【親子問題】子が親の実印や権利証を持ち出した|悪用を止める手続の順序と、使われていた場合の対応
ひきこもりの状態が続き、子が家族以外の誰とも話さなくなっていると、「このまま社会との接点がなくなってしまうのではないか」と不安を感じる親御さんは少なくありません。外に出ることや人と顔を合わせることに強い抵抗がある場合でも、自宅からインターネットで参加できる「オンラインの居場所」が、家族以外の人との最初の接点になることがあります。
この記事では、オンラインの居場所とはどのような場なのか、どのような場面で役立ちやすく、どのような点に気をつけたいのかを、親の立場から整理します。
この記事は2026年10月時点で公表されている情報をもとにしています。自治体や支援団体が実施するオンラインの居場所は、年度ごとに内容や開催方法が変わることがあるため、利用を考える際は各窓口で最新の情報をご確認ください。
オンラインの居場所とはどのような場か
オンラインの居場所は、ひきこもりの状態にある人が、自宅にいながらほかの人と交流できるように、インターネット上に設けられた場です。厚生労働省の調査研究事業で作成された「ひきこもり支援におけるオンライン活用ガイド」では、Web会議システムを使う形、チャットツールを使う形、アバターで動き回るバーチャル空間を使う形、オンラインゲームを一緒に遊ぶ形などが紹介されています。
多くの場では、カメラをオフにしたまま、ニックネームで参加できるようにしています。声を出さずにチャットだけで参加することや、途中から入って途中で抜けることを認めている場もあり、「人と話すのは怖いけれど、誰かとつながってはみたい」という段階の人でも参加しやすいように工夫されています。
運営する主体によって、場の性質は大きく異なる
「オンラインの居場所」と呼ばれるものには、自治体が設けるものから、一般のSNSやゲームのコミュニティまで幅があります。親として最初に押さえておきたいのは、誰が運営し、誰が場を見守っているかという点です。
| 種類 | 主な運営者 | 参加の方法 | 見守りの有無 |
|---|---|---|---|
| 自治体の居場所事業 | 都道府県・区市町村(民間団体への委託を含む) | 事前の申込みが必要なものが多い | 支援員やスタッフが在席していることが多い |
| 民間の支援団体・当事者会の居場所 | NPO法人、当事者団体、家族会など | 団体ごとに異なる | 団体の方針による |
| 一般のSNS・ゲームのコミュニティ | サービス事業者の規約があるのみ | 誰でも参加できるものが多い | 基本的にない |
自治体の居場所事業では、参加の前に申込みや聞き取りを行い、暴言や誹謗中傷などの禁止事項を利用上の注意として定めているものがあります。不特定多数が出入りする場にせず、参加する人が安心して過ごせるようにするための工夫です。
一方で、一般のSNSやゲームのコミュニティには、趣味の合う相手と気軽に出会える良さがある反面、相手が誰なのかを確かめる仕組みがなく、トラブルが起きても間に入る人がいないことが多いといえます。
オンラインの居場所が役立ちやすい場面
前述のガイドでは、オンラインの居場所は、外出や対面での交流に心理的な抵抗がある人や、近くに通える居場所がない人にとって、参加の選択肢を増やすものとして位置づけられています。たとえば、次のような状況では、オンラインの居場所が入口として合う可能性があります。
- 家族以外と話していない期間が長く、いきなり対面の場に行くことが難しい場合。
- 顔を見られることや、声を出すことに強い抵抗がある場合。
- 生活リズムが乱れていて、決まった時間に外出することが難しい場合。
- 住んでいる地域に通える居場所がない、または地元の場には行きにくいと感じている場合。
ガイドでは、最初はチャットのやり取りも難しかった人が、答えやすい話題から少しずつやり取りを重ねるうちに発言が増えていった例や、オンラインで場の雰囲気を知ってから対面の居場所に足を運ぶようになった例が紹介されています。オンラインの居場所は、それ自体がゴールというよりも、人と関わる感覚を少しずつ取り戻していく入口として活用されることが多いといえます。
