【男女トラブル】有償の恋愛代行サービス(レンタル彼氏・彼女)のトラブル
本記事は、2026年11月時点の法令にもとづいて、交際関係が終わった相手に私物を売られた場合の考え方を整理したものです。個別の事情によって結論が変わることがあります。
別れた恋人の家に置いたままにしていた服やバッグ、あるいは自分の部屋にあったはずのゲーム機や時計が、いつの間にかフリマアプリに出品されていた。交際の解消をめぐるトラブルの中で、こうしたご相談は少なくありません。相手に問いただしても「置いていったのだから好きにしていいと思った」「もらった物だと思っていた」と返され、どこから手をつければよいか迷う方が多い場面です。
この記事では、別れた恋人に私物を勝手に売られたときに、相手が罪に問われる可能性があるのか、弁償や物そのものの返還を求められるのか、そして気づいた日から何を残しておけばよいのかを順に整理します。
最初に整理しておきたい3つの事情
同じ「勝手に売られた」でも、法的な見方は事情によって大きく変わります。まずは次の3点を書き出してみることをおすすめします。
- 売られた物が本当に自分の所有物であったか(購入した記録、贈った・贈られた経緯)。
- 売られる直前にその物がどこにあったか(相手の家、自分の家、二人で暮らしていた部屋)。
- いつ、どこで、いくらで売られたのか(フリマアプリ、買取店、知人への譲渡など)。
1つ目は「そもそも誰の物か」という問題です。交際中に相手へ贈った物は、原則として贈った時点で相手の物になっているため、別れた後に売られても「私物を勝手に売られた」とは言いにくくなります。反対に、相手から「もらった」と主張されても、実際に贈った事実がなければ所有はこちらに残ります。2つ目と3つ目は、次に説明する罪の種類や、物を取り戻せるかどうかに直接かかわります。
罪に問われる可能性は「物がどこにあったか」で分かれる
他人の物を無断で売る行為は、刑法上の犯罪にあたる可能性があります。ただし、どの罪が問題になるかは、売られる前にその物を誰が管理していたかによって異なります。おおまかな整理は次のとおりです。
| 物があった場所 | 問題になり得る罪 | 主な確認ポイント |
|---|---|---|
| 相手の家(置いていた・預けていた) | 横領罪 | 処分を任せたと受け取られるやり取りがないか |
| 自分の家 | 窃盗罪、住居侵入罪 | 合鍵の有無、部屋に入った経緯 |
| 二人で暮らしていた部屋 | 事情により異なる | 誰が費用を出したか、共有の物か |
相手の家に置いていた私物を売られた場合
交際中に相手の家へ着替えや身の回りの物を置いていた場合、その物は相手の管理下にありながら、所有者はあなたのままです。このように預けた形になっている物を相手が無断で売った場合は、横領罪(刑法252条1項、5年以下の拘禁刑)が問題になります。
もっとも、相手が「置いていく物は処分してよいと言われた」と主張することがあります。別れ際のLINEなどに「残った物は捨てていい」といったやり取りが残っていると、所有権を手放した、あるいは処分を任せたと受け取られるおそれがあり、評価が分かれやすい点です。
自分の家から持ち出されて売られた場合
合鍵を使ってあなたの部屋に入り、物を持ち出して売ったという場合は、窃盗罪(刑法235条、10年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金)にあたる可能性があります。別れた後に無断で部屋へ入っていれば、住居侵入罪(刑法130条)も別に問題になります。合鍵が相手の手元に残っている場合は、売却の問題と並行して鍵の扱いも考えておく必要があります。
二人で暮らしていた部屋の物の場合
同棲していた部屋にある物は、どちらの物か、あるいは二人で費用を出し合った共有の物かが曖昧になりがちです。共有の物であっても、相手が自分の持分を超えて無断で売れば問題になり得ますが、刑事事件として扱われるかどうかは事情によります。同棲中の家具・家電の売却については、【男女トラブル】同棲中に相手が勝手に家具や家電を売ったでも解説しています。
