【ストーカートラブル】大学のサークルやゼミの元交際相手につきまとわれたら、大学に相談できる?

若井亮

若井亮

テーマ:ストーカートラブル

本記事は、2026年11月時点の法令をもとに作成しています。2025年12月30日に施行された改正ストーカー規制法の内容(被害者の就学先の学校の長を援助の主体に加えた点など)を反映しています。


同じサークルやゼミにいた相手と別れた後、部室の前で待たれる、ゼミの帰りに後をついてこられる、共通の友人を通じて予定を聞き出される、といった相談は少なくありません。大学という限られた空間では、授業や活動を続ける限り相手と顔を合わせる場面が残るため、「大学に言ってもよいのか」「言ったら大ごとになるのではないか」と迷ったまま時間が過ぎてしまうこともあります。

 結論からいえば、元交際相手からのつきまといを大学に相談することはできますし、2025年の法改正によって、大学には被害を受けた学生を援助する努力義務も課されるようになりました。ただし、大学にできることには範囲があり、警察や弁護士と役割を分けて考えると進めやすくなります。この記事では、大学に相談するときの窓口、期待できること・難しいこと、相談前の準備について整理します。

大学の相談先は1つではない

 大学には、学生の困りごとを受け付ける窓口がいくつか置かれているのが一般的です。名称や役割分担は大学ごとに異なりますが、おおむね次のような窓口があります。

窓口相談できることの例
学生相談室(カウンセリングルーム)気持ちの整理、通学や学業への影響についての相談
ハラスメント相談窓口学内の人間関係による被害の申立て、調査の手続
学生課・学生支援課授業・試験・サークル活動に関する事務的な配慮
指導教員・ゼミの担当教員ゼミ内での席、発表の順番、共同作業の組み方の調整
保健管理センター眠れない・食欲がないといった心身の不調への対応、医療機関の紹介


 どこに相談すればよいか分からない場合は、まず学生相談室やハラスメント相談窓口に連絡し、適切な部署につないでもらう方法があります。多くの大学では、相談内容の秘密を守ることや、相談したことで不利益な扱いをしないことを相談窓口の案内で示しています。ゼミの担当教員は身近で頼りやすい一方、教員個人の判断で対応できる範囲には限りがあるため、組織として動いてもらう必要がある場合は、窓口も併せて利用するとよいでしょう。

2025年の法改正で、大学は被害者を援助する立場になった

 2025年12月30日に施行された改正ストーカー規制法では、ストーカー被害を受けた人が就学する学校の長が、被害者に対する援助の努力義務を負う主体に加えられました。文部科学省は全国の大学にこの改正を通知しており、勤務先や学校は自宅と同じように被害者が長い時間を過ごす場所で、居場所を変えることも難しいため、待ち伏せや押しかけの場になりやすいことが改正の背景として説明されています。

 この通知で、学校に想定されている協力の例は次のようなものです。

  • 被害を知ったときや緊急時の、警察への通報・情報提供。
  • 助けを求められたときに、警察に引き継ぐまで一時的に保護すること。
  • 警察官による警戒などの活動への協力。
  • 掲示板やホームページなどに被害者の氏名等を載せないといった、情報管理への配慮。


 一方で、これらは通常の教育活動の範囲内のものとされ、大学に具体的な措置が義務づけられたわけではない、とも説明されています。つまり、法改正によって大学に相談しやすい土台は整いましたが、「相談すれば必ずこの対応をしてもらえる」という仕組みではありません。どのような配慮をしてもらえるかは、大学の体制や事案の内容によって変わります。

大学に相談して期待できること


授業・ゼミ・サークルでの接点を減らす調整

 大学に相談する大きな意味は、学内で相手と接する場面を減らせる可能性があることです。たとえば、同じ授業でのグループ分けを別にする、ゼミの発表日をずらす、サークルの活動日や合宿で同じ班にしない、といった調整は、大学や教員の判断で行えることがあります。履修している授業が重なっている場合に、別の時限やクラスへの振替が認められるかどうかも、学生課などで確認できます。

