【男女トラブル・マッチングアプリ】プロフィールの嘘はどこから違法になるか|年収・職業・独身の詐称
この記事は、2026年10月時点の法令と、日本郵便株式会社が公表している転居・転送サービスの案内をもとに作成しています。刑法の法定刑は、2025年6月1日施行の改正により「懲役・禁錮」が「拘禁刑」に一本化された後の表記で記載しています。郵便局や各事業者の手続の細部は変更されることがあるため、実際の手続の際は各窓口でご確認ください。
別れた後のご相談では、「同棲していた部屋を出たのに、カードの明細や役所からの通知がまだ元の部屋に届いているようだ」という声と、「出ていった相手あての郵便物が毎週のように届き、どう扱えばよいか分からない」という声の両方を伺います。どちらも、関係が終わった後に残る小さな接点です。
「引っ越したら郵便局に転居届を出せばよい」という説明は、それ自体は誤りではありません。ただ、男女トラブルの場面では、郵便物を取り戻すために相手に連絡すること自体が負担になったり、新しい住所を知られたくない事情があったりと、引っ越しの一般的な手順だけでは足りない部分が出てきます。
この記事では、別れた後に郵便物が相手の家に届く場合と、相手の郵便物が自分の家に届く場合の両方について、住所変更の順序と受け取りの整理の仕方を扱います。他人の郵便物を開けた場合の刑事責任の詳細や、住所を突き止められた場合の対策、残された荷物の扱いについては、それぞれ別の記事に譲ります。
なぜ別れた後も郵便物が相手の家に届くのか
住所は3つの層に分かれている
郵便物の届け先を決めている住所は、1つではありません。市区町村に届け出る住民票の住所、郵便局に届け出る転居届の情報、そして銀行・カード会社・携帯電話会社・勤務先などがそれぞれ登録している住所です。
住民票を移しても、カード会社の登録住所が古いままであれば、明細は元の住所あてに発送されます。反対に、郵便局に転居届を出しても、住民票を移していなければ、役所からの通知は住民票上の住所に向けて送られます。別れた後に郵便物が相手の家に届き続けるのは、多くの場合、この3つの層のどこかが元の住所のまま残っているためです。
転居届では止まらない郵便物がある
郵便局の転居届を出していても、すべてが転送されるわけではありません。金融機関のカードや重要な通知には「転送不要」と表示されたものがあり、これらは新しい住所に転送されず、差出人に戻ります。
また、宅配便や、表面に「これは郵便物ではありません」と表示された配送物は、日本郵便以外の事業者が運んでいるものがあり、郵便局の転居届の対象外です。通販サイトの配送先登録が元の住所のままになっていると、荷物がそのまま相手の家に届くことがあります。
自分あての郵便物が相手の家に届いている場合
最初に出すのは郵便局への転居届
まず検討したいのは、郵便局への転居届です。日本郵便の案内では、郵便局の窓口、ポストへの投函、またはインターネットのe転居から届け出ることで、旧住所あての郵便物等を1年間、新住所に無料で転送するとされています。この1年間は届出日から数えるもので、転送開始希望日からではありません。期間が過ぎると郵便物は差出人に戻るため、必要であれば改めて届け出ることになります。
提出の際には本人確認があり、登録までに数営業日かかるとされています。相手との連絡を最小限にしたい場合でも、この手続は相手を通さずに自分だけで進められる点に意味があります。
住民票と各契約先の住所変更を並行させる
転居届は1年間のつなぎであり、その間に元の住所あての発送そのものを止めていく必要があります。手続先ごとに、何が変わるのかを整理すると次のとおりです。
| 手続先 | 変わること | 注意しておきたい点 |
|---|---|---|
| 郵便局(転居届) | 旧住所あての郵便物が1年間転送される | 転送不要の郵便物や宅配便は対象外 |
| 市区町村(住民票) | 役所からの通知や公的な書類の送付先が変わる | 転居から14日以内の届出が定められている(住民基本台帳法22条・23条) |
| 金融機関・カード会社 | 明細や重要書類の送付先が変わる | 転送不要で送られるものが多く、優先度が高い |
| 携帯電話・保険・勤務先など | 請求書や各種通知の送付先が変わる | 勤務先の登録住所は見落とされやすい |
| 通販サイト・宅配便の会員サービス | 荷物の配送先が変わる | 保存済みの配送先に元の住所が残っていないか確認する |
運転免許証の住所変更も、住所が変わったときは速やかに届け出ることとされています(道路交通法94条1項)。本人確認書類の住所が古いままだと、他の手続が進めにくくなることがあるため、早めに済ませておくと後の手続が円滑です。
相手の手元にある郵便物を返してもらう
すでに相手の家に届いてしまった郵便物は、本来は自分あてのものですから、返してもらうよう求めることができます。ただ、取りに行こうとして相手の家に無断で入ることは、合鍵を持っていたとしても住居侵入の問題になり得ます。
