【不貞慰謝料】「不貞行為を認める」と書くことの意味
同棲を解消して一方が部屋を出たのに、住民票は二人とも同じ住所のまま、という状態は珍しくありません。引っ越しの手続を後回しにしているうちに連絡が途絶え、元恋人あての郵便物や役所からの通知が届き続けて困っている、というご相談も見られます。住民票が同じ住所に残っていること自体で直ちに大きな問題になるとは限りませんが、放置すると、行政上の扱いや金銭の清算、相手との距離の取り方に影響が出ることがあります。この記事では、残った側と出ていった側のそれぞれについて、確かめておきたい点と取れる手順を整理します。
この記事は、結婚していない二人の同棲を解消した場面を前提にしています。夫婦の別居や、内縁(事実婚)と評価される関係では扱いが異なる部分がありますので、個別の事情に応じてご確認ください。
住民票は「実際に住んでいる場所」に置くのが原則
住民票は、住民基本台帳法に基づいて、実際に生活の本拠としている住所で登録するものです。引っ越しをした人は、市区町村をまたぐ場合は転出届と転入届(転入は引っ越した日から14日以内)、同じ市区町村の中で移る場合は転居届(14日以内)を出すことになっています(住民基本台帳法22条〜24条)。
正当な理由なくこれらの届出をしない場合、5万円以下の過料の対象となることがあります(同法52条2項)。過料を科すかどうかは簡易裁判所が判断するもので、届出が遅れたからといって必ず科されるわけではありませんが、法律上の義務であることには変わりありません。
ここで押さえておきたいのは、届出の義務を負うのは引っ越した本人だという点です。部屋に残った側に、出ていった相手の届出を代わりに済ませる義務はありません。一方で、残った側が相手の住民票を思うように動かせるわけでもないため、後で述べる窓口への相談などを組み合わせることになります。
住民票が同じ住所のまま残ると起きやすいこと
郵便物や役所からの通知が届き続ける
相手が住民票を移していない場合、税金や年金、保険などの役所からの通知は元の住所に届き続けます。郵便局に転居届を出していなければ、民間の郵便物も同様です。他人あての郵便物を開けることは、信書開封罪(刑法133条)に当たるおそれがあるため、中身を確かめたくても開封は控えてください。
同じ世帯として登録されていると、手続や情報に影響することがある
同棲中に同じ世帯として登録していた場合は、世帯単位で扱われる手続に影響が残ることがあります。たとえば国民健康保険は世帯主に納付の通知が届く仕組みのため、相手が国民健康保険に加入したまま同じ世帯に残っていると、相手の分の保険料が自分あての通知に含まれることがあります。
また、同じ世帯に属する人は、互いの住民票の写しを請求できるのが原則です(住民基本台帳法12条1項)。関係を解消した後も世帯が一緒のままだと、相手が自分の住民票の情報を取得できる状態が続くことになります。
手当や公営住宅の審査で、同居と扱われることがある
ひとり親家庭向けの手当や公営住宅の家賃の算定など、世帯の状況をもとに判断される制度では、住民票上同じ住所に異性が登録されていることが確認の対象になる場合があります。実際には同居していなくても、説明や資料の提出を求められることがあるため、同棲の解消後は住民票の状態を実態に合わせておくのが無難です。
相手が「まだ住んでいる」と主張する材料の一つになりうる
住民票があるからといって、その部屋に住み続ける権利が生じるわけではありません。ただ、荷物や鍵が残っている事情と重なると、相手が「生活の拠点はまだここにある」と主張する際の手がかりの一つとして持ち出されることがあります。相手が出ていかない場面については、【男女トラブル】同棲していた部屋から相手が出ていかない|名義を貸した側にできることで詳しく解説しています。
場面ごとの整理
| 立場 | 起きやすいこと | まず確かめること |
|---|---|---|
| 部屋に残った側 | 相手あての郵便物や通知が届く/世帯の扱いが残る | 相手と連絡が取れるか、世帯主がどちらか |
| 部屋を出た側 | 自分あての書類が元の部屋に届く/行政サービスが新しい住所で受けられない | 転入届と郵便の転送届を出したか、相手に新住所を知られたくない事情があるか |
| 双方 | 金銭の清算の連絡先が定まらない | 相手の現住所を把握しているか、書面のやり取りが残っているか |
部屋に残った側ができること
まずは、相手に住民票を移すよう求めるところから始めます。口頭よりも、メッセージやメールなど記録の残る方法で、届出の期限が過ぎていることや、郵便物が届き続けていることを伝えておくと、その後の経過を説明しやすくなります。