オンラインの居場所が合いにくい場面もある
オンラインであれば誰にとっても参加しやすい、というわけではありません。同じガイドでは、自宅に落ち着いて過ごせる個室がない、パソコンや通信環境が整っていない、画面越しの会話でかえって不安が強くなる、といった事情がある場合には、電話での参加や対面の居場所に切り替えるなど、本人のペースに合わせた方法を探ることが大切だとされています。
また、親が同じ家にいると落ち着いて参加しにくいと感じる人もいます。参加している時間帯は部屋に近づかない、物音に気を配るといった配慮が、本人にとっての参加しやすさにつながることがあります。
親が勧めるときに気をつけたいこと
オンラインの居場所は、本人が自分の意思で参加する場です。成人した子について、親が本人に代わって参加を決めることはできませんし、無理に参加させようとすると、かえって反発を招くことがあります。
情報を「置いておく」ところから始める
参加を強く勧めるよりも、案内のチラシを目につくところに置いておく、「こういう場もあるみたい」と一言伝えるにとどめる、といった関わり方のほうが受け入れられやすいことがあります。顔を出さなくてよいこと、名前を名乗らなくてよいこと、途中で抜けてもよいことなど、参加のハードルが低い点を伝えると、本人が自分で調べてみるきっかけになる場合もあります。
本人になりすまして申し込まない
申込みの手続を親が代わりに進めたり、本人の名前で運営側に連絡を取ったりすることは避けたほうがよいでしょう。運営側は本人の意思を確かめたうえで参加を受け付けるのが通常ですし、本人が知らないうちに話が進んでいたと分かれば、親への不信感が強まるおそれがあります。
参加の中身を詮索しない
参加し始めた後に「何を話したのか」「誰と知り合ったのか」と細かく尋ねたり、子の端末をのぞいたりすると、本人にとって、ようやく見つけた居場所が親に見られている場所に変わってしまいかねません。様子が気になるときも、まずは本人が話してくれることを受け止めるところから始めるのが無理のない関わり方です。
本人が支援を拒んでいる段階で家族がどこまで動けるかについては、【親子問題】本人が相談を拒む場合|家族だけで動ける範囲でも解説しています。
運営者のいない場でのつながりに潜むリスク
見守る人がいない一般のSNSやゲームのコミュニティでは、孤立している人ほど、親身に話を聞いてくれる相手を強く頼りやすくなります。その関係が本人の支えになることもありますが、次のような変化が見られる場合は注意が必要です。
- オンラインで知り合った相手への送金がうかがえること。
- 「簡単に稼げる仕事」の誘いを受けていること。
- 身分証・銀行口座・携帯電話を他人に渡す話が出ていること。
- 急に外出が増え、行き先や会う相手を話さなくなったこと。
こうした変化があるときは、恋愛や投資を装った金銭の要求や、犯罪に加担させる勧誘に巻き込まれている可能性も考えておく必要があります。詳しくは、【親子問題】SNSで知り合った相手に子が金を送り続けている|ロマンス詐欺・投資勧誘の構造と、止められない理由や【親子問題】子が闇バイトに関わっていると分かった|親の立場でできること・してはいけないことをご覧ください。
また、民間の団体が運営する場の中には、オンラインでの交流をきっかけに、有料のプログラムや入寮型の施設への案内が行われるものもあります。契約を検討するときは、運営主体や費用、解約の条件、本人の同意をどのように確かめるのかを事前に確認しておきたいところです。確認の観点は、【親子問題】民間の自立支援施設を選ぶ前に確認すべきこと|契約・担い手・解約・本人の意思で整理しています。
東京都内でオンラインの居場所を探すときの入口
東京都では、ひきこもりに関する相談窓口として「東京都ひきこもりサポートネット」が設けられており、電話やメールでの相談のほか、ひきこもりの経験がある人やその家族によるオンライン相談も行われています。区市町村の取り組みとしては、港区がメタバース空間を使った居場所を毎月開いているほか、江戸川区もオンラインで参加できる居場所を設けています。