連絡をする場合は、用件を「郵便物の返送」に限定し、送り先や受け渡しの方法を具体的に示すことが、やり取りを長引かせないための基本です。新しい住所を伝えたくない場合は、実家や職場など、相手が既に知っている場所あてに送ってもらう方法や、第三者を介する方法も考えられます。相手が別れた後の接触を嫌がっている場合には、正当な用件であっても連絡の仕方には注意が必要です。この点は【刑事事件】元交際相手に荷物やお金の清算で連絡したい|正当な用件でもストーカーと言われる場面で詳しく扱っています。
郵便物と一緒に私物も残っている場合や、相手が合鍵を返していない場合は、【男女トラブル】相手の荷物が家に残っている・自分の荷物を取りに行きたい|勝手に処分してよいかや【男女トラブル】別れた相手が合鍵を持っている|返してもらう交渉と、鍵を替える判断もあわせてご覧ください。
新しい住所を相手に知られたくない場合
転居届を出すと相手に気付かれることはあるか
郵便局の転送は、新しい住所を旧住所の住人に知らせる仕組みではありません。ただし、日本郵便の案内では、誤った転送を防ぐために、社員による現地訪問や、転居者が不在の場合の同居人等への居住の確認、旧住所あての確認書の送付を行う場合があるとされています。
つまり、転居届を出したこと自体が、旧住所に住む相手に伝わる可能性はゼロではありません。新しい住所そのものが伝わるわけではないものの、転居したことを知られたくない事情がある場合には、届出の時期や方法を事前に考えておくことが大切です。
住民票の閲覧制限という選択肢
住民票を移すと、手続上、新しい住所が記録されます。ストーカー行為やDVの被害を受けている方は、市区町村に申し出て、住民票の写し等の交付や閲覧を制限する支援措置を受けられる場合があります。申出の際には、警察や相談機関の意見を求められるのが一般的です。
相手からのつきまといを心配している場合は、住所変更の手続と同時に、こうした措置を検討しておくと安心につながります。住所を知られないための対策全般は、引っ越したのに住所を突き止められた|居場所を知られない対策で整理しています。
郵便以外の経路にも目を向ける
住所が伝わる経路は郵便だけではありません。交際中に共有していた通販サイトのアカウントや、家族共有のサービスには配送先の履歴が残っていることがあり、そこから新しい住所が見えてしまうこともあります。郵便の整理とあわせて、共有していたアカウントの配送先やログイン状況も確認しておくとよいでしょう。この点は【ストーカートラブル】スマホや共有サービスから居場所が漏れている|位置情報以外の経路を止めるで詳しく扱っています。
相手あての郵便物が自分の家に届き続ける場合
開けない・捨てないことが出発点
別れた相手あての郵便物が届くと、中身が気になったり、煩わしくて処分したくなったりすることもあるかもしれません。しかし、正当な理由なく封をしてある信書を開けると信書開封罪(刑法133条)に、他人の信書を捨てたり隠したりすると信書隠匿罪(同法263条)に問われる可能性があります。いずれも被害者の告訴がなければ起訴されない親告罪とされていますが(同法135条・264条)、関係が悪化している相手との間では、告訴や損害賠償の話に発展するきっかけになりかねません。
相手あての郵便物は、中身を確認せず、自分の手元に長く留め置かないことが、後のトラブルを避けるうえで最も確実な対応です。誤って開けてしまった場合や、刑事責任の考え方の詳細は、他人あての郵便物を開けた|信書開封罪と住居侵入の重なりをご参照ください。
郵便局に戻すときの方法
日本郵便の案内では、他人あての郵便物が届いた場合、表面に誤配達である旨を記載した付せん等を貼ってポストに投函するか、最寄りの郵便局またはお客様サービス相談センターに連絡することとされています。郵便法42条1項も、誤配達を受けた者に同様の対応を求めています。
住所が正しくても、その人がすでに住んでいない場合は、付せんに「この住所には住んでいません」などと記載してポストに入れる方法が一般的です。同じ相手あての郵便物が繰り返し届く場合は、配達を担当する郵便局に事情を伝えておくと、その後の対応を相談しやすくなります。
宅配便や「郵便物ではない」配送物の場合
宅配便や、表面に「これは郵便物ではありません」「〇〇メール便」などと表示された配送物は、郵便局に戻すことができません。この場合は、配送を行った事業者に連絡して、受取人が住んでいないことを伝えることになります。代金引換の荷物であれば、受け取らないことで支払いの問題も生じません。
相手が郵便物を開けた・渡さない・勝手に手続をした場合
まずは記録を残す
相手の家に届いた自分あての郵便物を、相手が開けていた、返してくれない、あるいは中身の写真を送ってきたといったご相談もあります。こうした場合は、届いたはずの郵便物の差出人や時期、相手とのやり取り、開封された状態の写真などを、時系列で残しておくことが出発点になります。
