【刑事事件・ストーカー事件】警告を受けた後、相手と共通のグループLINEに残っていてもいい?

若井亮

若井亮

テーマ:刑事事件

本記事は2026年10月時点の法令にもとづいて解説しています。ストーカー規制法は改正が重ねられているため、実際の対応にあたっては最新の条文や、担当の警察署からの説明もあわせてご確認ください。


警察から警告を受けた後、相手と同じグループLINEに自分が残ったままになっていることに気づき、どうすればよいか迷う方は少なくありません。サークルや職場、保護者会、友人同士の集まりなど、グループには相手以外のメンバーもいるため、抜けると周囲に気づかれるのではないか、抜けなければ警告に反したと見られるのではないか、という二つの不安が重なりやすい場面です。

 この記事では、グループに「残っていること」と、グループの中で「何をするか」を分けて整理したうえで、退会するかどうかの考え方と、退会するときに気をつけたい点を解説します。

警告の後に問題になるのは「相手への働きかけ」と受け取られる行為

 ストーカー規制法にもとづく警告は、つきまとい等によって相手に不安を覚えさせた人について、さらに繰り返すおそれがあると認められるときに、警察本部長等が「これ以上してはならない」と告げる行政上の措置です(ストーカー規制法4条)。警告そのものに罰則はなく、警告を受けたことだけで前科がつくわけではありません。

 ただし、警告の後に同じような行為が続くと、公安委員会による禁止命令(同法5条)に進んだり、ストーカー行為罪として捜査の対象になったりすることがあります。ストーカー行為罪は警告や禁止命令を経ていなくても成立し得るもので、法定刑は1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金です(同法18条)。禁止命令に違反してストーカー行為をした場合は、2年以下の拘禁刑または200万円以下の罰金と、より重く定められています(同法19条)。警告の意味や、その後の手続の流れについては警察から「警告」を受けた|前科はつくのか、次に何が起きるのかで詳しく解説しています。

 規制の対象となる「つきまとい等」は、法律で類型が限定されています。グループLINEとの関係で特に意識しておきたいのは、次のような類型です。

  • 行動を見張っていると思わせる事項を告げること、またはそれを相手が知り得る状態に置くこと(2条1項2号)。
  • 面会や交際、復縁など義務のないことを求めること(同項3号)。
  • 拒まれたにもかかわらず、電話や文書、SNSのメッセージなどを連続して送ること(同項5号)。
  • 名誉を害する事項を告げること、またはそれを相手が知り得る状態に置くこと(同項7号)。


 見落とされやすいのは、2号や7号に「知り得る状態に置く」という言葉が含まれている点です。相手が読むことのできるグループへの書き込みは、相手に直接送ったメッセージでなくても、この「知り得る状態に置く」にあたると評価される余地があります。なお、いずれの類型も、恋愛感情などの好意や、それが満たされなかったことへの怨恨の感情を充足する目的で行われたものが対象です。

グループに残っているだけで違反になるのか

 グループのメンバーとして名前が残っていることや、他のメンバーの投稿を読むことだけで、直ちに「つきまとい等」にあたると考えるのは難しいのが一般的な理解です。上で挙げた類型は、いずれも相手に向けて何らかの働きかけをすることを前提にしているためです。

 とはいえ、「残っていても問題はない」と言い切れるわけでもありません。注意したい理由は、大きく二つあります。

相手からは「つながりが切れていない」と見える

 警告は、相手が不安を感じていることを前提に出されるものです。相手がメンバー一覧であなたの名前を目にするたびに、自分の投稿を見られているのではないかと感じることは考えられます。法律上の違反にあたらなくても、相手が改めて警察に相談するきっかけになり、事情を聞かれることはあり得ます。

グループの中では、意図しない「働きかけ」が起きやすい

 グループLINEでは、全員に向けた投稿と、特定の人への反応との境目があいまいになりがちです。本人は雑談のつもりでも、時期や内容によっては相手に向けた発言と読まれることがあります。残っている間は、こうした誤解の種を抱え続けることになります。

グループの中で控えたい行為

 グループに残る場合はもちろん、退会するまでの間も、次のような行為は相手への働きかけと受け取られるおそれがあります。

行為問題になり得る理由
相手の投稿への返信やメンション相手個人に宛てたメッセージと評価される余地がある
相手の投稿にだけスタンプやリアクションを続ける回数や時期によっては、関心を向け続けていると受け止められやすい
相手の近況や行動に触れる投稿見張っていると思わせる事項を知り得る状態に置く行為に近づく
思いや謝罪をにじませる投稿グループ全体宛てでも、実質的に相手宛てと読まれることがある
相手の悪口や交際中の出来事の書き込み名誉を害する事項として扱われるほか、名誉毀損が問題になることもある
メンバー一覧から相手を友だち追加する、通話をかけるグループの外での直接の連絡そのものになる
グループで知った集まりに、相手が来ると分かっていて出向く待ち伏せや押し掛けと受け取られるおそれがある


 特に気をつけたいのは、「全員に向けた投稿だから、相手個人への連絡ではない」という考え方です。宛先がグループ全体であっても、内容や投稿の時期から相手に向けたものと読めるときは、個別に送ったメッセージと同じように扱われる可能性があります。回数の少なさだけで安心できない点については連絡は1回だけだった|つきまとい等とストーカー行為の違い、メッセージの内容が別の罪に重なる場面についてはしつこいDM・メッセージを送った|脅迫とストーカー規制法の重なりもご覧ください。

