【解決事例】事実婚パートナーの不貞相手への慰謝料請求|35万円提示から75万円で合意した事例
この記事は、2025年12月30日および2026年3月10日に施行された改正ストーカー規制法の内容を踏まえて作成しています。
別れた相手が、共通の友人たちに自分の住所や写真を送っていた。友人から届いたスクリーンショットで初めて知り、何のためにそんなことをしたのか分からず不安が続いている、というご相談は少なくありません。インターネット上の法律相談サイトにも、警察に相談して相手のアカウントは消えたものの、送られた先の友人のスマートフォンには情報が残ったままで落ち着かない、という趣旨の質問が寄せられています。
ネット上に公開されたわけではなく、知り合い数人に送られただけだと、法的に問題にできるのか迷う方もいます。この記事では、送られた情報の確認の仕方、法律上の位置づけ、気づいた日にしておきたいこと、元恋人に求められることを順に整理します。
まず確認したい、送られた情報の中身と送り先
対応の組み立ては、何が、誰に、どのような言葉とともに送られたかによって変わります。知らせてくれた友人の協力を得て、次の点を確かめておくと、その後の判断がしやすくなります。
- 送られた情報の種類(氏名、住所、電話番号、勤務先、写真など)。
- 写真の内容(日常の写真か、性的な写真か)。
- 送信の日時と回数。
- 送り先の人数と範囲(個別のトークか、グループか)。
- 情報に添えられた言葉(悪口、脅すような文言、来訪をほのめかす内容の有無)。
スクリーンショットは、送信者の名前、日時、送り先が分かる範囲で撮ってもらうのが理想です。証拠の残し方は男女トラブルの証拠の集め方|LINE・録音・写真を法的に有効にするでも詳しく解説しています。
共通の友人に送る行為は、法律上どう扱われるか
少人数への送信であっても、内容によっては違法と評価される余地があります。問題になりうる権利や法律を整理すると、おおむね次のとおりです。
| 送られたもの | 問題になりうるもの | 判断のポイント |
|---|---|---|
| 住所・電話番号など | プライバシーの侵害 | 本人の同意なく第三者に開示したか |
| 顔写真など | 肖像権の侵害 | 撮影や送信の経緯、受け入れられる範囲を超えるか |
| 悪口や虚偽の内容 | 名誉毀損・名誉感情の侵害 | 広まる可能性、表現の程度 |
| 性的な写真 | 性的な画像の提供に関する刑事規制 | 撮影の経緯、送り先の数や方法 |
住所や電話番号はプライバシーとして保護される
住所や電話番号は、それ自体が隠しておくべき秘密とまではいえない情報です。それでも最高裁は、大学が講演会の参加者名簿(氏名、住所、電話番号など)を本人の同意なく警察に提出した事案で、こうした情報もプライバシーとして法的保護の対象になると判断しました(最判平成15年9月12日)。自分が望まない相手にみだりに開示されたくないと考えるのは自然なことだ、という考え方です。
この考え方からすると、元恋人が交際中に知った住所や電話番号を、本人の承諾なく友人たちに送る行為は、不法行為として損害賠償の対象になる可能性があります。送った相手が少数でも、それだけで問題にならないとは言い切れません。
写真には肖像権の問題も重なる
人にはみだりに自分の容ぼうを撮影されたり、公表されたりしない利益があるとされ、侵害に当たるかどうかは、撮影や公表の目的、方法、必要性などを踏まえて、社会生活上受け入れるべき限度を超えるかで判断されます(最判平成17年11月10日)。交際中に同意して撮った写真でも、別れた後に第三者へ送ることまで同意していたとは通常いえません。SNSに投稿された場合については交際中の写真・動画をSNSに晒された|肖像権・プライバシー侵害での削除もご覧ください。
悪口が添えられていれば名誉の問題にもなる
名誉毀損は、不特定または多数の人が知りうる状態で人の社会的評価を下げた場合に成立するのが原則です。少人数への送信でも、そこから先へ広まる具体的な可能性があれば認められる余地があり、裁判例にはLINEのメッセージは転送が容易だと指摘したものがあります。一方で、事実を示さない侮辱的な言葉によって名誉感情を傷つけた場合は、公然性がなくても不法行為が認められることがあります。詳しくは【男女トラブル】別れた相手が共通の友人に悪口を広めている|名誉毀損になる線で解説しています。
個人情報保護法は使いにくい
個人情報保護法は、主に事業として個人情報を扱う者を対象にした法律です。私人である元恋人の行為には直接当てはまらないことが多く、民法上の不法行為として考えるのが基本になります。
性的な写真や脅すような言葉が含まれていたら
送られた写真が性的なものである場合は、事情が大きく変わります。撮影の経緯や送り先の数、方法によって、性的姿態撮影等処罰法やリベンジポルノ防止法の対象になる可能性があり、刑事事件として警察に相談することも視野に入ります。まだ手元にある画像を広げられないための交渉については別れた相手が裸の画像を持っている|拡散される前に削除させる交渉で取り上げています。
