【親子問題】子が親の悪口を親戚中に言いふらしている、止められる?
本記事は2026年10月時点の法令・制度をもとにしています。高等学校卒業程度認定試験の試験科目や、学び直しに関する支援制度は見直されることがあるため、最新の内容は文部科学省や各窓口でご確認ください。
不登校が続いた末に、子が高校を中退した。そのとき親御さんの頭に浮かぶのは「この先の進路はどうなるのか」「このまま家にいる状態が続くのではないか」という不安ではないでしょうか。
高校を中退した後の進路は、一つではありません。通信制高校や定時制高校への編入学、高等学校卒業程度認定試験(高卒認定試験)、働きながら考える道など、いくつかの選択肢があります。ただ、選択肢を並べることと、本人がそこへ進めることは別の問題です。
この記事では、中退した直後に整えておきたいこと、主な進路の特徴、法律上の親の関わり方、そして家庭内の問題が重なってきたときの相談先について、順に整理します。
中退した直後は「次の学校」より先に整えたいこと
中退が決まると、親としては早く次の行き先を決めたくなるものです。しかし、不登校の期間が長かった場合、本人は心身ともに疲れていることが少なくありません。朝起きる、食事をとる、家族と短い会話をするといった日常の土台が戻らないうちに進路を決めても、新しい学校に通えなくなるおそれがあります。
一方で、時間が経つと手に入りにくくなるものもあります。中退の前後で、次の書類や情報を確保しておくと、後の選択肢を狭めずに済みます。
- 在籍していた高校で修得した単位がわかる書類(成績証明書・単位修得証明書など)。
- 在籍期間がわかる書類(在学期間証明書など)。
- 担任や進路指導の先生など、中退後も相談できる学校側の窓口。
- 通っていた医療機関やスクールカウンセラーがいれば、その連絡先。
修得した単位は、通信制高校などに編入学する場合に引き継げることがあり、高卒認定試験の一部科目の免除に使えることもあります。証明書の発行には時間がかかる場合があるため、早めに学校へ問い合わせておくと安心です。
高校を中退した後に考えられる主な進路
| 進路 | 特徴 | 検討しやすい場面 |
|---|---|---|
| 通信制高校 | 自宅学習とレポート提出、年数回のスクーリングが中心 | 毎日の通学が難しいが、高校卒業の資格を得たい場合 |
| 定時制高校 | 夜間や昼間など、時間帯を選んで通学する | 一定の時間帯であれば通学でき、学校生活を経験したい場合 |
| 全日制高校への再入学 | あらためて入学試験を受けて入り直す | 生活リズムが戻り、毎日の通学が見込める場合 |
| 高卒認定試験 | 試験に合格すると、高校卒業者と同等以上の学力があると認定される | 学校という形にこだわらず、進学や資格取得を目指す場合 |
| 就労・職業訓練 | アルバイトや職業訓練を通じて社会との接点をつくる | まず働くことや生活の安定を優先したい場合 |
通信制・定時制高校への編入学
中退した高校で修得した単位を引き継げる学校であれば、学年をすべてやり直さずに卒業を目指せることがあります。通信制高校は、毎日の登校を前提としない点で、不登校を経験した子にとって検討しやすい選択肢の一つです。
ただし、通信制高校でもレポートの提出やスクーリングへの出席は必要です。学校によって通学日数やサポートの手厚さが大きく異なるため、本人と一緒に見学や個別相談に足を運び、無理なく続けられる形かどうかを確かめることが大切です。学費についても、国の高等学校等就学支援金や、中退後に学び直す人向けの支援制度が使える場合があるので、学校や都道府県の窓口に確認しておきましょう。
高卒認定試験
高卒認定試験は、様々な理由で高校を卒業していない人の学力を、高校卒業者と同等以上かどうか認定する文部科学省の試験です。受験する年度の終わりまでに満16歳以上になる人が対象で、例年、年2回実施されています。高校で修得した単位によっては、一部の科目が免除されることもあります。なお、令和8年度の試験からは「情報」が試験科目に加わっています。
合格すれば大学・短大・専門学校の受験資格が得られ、就職や資格試験の場面で高校卒業と同等に扱われることもあります。ただし、高卒認定試験の合格は「高校を卒業した」という学歴そのものではありません。また、18歳未満で全科目に合格した場合、合格者となるのは18歳になってからです。こうした点を本人と共有したうえで選ぶとよいでしょう。
働きながら考える
すぐに進学先を決めず、アルバイトなどで社会との接点を持ちながら、学び直しの時期を探る道もあります。働くことで生活リズムが整い、そこから進学を考え始める人もいます。
18歳未満の子が働く場合、労働基準法により、原則として午後10時から午前5時までの深夜の時間帯には働けません。また、勤務先は年齢を証明する書類を備え付ける必要があります。親としては、勤務先や時間帯が本人の年齢に合ったものかを確認しておくと安心です。