 ただし、相手の側にも授業を受ける権利があるため、相手だけを一方的に授業から外すといった対応は、事実関係の確認や手続を経ないと難しいのが通常です。まずは被害を受けている側の負担を減らす方向での調整を相談し、相手への対応は大学の判断を待つ形になることが多いでしょう。

学内での安全の確保と警察との連携

 キャンパス内で待ち伏せされる、研究室の前に来られるといった状況がある場合は、警備員の巡回を増やしてもらう、帰宅時に職員が出口まで付き添う、といった対応をとる大学もあります。危険を感じる場面では、大学が警察に連絡し、連携して対応することも法改正で想定されています。すでに警察に相談している場合は、その旨を大学に伝えておくと、学内で何か起きたときの連絡がスムーズになります。

名簿や公開情報の扱いへの配慮

 ゼミの名簿、卒業研究の発表会のプログラム、研究室のホームページ、サークルの公式SNSなどには、学生の氏名や顔写真、活動予定が載ることがあります。こうした情報から、相手に居場所や予定を知られてしまうおそれがある場合は、掲載を控えてもらうよう依頼することが考えられます。サークルの公式アカウントの扱いは、大学の公認団体であれば学生課を通じて相談できることもあります。

大学だけでは対応しきれないこと

 大学への相談は有効な手段の1つですが、次のような限界もあります。

  • 自宅の周辺、アルバイト先、SNS上など、学外での行為は大学の管理が及びにくいこと。
  • 相手への処分は大学が規程に沿って判断するもので、被害を受けた側の希望どおりになるとは限らないこと。
  • 処分の有無や内容が、被害を受けた側に詳しく知らされない場合があること。
  • 教員からの注意だけでは、相手の行動が止まらない場合があること。
  • 大学の公認を受けていないサークルや他大学の学生が参加するサークル、すでに卒業した相手には、大学の関与が及びにくいこと。


 法律相談サイトでも、学校の先生に注意してもらったが効果がなく、相手を退学させられるかを尋ねる相談や、学校が積極的に動いてくれない場合に学校の責任を問えるかを尋ねる相談が寄せられています。こうした相談への回答では、退学などの処分は学校の判断によることや、学校に対応を求めることと並行して警察への相談を検討する必要があることが示されています。大学の対応だけで解決しようとせず、学外の手段も視野に入れておくことが大切です。

 ストーカー規制法では、恋愛感情などに基づくつきまといや待ち伏せ、押しかけ、拒まれているのに繰り返す連絡などが規制の対象となっており、警察は相手に警告を出したり、公安委員会が禁止命令を出したりすることができます。2025年の改正では、被害者からの申出がなくても警察の判断で警告を出せる仕組みも設けられました。大学で起きている行為であっても、警察に相談できることに変わりはありません。

大学に相談する前に整理しておきたいこと

 大学の窓口では、限られた面談時間の中で状況を説明することになります。次の点をメモにしておくと、話がまとまりやすくなります。

  • いつ、どこで、何をされたかの時系列(日時・場所・相手の言動)。
  • 相手との接点がある授業名、ゼミ、サークル、研究室などの具体的な場面。
  • メッセージの画面、着信履歴、目撃した友人の名前などの記録。
  • 大学にしてほしい配慮の内容(授業の振替、発表日の調整、名簿の非掲載など)。
  • 相談内容を誰にまで共有してよいかという希望。
  • 警察への相談の有無と、相談した警察署の名前。


相談したことは相手に伝わるのか

 学生相談室での相談の段階では、本人の同意なく相手に内容が伝わることは通常ありません。ただ、ハラスメントの申立てとして正式な調査に進むと、事実確認のために相手からも話を聞くことになるため、相手は申立てがあったことを知ることになります。どの段階で何が相手に伝わるのかは大学の規程によって異なるので、相談の最初に「この相談はどこまで共有されますか」と確認しておくと安心です。相手に知られることで状況が悪化しないか心配な場合は、その不安自体を窓口に伝えてください。

