言。
  • 21時40分頃、運転免許証の表面をスタッフのスマートフォンで撮影される。念書への署名を求められたが、「持ち帰って考えたい」と伝えて署名せず。
  • 22時05分頃、ホテルを出る。スタッフは同行せず。
  • 翌日10時12分、〇〇から始まる番号から着信(出られず)。


 このように、時刻・場所・発言・自分の対応を短く区切って書いていくと、後から読み返したときに流れが追いやすくなります。

メモと一緒に保存しておきたい資料

 時系列メモは、ほかの資料と突き合わせることで信用性が増します。次のような資料は、削除せずに元の形のまま残しておきましょう。

  • 着信履歴の画面(日時と番号が分かる形)。
  • LINE・SMS・メールのやり取りの画面(相手の表示名と日時が写る形)。
  • 予約確認のメールや店舗のサイトの情報ページ。
  • 支払いの記録(カードの利用明細、振込の控え、ATMの明細など)。
  • ホテルの領収書や利用時間の分かる資料。
  • 録音データ。
  • 書かされた書面や、相手から渡された書面の写真。


 録音については、トラブルが生じた場面でのやり取りを残しておくことが、後から店側の交渉の進め方を検証する材料になり得ると指摘されています。ただし、録音がどこまで証拠として評価されるかは場面によって異なり、録音していることを相手に告げるかどうかで、その場の空気が変わることもあります。考え方の詳細は、録音はどこまで証拠になるか|風俗トラブルでの残し方と【風俗トラブル】店内での録音は証拠になるのか|秘密録音と盗聴の境界(風俗の場面)をご覧ください。

記録を付けるときに避けたいこと

 記録は、正確であってこそ意味を持ちます。次のような対応は、かえって後の対応を難しくするおそれがあります。

  • 自分に都合の悪い部分を省いたり、後から書き換えたりすること。
  • 相手とのやり取りや着信履歴を、気まずさから削除すること。
  • 記録を作る目的で相手に連絡し、言い分を問い詰めたり、こちらの説明を長文で送りつけたりすること。
  • キャスト本人に直接連絡を取ろうとすること。
  • メモや録音を、SNSや知人との会話で共有すること。


 都合の悪い事実を省いたメモは、後で着信履歴や支払いの記録と食い違ったときに、記録全体の信用性を下げてしまうことがあります。弁護士には守秘義務がありますので、記録の中に自分にとって不利な内容が含まれていても、そのまま残し、相談の場で伝えていただくほうが、見通しを正確に立てることにつながります。

 また、記録を充実させようとして相手に連絡を取ると、相手の主張を固めるきっかけになったり、やり取りの内容によってはこちらの言動が問題視されたりするおそれがあります。記録は、すでに起きたことを残すためのものと考え、新たなやり取りを生み出す道具にはしないことが大切です。

警察から連絡が来た場合と記録の関係

 「警察に行く」と言われても、実際に被害の申告がされるかどうか、申告された後にどのように手続が進むかは、事案によってさまざまです。警察が動くきっかけや流れについては、風俗トラブルで警察が動くきっかけ|被害届・通報・摘発から捜査が始まる流れで詳しく解説しています。

 警察から連絡が来た場合、時系列メモは、事情を聞かれる前に自分の記憶を整理しておくための手元の資料として役立ちます。一方で、メモを警察に提出するかどうか、どのように説明するかは、記録の内容や事案の状況によって判断が分かれるところです。メモを持ったまま一人で警察署に向かうのではなく、事前に弁護士と内容を確認しておくほうが無難です。被害届が出た後の流れについては、【風俗トラブル】被害届が受理されたと言われた|その後の流れと呼び出しまでの期間も参考になります。

記録を持って弁護士に相談するタイミング

 時系列メモが完全にそろうまで相談を待つ必要はありません。特に、次のような事情がある場合は、記録が途中の段階でも早めの相談をおすすめします。

  • 金額や支払いの期限を示されている場合。
  • 身分証を撮影された、または念書や示談書に署名した場合。
  • 勤務先や家族に知らせることをほのめかされている場合。
  • 警察を名乗る相手や警察署から連絡が来ている場合。
  • 同じ相手から何度も連絡が続いている場合。


 「警察に行く」と言われた翌日に何をしておくかについては、【風俗トラブル】店から「警察に行く」と言われた翌日にすること|被害届が出る前の時間で、相手から「警察に相談した」と聞かされた場合については、【風俗トラブル】キャストが警察に相談したと聞かされた|本当かどうか確かめる方法はあるかで、それぞれ解説しています。逆に「警察には言わない」と約束された場合の受け止め方は、【風俗トラブル】店が「警察には言わない」と約束してきた|口約束の意味と限界をご覧ください。相談前に手元の材料を整える全般的な考え方は、【風俗トラブル】自分側の記録をどう作るか|相談の前に整理しておく材料でもまとめています。

まとめ|記録は「正確に、早く、そのまま」

 「警察に行く」と言われた風俗トラブルでは、その後の展開がどうなるかを、その場で見通すことは難しいものです。だからこそ、記憶が新しいうちに、時刻・場所・発言・自分の対応を時系列で書き留め、着信履歴ややり取りの画面などの資料と一緒に保存しておくことが、後のあらゆる対応の土台になります。書き方に迷う部分があっても、完璧を目指す必要はありません。分かる範囲で書き始め、思い出したことは日付を添えて書き足していけば十分です。

 当事務所では、お手元のメモや資料をもとに、まず何が起きたのかを一緒に整理し、そのうえで店との交渉や警察への対応をどう進めるかを検討しています。記録が途中の段階でも、ご相談いただくことは可能です。

同じような状況でも、経緯や残っている記録によって取れる手段は変わります。どこから手をつければよいか判断がつかない段階でも、事実を整理するところからご一緒できます。
当事務所では、電話・メール・LINEのうちご希望の方法でご相談をお受けしています。ご都合のよい手段をお選びください。
早い段階でご相談いただくほど、選べる手立ては多く残ります。迷っている段階でも、まずはお気軽にお声がけください。

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若井亮
専門家

若井亮(弁護士)

弁護士法人若井綜合法律事務所

風俗トラブルや男女トラブル、それに伴う刑事事件まで一貫して対応。累計相談件数は男女トラブル約23,000件、風俗トラブル約8,000件。全国からの相談を24時間受け付け、迅速な対応を心がけています。

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