親が判断を急がないほうがよい理由
進路の話を持ち出すと、子が強く拒んだり、部屋にこもってしまったりすることがあります。親から見ると「何も考えていない」と映るかもしれませんが、本人の中では、中退した自分を責める気持ちや、同級生との差への焦りが渦巻いていることも少なくありません。
親が学校を選び、手続を進めてしまうと、本人の中で「自分で決めた」という感覚が育ちにくくなります。その結果、新しい学校にもなじめず、再び通えなくなるということも起こり得ます。進路は、本人が選んだと感じられる形で決まるほうが続きやすいといえます。
とはいえ、何年も話し合いを先延ばしにすると、昼夜逆転や外出の減少が固定化し、長期のひきこもりへ移っていくこともあります。急がせないことと、放置することは違います。「いつまでに決めなさい」と迫るのではなく、「パンフレットを取り寄せておいたから、気が向いたら見て」と選択肢を手の届く場所に置いておく関わり方が、一つの目安になります。
法律上、親は進路にどこまで関わるのか
子が18歳未満であれば、親は親権者として子の監護や教育について権利を持ち、義務を負います(民法820条)。通信制高校との入学契約などは、未成年者が単独で結ぶと後から取り消せる場合があるため、通常は親の同意や親名義での契約が必要になります。
一方、18歳で成年に達すると、進路の選択も契約も本人が自分で行うのが原則です。親が成人した子の学費や生活費をどこまで負担しなければならないかは、子の年齢や健康状態、働く力、親の収入などによって判断が分かれ、一律に決まるものではありません。成人した大学生が親に仕送りを求めた事案でも、親の資力や進学についての親の意向などを考慮して判断されてきました。詳しくは【親子問題】親の扶養義務はどこまでか|成人した子を養う義務はあるのかで解説しています。
親が「どこまで出すか」を早めに家族で話し合っておくと、後になって学費や生活費をめぐる対立が起きたときにも、方針を説明しやすくなります。
中退後に家庭内の問題が重なってきたとき
中退後の時間が長くなるにつれて、進路の悩みに別の問題が重なってくることがあります。
- 進路の話をすると物を投げる、壁をたたくなど、暴力的な言動が出てくる。
- 小遣いの増額や高額な買い物の費用を繰り返し求めてくる。
- 昼夜逆転が続き、家族とほとんど顔を合わせなくなった。
- 親が疲れ切って、子にどう接すればよいかわからなくなった。
こうした状況では、進路だけを切り離して考えるのは難しくなります。まずは家族の安全を確保し、次に本人が社会とつながるきっかけを探す、という順序で整理するとよいでしょう。暴力がある場合は【親子問題】子から暴力を受けている|まず確保すべき安全と記録、お金の要求が続く場合は【親子問題】子から金銭を要求され続けている|断ることの法的な位置づけも参考にしてください。
公的な相談先としては、ひきこもり地域支援センターや、15歳から49歳までの人の就労を支援する地域若者サポートステーションなどがあります。中退した高校や教育委員会が、中退者向けの相談窓口を設けている地域もあります。
当事務所では、弁護士が親御さんの代理人として子との窓口に立ち、自立支援カウンセラーが本人の生活や就労、学び直しの相談に寄り添うという形で、親子の問題に取り組んでいます。親と子がそれぞれ自立に向かえるよう、ご家庭ごとに支援の内容を組み立てています。
- 【親子問題】弁護士が「親の代理人」として親子問題に介入するサービス|家庭内暴力・ひきこもりに悩むご家庭へ、自立支援カウンセラーとチームで対応
- 【親子問題】親子の問題はどこに相談すればよいのか|警察・行政・弁護士の役割分担
- 【親子問題】ひきこもり地域支援センターでできること・できないこと
- 【親子問題】就労支援の選択肢|サポステ・就労準備支援事業の実際
まとめ
不登校から高校を中退した後の進路には、通信制・定時制高校への編入学、全日制高校への再入学、高卒認定試験、働きながら考える道など、複数の選択肢があります。大切なのは、どの道を選ぶかより、本人が自分で選んだと感じられる形で一歩を踏み出せるかどうかです。中退直後は書類を確保しつつ生活の土台を整え、進路の話は選択肢を手の届く場所に置く形で進めていくとよいでしょう。進路の悩みに暴力やお金の問題が重なり、家族だけで抱えきれなくなったときは、早めに外の力を借りることも考えてみてください。
同じような状況でも、経緯や残っている記録によって取れる手段は変わります。どこから手をつければよいか判断がつかない段階でも、事実を整理するところからご一緒できます。
当事務所では、電話・メール・LINEのうちご希望の方法でご相談をお受けしています。ご都合のよい手段をお選びください。
早い段階でご相談いただくほど、選べる手立ては多く残ります。迷っている段階でも、まずはお気軽にお声がけください。