警察・弁護士と大学をどう組み合わせるか

 元交際相手からのつきまといへの対応は、大学、警察、弁護士がそれぞれ別の役割を持っています。

相談先主な役割
大学学内での接点を減らす調整、学内での安全確保、名簿や公開情報への配慮
警察警告・禁止命令などストーカー規制法に基づく措置、危険が迫っているときの保護
弁護士相手との連絡窓口の一本化、接触禁止の合意書の作成、裁判所への仮処分の申立て


 弁護士に依頼した場合は、弁護士が代理人として相手に連絡し、今後の連絡はすべて弁護士を通すよう求めることができます。話し合いがまとまれば、学内でも話しかけない、部室や研究室に近づかないといった内容を含む接触禁止の合意書を作ることも考えられます。同じ大学に通い続ける以上、授業などで姿を見かけること自体まで避けるのは難しいため、どのような行為を禁止の対象にするかは、学内での生活を踏まえて具体的に決めていく必要があります。

 また、大学にどのような配慮を求めるかを弁護士と整理したうえで相談に行くと、必要なことを過不足なく伝えやすくなります。大学への相談、警察への相談、弁護士への依頼は、どれか1つを選ぶものではなく、状況に応じて並行して進めることができます。

よくあるご質問


相手を退学や停学にするよう大学に求めることはできますか

 大学に処分を検討してほしいと伝えることはできますが、処分をするかどうか、どの程度の処分にするかは、大学が学則や規程に沿って判断します。被害を受けた側が処分の内容を決めることはできません。処分の有無にかかわらず、自分の安全を守るための配慮や、警察・弁護士による対応は別に進めることができます。

卒業した元交際相手がOB・OGとしてサークルに来る場合も、大学に相談できますか

 卒業生は大学の学生ではないため、学則による処分の対象にはなりにくいのが通常です。ただし、公認サークルであれば、学生課を通じて活動への部外者の参加について相談できる場合があります。卒業生による行為がつきまといにあたる場合は、警察への相談や弁護士を通じた接触禁止の申入れが中心になります。

親に知られずに大学に相談できますか

 成人している学生の相談については、本人の同意なく保護者に連絡しない運用をとる大学が多いと考えられます。ただし、休学や学費に関わる手続に進む場合や、命の危険があると判断された場合には、保護者に連絡が入ることもあります。気になるときは、相談の最初に保護者への連絡の扱いを確認しておくとよいでしょう。

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当事務所へのご相談

 サークルやゼミでのつきまといは、学生生活を続けながら向き合わなければならない点に難しさがあります。大学への相談で学内の接点を減らしつつ、学外での行為や止まらない連絡には警察や弁護士の手段を組み合わせることで、学業を続けるための環境を整えていくことができます。大学に何を伝えればよいか、相手にどう連絡を止めてもらうかを一緒に整理するところから、当事務所でお手伝いします。

同じような状況でも、経緯や残っている記録によって取れる手段は変わります。どこから手をつければよいか判断がつかない段階でも、事実を整理するところからご一緒できます。
当事務所では、電話・メール・LINEのうちご希望の方法でご相談をお受けしています。ご都合のよい手段をお選びください。
早い段階でご相談いただくほど、選べる手立ては多く残ります。迷っている段階でも、まずはお気軽にお声がけください。

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若井亮
専門家

若井亮(弁護士)

弁護士法人若井綜合法律事務所

風俗トラブルや男女トラブル、それに伴う刑事事件まで一貫して対応。累計相談件数は男女トラブル約23,000件、風俗トラブル約8,000件。全国からの相談を24時間受け付け、迅速な対応を心がけています。

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