開催の頻度や対象者、申込方法は自治体ごとに異なり、年度によって変わることもあります。どこに何があるか分からない場合は、お住まいの区市町村のひきこもり相談窓口や東京都ひきこもりサポートネットに、家族として問い合わせるところから始めることもできます。本人向けの居場所の情報だけでなく、家族向けの相談や家族会の情報を案内してもらえることもあります。
公的な窓口の役割については【親子問題】ひきこもり地域支援センターでできること・できないこと、家族同士で支え合う場については【親子問題】家族会・当事者会の役割|弁護士に頼む前にできることで詳しく解説しています。
居場所だけでは解決しにくい問題があるとき
オンラインの居場所は、本人が社会とのつながりを取り戻していくための選択肢の一つです。ただ、家庭の中で次のような問題が起きている場合には、居場所の利用とは別に、対応を考える必要があります。
- 親やきょうだいへの暴力や暴言。
- 繰り返されるお金の要求。
- 借金や契約をめぐるトラブル。
- 犯罪行為への関与の疑い。
こうした問題は、本人が居場所に参加するかどうかとは別に、親自身の安全や生活を守るための手当てが必要になることがあります。どの問題をどこに相談すればよいかについては、【親子問題】親子の問題はどこに相談すればよいのか|警察・行政・弁護士の役割分担をご参照ください。
当事務所では、弁護士が親の代理人として子との窓口になり、民間の自立支援カウンセラーが本人の生活面を支えるという役割分担で、家庭内暴力やひきこもり、お金の無心などに悩むご家庭のご相談をお受けしています。サービスの内容は【親子問題】弁護士が「親の代理人」として親子問題に介入するサービス|家庭内暴力・ひきこもりに悩むご家庭へ、自立支援カウンセラーとチームで対応、ご相談から自立までの流れは【親子問題】子の暴力・ひきこもり・お金の無心・犯罪行為に悩む親御さんへ|ご相談から自立までの流れと費用、よくあるご質問でご案内しています。
よくあるご質問
親が先にオンラインの居場所に参加して、様子を見てもよいですか
本人向けの居場所は、ひきこもりの状態にある本人を対象としているものが多く、家族の参加を想定していない場合があります。雰囲気を知りたいときは、運営している窓口に家族として問い合わせ、案内のチラシや参加者向けの説明を見せてもらう方法が考えられます。家族向けの相談会や家族会がオンラインで開かれていることもあります。
子が参加しているかどうかを、運営側に問い合わせて確かめられますか
運営側は参加者の情報を慎重に扱っているため、家族からの問い合わせであっても、参加の有無や内容については答えてもらえないことが多いと考えられます。参加しているかどうかを確かめることよりも、本人が安心して参加を続けられる環境を家庭の側で整えることを優先したほうがよいでしょう。
参加に費用はかかりますか
自治体が設けている居場所や相談窓口は、無料としているものが多くみられます。民間の団体が運営する場には有料のものもあるため、参加の前に費用の有無や支払いの方法を確認しておくと安心です。
家族以外と話さない状態が続いていても、本人のペースに合ったつながり方が見つかることはあります。オンラインの居場所はその選択肢の一つとして、本人の意思を大切にしながら、無理のない形で情報を届けていくことが出発点になります。そのうえで、暴力やお金の問題など家庭の中だけでは抱えきれない事情があるときは、親御さん自身が相談先を持っておくことも大切です。
同じような状況でも、経緯や残っている記録によって取れる手段は変わります。どこから手をつければよいか判断がつかない段階でも、事実を整理するところからご一緒できます。
当事務所では、電話・メール・LINEのうちご希望の方法でご相談をお受けしています。ご都合のよい手段をお選びください。
早い段階でご相談いただくほど、選べる手立ては多く残ります。迷っている段階でも、まずはお気軽にお声がけください。