退会するかどうかの考え方

 グループの性質にもよりますが、多くの場合、退会がもっとも誤解を生みにくい選択です。退会すれば、相手への働きかけと受け取られる行為をしてしまう機会そのものがなくなり、相手にとっても「つながりが切れた」ことが目に見える形になります。

退会を前向きに検討したい場面


  • 友人同士や趣味の集まりなど、抜けても生活や仕事に支障が出にくいグループである。
  • 相手とあなたを中心に作られたグループや、共通の知人が少人数で集まるグループである。
  • グループを開くたびに、相手の投稿が気になってしまう。


すぐには退会しにくい場面

 職場の業務連絡や、学校・保護者会の連絡網のように、抜けると必要な情報が届かなくなるグループもあります。この場合は、グループの幹事や上司など信頼できる人に個別に相談し、必要な連絡だけをメールや別のグループで受け取れるようにできないかを検討します。事情を説明する際も、警告の経緯を詳しく伝える必要はなく、「個人的な事情で、このグループからは外れたい」という程度にとどめるのが無難です。

 どうしても残る必要がある場合は、投稿や反応を控え、業務などの必要な連絡を読むだけにとどめます。そのうえで、担当の警察官に「このグループに残っているが、どう振る舞えばよいか」を確認しておくと、後から説明を求められたときにも経緯を示しやすくなります。仕事上の接点が残る場合の考え方は、【ストーカートラブル】仕事上、相手と接点が残る|取引先・同じ業界の場合でも取り上げています。

退会するときに気をつけたいこと

 LINEのグループを退会すると、トーク画面に退会したことが表示され、他のメンバーにも分かる仕組みになっています。表示されること自体は、相手への連絡にはあたらないと考えられますので、必要以上に心配することはありません。むしろ注意したいのは、退会の前後の振る舞いです。

  • 退会のあいさつに、相手のことや警告の経緯、心情を書き込まない。
  • あいさつを入れる場合は、全員に向けた短い一文にとどめる。
  • 退会後に他のメンバーから再び招待されても、参加を見送る。
  • 相手の様子を知るために、別のメンバーに連絡を取らない。
  • 退会した日時を、スクリーンショットなどで記録しておく。


 退会しても、自分が過去に投稿したメッセージや画像はグループに残ります。相手に関する書き込みが残っていて気になる場合でも、慌てて何かを書き足したり、メンバーに削除を頼んだりすると、かえって相手への働きかけと受け取られることがあります。どう扱うかは、弁護士に相談してから決めるほうが安全です。

相手のほうからグループで話しかけられたら

 相手がグループ内であなたの名前を出したり、話しかけるような投稿をしたりすることもあります。弁護士ドットコムにも、警告を受けた後に相手から食事に誘われた、相手と会うようになったがどうなるのか、といった相談が寄せられています。

 相手から話しかけられたからといって、それに応じることが当然に許されるわけではありません。警告の後に再びやり取りが始まると、経緯によっては再度の相談や禁止命令につながるおそれもあります。返信や反応をする前に、【ストーカートラブル】相手から先に連絡が来た|返信したら違反になるのかもあわせて確認し、判断に迷う場合は担当の警察官や弁護士に相談してください。謝罪の気持ちを伝えたい場合も、直接のやり取りには注意が必要です。この点は【ストーカートラブル】謝りたい|謝罪の連絡そのものが問題になる理由で解説しています。

迷ったときに確かめておきたいこと


  1. 受けたのが法律にもとづく警告(書面)なのか、口頭での注意や指導なのかを確認します。
  2. 警告書や警察官の説明で、連絡や接近を控えるよう言われた範囲を見直します。
  3. グループの性質と、退会した場合に生活や仕事に出る影響を書き出します。
  4. 判断がつかないときは、グループの名前や人数、相手との関係を整理したうえで、担当の警察官や弁護士に相談します。


 荷物の返却やお金の清算など、どうしても相手と連絡を取る必要がある用件がグループに絡んでいる場合は、【刑事事件】元交際相手に荷物やお金の清算で連絡したい|正当な用件でもストーカーと言われる場面も参考にしてください。

弁護士法人若井綜合法律事務所へのご相談

 グループLINEは、仕事や生活、人間関係と結びついていることが多く、残るか抜けるかを一人で決めるのは簡単ではありません。当事務所では、警告を受けた後の行動の整理や、警察とのやり取りの進め方についてのご相談もお受けしています。

同じような状況でも、経緯や残っている記録によって取れる手段は変わります。どこから手をつければよいか判断がつかない段階でも、事実を整理するところからご一緒できます。
当事務所では、電話・メール・LINEのうちご希望の方法でご相談をお受けしています。ご都合のよい手段をお選びください。
早い段階でご相談いただくほど、選べる手立ては多く残ります。迷っている段階でも、まずはお気軽にお声がけください。

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若井亮
専門家

若井亮(弁護士)

弁護士法人若井綜合法律事務所

風俗トラブルや男女トラブル、それに伴う刑事事件まで一貫して対応。累計相談件数は男女トラブル約23,000件、風俗トラブル約8,000件。全国からの相談を24時間受け付け、迅速な対応を心がけています。

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