郵便物が届いていないことに気付いた場合は、差出人に再発行や送付状況を確認するとともに、日本郵便に調査を申し出る方法もあります。
刑事・民事の両面から検討する
相手が故意に封を開けたのであれば信書開封罪の、隠したり捨てたりしたのであれば信書隠匿罪の問題が生じ得ます。また、郵便物の内容によってはプライバシーの侵害として損害賠償を求める余地もあります(民法709条)。
もっとも、実際にどの手段を選ぶかは、郵便物を取り戻すことと、相手との接点を減らすことのどちらを優先するかによって変わります。告訴や請求を前面に出すと相手との対立が深まり、かえって接触が増える場合もあります。本人名義の転居届を相手が勝手に出したなど、手続そのものが問題になっている場合も含め、どの順序で進めるかは個別の事情を踏まえて判断することが大切です。
住所変更を後回しにすると起きやすいこと
請求書や督促状が届かず、延滞扱いになる
カードの請求書や税金の通知が元の住所に届き続けると、支払期限に気付かないまま延滞扱いになることがあります。相手が郵便物を受け取っても渡してくれない状態では、知らないうちに不利益が積み重なるおそれがあります。
裁判所や相手方からの書面に気付かない
別れた相手との間で金銭の清算などが問題になっている場合、相手方や裁判所からの書面が住民票上の住所に送られることがあります。住民票が相手の家に残ったままだと、重要な書面が相手の手元に届き、こちらが内容を知らないまま手続が進む事態も考えられます。相手と何らかの争いが残っている場合ほど、住民票を含めた住所の整理は早めに済ませておくことが望ましいといえます。
本人確認書類や個人情報が相手の手元に残る
新しいカードや本人確認に使う書類が相手の家に届くと、それらが相手の手元に残り続けることになります。直ちに悪用されるとは限りませんが、別れた後の関係が不安定な場合には、早めに送付先を変え、届いてしまったものは再発行や利用停止を検討しておくと安心です。
よくあるご質問
相手の代わりに、相手名義の転居届を出してもよいですか。
転居届は転居する本人が提出するものとされており、提出時には提出者の本人確認があります。相手の名前で無断に届け出ることは、文書の偽造などの問題が生じるおそれがあるため避けるべきです。相手に住所変更を求めたい場合は、郵便物を郵便局に戻す対応を続けながら、必要に応じて相手に手続を依頼する形が穏当です。
相手の郵便物を、相手の新しい住所に転送してあげてもよいですか。
未開封のまま相手に届けること自体は、直ちに違法となるものではありません。ただ、相手の新しい住所を知っていることや、こちらから連絡を取ること自体が新たな接点になります。関係を終えた相手との接触を減らしたい場合は、郵便局に戻す方法のほうが負担は少ないことが多いでしょう。
相手が郵便物を返してくれない場合、弁護士に頼むことはできますか。
弁護士が代理人として、郵便物や私物の返還を求めることは可能です。代理人が窓口になることで、ご本人が相手と直接やり取りする必要がなくなり、新しい住所を伝えずに返還の手続を進められる場合もあります。郵便物の問題だけでなく、金銭の清算や接触をやめてほしいという要望も含めて、まとめて整理することができます。
まとめ
- 郵便物の届け先は、住民票・郵便局の転居届・各契約先の登録住所の3つの層で決まっており、どこかが元の住所のままだと郵便物は相手の家に届き続けます。
- 郵便局の転居届は届出日から1年間の転送で、転送不要の郵便物や宅配便は対象外です。
- 住民票の異動は転居から14日以内の届出が定められており(住民基本台帳法22条・23条)、金融機関や勤務先などの登録住所も並行して変更します。
- 転居届の確認のため旧住所あてに確認書が送られる場合があり、新しい住所を知られたくないときは住民票の閲覧制限などもあわせて検討します。
- 相手あての郵便物を開けたり捨てたりすると、信書開封罪(刑法133条)や信書隠匿罪(同法263条)に問われる可能性があります。
- 相手あての郵便物は、住んでいない旨を記載した付せんを貼ってポストに入れるか、郵便局に連絡して戻します(郵便法42条1項)。
- 自分あての郵便物の返還を求める連絡は用件を限定して行い、相手の家に無断で立ち入ることは避けます。
弁護士法人若井綜合法律事務所では、男女間のトラブルに関するご相談を池袋と新橋の事務所でお受けしています。別れた後の郵便物や荷物の返還、住所を知られたくないといったご事情についても、金銭の清算や接触の問題とあわせて整理することができます。
別れた相手に郵便物を返してもらいたい方、相手あての郵便物が届き続けて対応に困っている方、いずれのお立場からのご相談もお受けしています。相手と直接やり取りをする前に、一度ご相談ください。