- 相手に連絡が取れる場合は、転出届・転入届(または転居届)を出すよう記録の残る方法で求める。
- 相手と連絡が取れない場合は、住民票のある市区町村の窓口に、相手が実際には住んでいないことを伝えて相談する。
- 世帯主だった相手が出ていった場合は、世帯主の扱いを変える届出が必要かどうかを窓口で確かめる。
- 相手あての郵便物は開封せず、元の住所に住んでいない旨を書き添えて郵便ポストに入れ、差出人へ戻してもらう。
相手と連絡が取れない場合、市区町村は居住の実態を調べたうえで、住んでいないと確認できれば職権で住民票を消除することがあります(住民基本台帳法施行令12条)。申出をすれば必ず消除されるというものではなく、調査の方法や期間は自治体によって異なりますので、相手が出ていった時期や荷物の状況など、説明できる事情を整理してから相談するとよいでしょう。
郵便物の扱いについては、【男女トラブル】別れた後も郵便物が相手の家に届く|住所変更と受け取りの整理も参考にしてください。
部屋を出た側が気をつけたいこと
自分が家を出たのに住民票を元の部屋に残していると、税金や保険、カード会社などからの書類が相手の手元に届き続けます。住所や勤務先、支払いの状況といった個人的な情報が、別れた相手に伝わる状態が続くことになるため、新しい住所での転入届(または転居届)と、郵便局への転居届は早めに済ませておくのが安心です。
一方で、相手につきまとわれるおそれがあり、新しい住所を知られたくないという事情がある場合は、届出の順序に配慮が必要です。転入先の市区町村で「住民基本台帳事務におけるDV等支援措置」を申し出て対象になると、相手が新しい住所を知ろうとして住民票の写しなどを請求しても、交付が拒否される措置が取られます。この措置はストーカー被害なども対象としており、警察や相談機関の意見をもとに判断されます。具体的な進め方は、【ストーカートラブル】引っ越した先を知られないための手続の順序で解説しています。
金銭の清算と住民票の関係
同棲の解消では、立て替えた生活費や貸したお金、家具・家電の分け方など、清算の話が残ることがよくあります。相手が住民票を移さないまま連絡を絶つと、請求の書面を送る先が定まらず、話が進まなくなることがあります。
弁護士が依頼を受けた場合は、職務上の手続で相手の住民票を確認できるほか、住民票を移さずに転居した相手について、弁護士会照会を通じて日本郵便に転居届の新住所を照会できる運用も始まっています(DV・ストーカーなどの事案に関わらない法的手続であると弁護士会が判断したものに限られます)。相手の所在が分からないからといって、すぐに請求をあきらめる必要はありません。連絡が取れない相手との清算の進め方は、【男女トラブル】相手が話し合いに応じない|連絡が取れないまま清算する方法で取り上げています。
なお、同棲が長く続き、住民票の続柄を「未届の妻(夫)」として届けていたような場合は、内縁関係と評価される可能性があり、関係を解消するときの財産の分け方にも関わってきます。この点は【男女トラブル】内縁・事実婚を解消するとき|法律上の夫婦と何が同じで、何が違うのかをご覧ください。
弁護士に相談を検討したい場面
住民票の手続そのものは、窓口への相談で解決できることも少なくありません。ただ、次のような事情が重なっている場合は、住民票の問題だけを切り離さず、全体を整理してから動いた方が結果的に早く落ち着くことがあります。
- 相手と連絡が取れず、お金の清算や荷物の引き取りが残っている。
- 相手が部屋から出ていかない、または鍵を返さない。
- 別れた後も相手からの連絡や訪問が続き、新しい住所を知られることに不安がある。
- 相手あての請求や督促が自分のところに来ている。
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まとめ
同棲を解消した後も住民票が同じ住所に残っていると、郵便物や世帯の扱い、手当の審査、清算の連絡先など、思わぬところに影響が出ることがあります。届出の義務は引っ越した本人にありますが、残った側も窓口への相談などで状況を整えることができますし、出ていった側は新しい住所を知られたくない事情に配慮しながら手続を進める方法があります。住民票の問題をきっかけに、相手との清算や距離の取り方を一緒に見直していくことが大切です。
同じような状況でも、経緯や残っている記録によって取れる手段は変わります。どこから手をつければよいか判断がつかない段階でも、事実を整理するところからご一緒できます。
当事務所では、電話・メール・LINEのうちご希望の方法でご相談をお受けしています。ご都合のよい手段をお選びください。
早い段階でご相談いただくほど、選べる手立ては多く残ります。迷っている段階でも、まずはお気軽にお声がけください。