なお、家族の間の窃盗や横領には、刑を免除する「親族相盗例」(刑法244条1項)という特例があります。しかし交際相手は親族ではないため、この特例は及びません。内縁の配偶者についても、この特例は適用されないとした最高裁判所の判断があります(最高裁平成18年8月30日決定)。
弁償を求めるときの考え方
刑事事件として扱われるかどうかとは別に、民事上は、相手に対してお金での賠償を求めることが考えられます。根拠となるのは、不法行為にもとづく損害賠償(民法709条)や、売却で得たお金の返還を求める不当利得返還請求(民法703条・704条)です。
金額の目安としてよく問題になるのが、「買ったときの値段」で請求できるかという点です。損害賠償は、売られた時点でのその物の価値(時価)を基準に考えるのが一般的で、使っていた期間や状態によっては購入価格より低くなります。一方で、相手が時価を上回る値段で売っていた場合には、実際に受け取った売却代金の返還を求める組み立ても考えられます。
思い出の品を売られた悔しさから慰謝料を求めたいと考える方もいます。ただ、物が損なわれたことによる精神的な苦痛は、物の価値の賠償によって埋め合わされると考えられることが多く、慰謝料が認められる場面は限られています。
また、不法行為にもとづく請求には期限があり、損害と相手を知った時から3年、売られた時から20年を過ぎると、時効により請求できなくなるおそれがあります(民法724条)。気づいてから長く放置しないことが大切です。
売られた物そのものを取り戻せるか
「お金ではなく、あの物を返してほしい」という場合、問題になるのは買った人の立場です。民法には、取引で物を手に入れた人が、売主に権利がないことを知らず、知らないことに落ち度もなかった場合に、その物の所有権を取得する「即時取得」という仕組みがあります(民法192条)。フリマアプリなどで通常どおり購入した人は、これにあたることが多いと考えられます。
ただし、盗まれた物については例外があり、盗難の時から2年以内であれば、持ち主は今持っている人に返還を求めることができます(民法193条)。買い受けた人が店舗などから善意で購入していた場合は、その人が支払った代金を弁償しなければ返還を受けられないこともあります(民法194条)。また、リサイクルショップや買取店などの古物商が盗品を買い取っていた場合は、盗難の時から1年以内であれば無償での返還を求められる規定もあります(古物営業法20条)。
注意したいのは、これらの例外が「盗まれた物」と「なくした物」に限られる点です。相手の家に置いていた物を売られた横領の場面では、この例外は使えず、購入者から物を取り戻すことは難しくなります。その場合は、相手に対する金銭での請求が中心になります。
購入者を探し出して直接返還を頼むことは、相手に応じる義務がない場合も多く、かえってトラブルを広げるおそれがあります。物の返還を求めたいときは、警察や弁護士を通じて進めるほうが安全です。
気づいた日に残しておきたい記録
出品ページは、売れた後に削除されたり見られなくなったりすることがあります。気づいた時点で、次のような記録を残しておくことをおすすめします。
- 出品ページの画面の保存(商品名・写真・価格・出品日時・出品者名が分かるもの)。
- 自分の物だと示す資料(購入時のレシートや注文履歴、保証書、シリアル番号、自分が使っている写真)。
- 相手の家や自分の部屋に置いていたことが分かるやり取り(LINEのメッセージなど)。
- 別れ際に荷物の扱いについて話したやり取り。
- 売られたことに気づいた日時と、その経緯のメモ。
特に、別れ際の荷物についてのやり取りは、相手が「処分してよいと言われた」と主張したときに重要になります。自分に不利に見える内容であっても、消さずに残しておくほうが、後で全体の流れを説明しやすくなります。
相手への連絡と警察への相談の進め方
相手に連絡するときは用件をしぼる
返還や弁償を求めて相手に連絡すること自体は、正当な権利の行使です。ただし、別れた相手に何度も連絡を重ねたり、感情的な言葉を送ったりすると、話し合いがこじれるだけでなく、こちらの言動が問題視されるおそれもあります。連絡は、売られた物、求める内容(返還か弁償か)、回答の期限といった用件にしぼり、記録の残る方法で送るのが基本です。正当な用件でも連絡の仕方に注意が要る理由は、【刑事事件】元交際相手に荷物やお金の清算で連絡したい|正当な用件でもストーカーと言われる場面で詳しく解説しています。
また、腹立たしさから相手の家に取り返しに行く、相手の物を代わりに売ってしまうといった対応は、こちらが住居侵入や窃盗などに問われるおそれがあるため避けてください。
警察に相談するとき
窃盗や横領の被害として、警察に被害届を出すことも考えられます。もっとも、交際していた者どうしの物をめぐる問題は当事者間の問題と受け止められ、すぐに捜査が始まるとは限りません。相談に行く際は、上で挙げた記録をそろえ、どの物が、いつ、どこから、どのように売られたのかを時系列で説明できるようにしておくと、話が伝わりやすくなります。相談した日付や対応した部署も控えておくと、後の手続で役立つことがあります。
弁護士に依頼した場合にできること
弁護士にご依頼いただいた場合、相手との連絡の窓口を弁護士に移し、事実関係の確認、返還や弁償の請求、合意書の作成までを進めることができます。別れた相手と直接やり取りせずに済むため、精神的な負担を減らせる点も大きいところです。
合意に至る場合は、支払う金額や期限だけでなく、今後お互いに連絡を取らないことや、手元に残っている物の返し方なども書面に残しておくと、後から蒸し返されるおそれを小さくできます。話し合いで解決しない場合は、60万円以下の金銭の支払いを求める少額訴訟を含め、裁判手続を検討することになります。交際の解消をめぐるトラブル全般への対応は、【男女トラブル】弁護士が交際関係の解消時のトラブルに介入するサービス|金銭の清算・画像の削除・ストーカー・脅迫まで全国対応でご紹介しています。
よくあるご質問
「残していった物だから、もらってよいと思った」と言われました
物を置いていっただけで、所有権を手放したことにはなりません。ただ、別れ際に「いらない」「処分して」と伝えていた場合は、話が変わる可能性があります。当時どのようなやり取りがあったかを確認することが出発点です。荷物を残された側から見た扱いについては、【男女トラブル】相手の荷物が家に残っている・自分の荷物を取りに行きたい|勝手に処分してよいかもご参照ください。
交際中に贈ったプレゼントを売られた場合も、返してもらえますか
プレゼントは贈った時点で相手の物になるのが原則のため、別れた後に売られても、返還や弁償を求めることは難しいことが多いです。婚約指輪のように、結婚を前提に贈った物については、別の考え方がとられることもあります。
売られた物の金額が小さくても相談できますか
金額の大小にかかわらずご相談いただけます。費用とのバランスによっては、弁護士に依頼するより、ご自身で書面を送るほうが合う場合もあります。そうした進め方も含めて、状況に合った選択肢をお伝えします。
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まとめ
別れた恋人に私物を売られた場合、物が相手の家にあったのか、自分の家から持ち出されたのかによって、問題になる罪も、物そのものを取り戻せるかどうかも変わります。どの場面でも、出品ページの記録や自分の物であることを示す資料、別れ際のやり取りが、その後の話し合いや手続の土台になります。
相手と直接やり取りするのがつらい、相手の言い分にどう答えればよいか分からないという段階でも、経緯を整理するところからお手伝いできます。
同じような状況でも、経緯や残っている記録によって取れる手段は変わります。どこから手をつければよいか判断がつかない段階でも、事実を整理するところからご一緒できます。
当事務所では、電話・メール・LINEのうちご希望の方法でご相談をお受けしています。ご都合のよい手段をお選びください。
早い段階でご相談いただくほど、選べる手立ては多く残ります。迷っている段階でも、まずはお気軽にお声がけください。