また、住所とともに「会いに行く」などの言葉が添えられていた場合は、脅迫に当たる可能性もあります。身の安全に関わる内容があれば、法的な評価より先に警察への相談を優先してください。
ストーカー規制法との関係
友人に情報を送る行為そのものは、ストーカー規制法が定めるつきまとい等の類型には当たりにくいのが一般的です。ただ、同じ時期に本人への連絡や待ち伏せが続いている場合は、全体として同法の対象になることがあります。2025年12月30日の改正法施行により、被害者からの申出がなくても警察が職権で警告できる仕組みも設けられました。
さらに同法は、ストーカー行為等をするおそれがある者だと知りながら、その者に被害者の住所などの情報を提供することを禁じています。2026年3月10日からは、警察がこうした情報を提供しそうな人に対して、提供しないよう求めることもできるようになりました。共通の友人を通じて新しい住所を探られるおそれがある場合には、この点も警察に伝えておくとよいでしょう。どこに先に相談するかは【ストーカートラブル】警察と弁護士のどちらに先に相談するか|ストーカー被害での順序も参考になります。
気づいた日にしておきたいこと
- 知らせてくれた友人に、スクリーンショットの提供をお願いする。
- その友人に、受け取った情報をさらに転送しないよう、また落ち着いたら削除してほしい旨を伝える。
- 自宅の周辺で不審な人や車を見かけていないか、家族とも確認する。
- 来訪をほのめかす言葉や不安な兆候があれば、最寄りの警察署に相談する。
- 元恋人に直接問いただしたり、仕返しに相手の情報を広めたりしない。
友人には、受け取った情報を消す法的な義務までは通常ありません。責めるような伝え方は避け、あなたを心配して知らせてくれた人として協力をお願いする姿勢が、結果的に情報の広がりを抑えることにつながります。元恋人への直接の抗議は、相手を刺激して行動がエスカレートするおそれがあるため、慎重に考えてください。
元恋人に対して求められること
法的には、元恋人に対して、送信をやめること、手元のデータを削除すること、送った相手にも削除を頼むことなどを求めていくことになります。弁護士を代理人にして通知を送り、話し合いがまとまれば、削除と不拡散、接触禁止、約束を破った場合の違約金などを盛り込んだ合意書を交わす方法が考えられます。
損害賠償を請求することもできますが、少人数への送信にとどまる場合、認められる金額は大きくならない傾向があります。金銭よりも、送信をやめさせ、これ以上広げさせないことを優先した方が、生活の平穏につながりやすい場面も多くあります。相手が求めに応じず行為が続く場合には、裁判所に差止めの仮処分を求める手段も検討します。
住所を知られたことへの備え
送られたのが現住所であれば、友人を経由してさらに別の人に伝わっている可能性も考えておく必要があります。ストーカー被害などを理由に、市区町村に住民票の写しなどの交付を制限してもらう支援措置を申し出る方法があり、転居を考える場合には特に重要になります。転居の進め方は【ストーカートラブル】引っ越した先を知られないための手続の順序、ほかの経路からの漏れについては【ストーカートラブル】スマホや共有サービスから居場所が漏れている|位置情報以外の経路を止めるで解説しています。
よくあるご質問
友人のスマホに残った情報を、こちらから消させることはできますか
友人に削除を強制することは、通常は難しいと考えられます。友人の協力をお願いするとともに、送信した元恋人に対して、送り先への削除依頼を含めて求めていくのが現実的な進め方です。
送った相手が数人だけでも、責任を問えますか
住所や電話番号は、少人数への開示でもプライバシーの侵害と評価される余地があります。ただし、責任の有無や金額は、送られた情報の内容、送り先との関係、送った目的などによって変わります。
弁護士に相談したことは、元恋人に伝わりますか
相談しただけで相手に伝わることはありません。詳しくは【男女トラブル】相手に知られずに相談できるか|相談しただけで相手に伝わることはないをご覧ください。
当事務所にご相談いただく場合
元恋人が共通の友人に住所や写真を送っていた場合、送られた情報の中身や添えられた言葉によって、優先すべき対応は変わります。身の安全を確保したうえで、記録を整え、送信の停止と削除を求めていく流れを一緒に考えます。当事務所の取り組みは【男女トラブル】弁護士が交際関係の解消時のトラブルに介入するサービス|金銭の清算・画像の削除・ストーカー・脅迫まで全国対応でもご紹介しています。
同じような状況でも、経緯や残っている記録によって取れる手段は変わります。どこから手をつければよいか判断がつかない段階でも、事実を整理するところからご一緒できます。
当事務所では、電話・メール・LINEのうちご希望の方法でご相談をお受けしています。ご都合のよい手段をお選びください。
早い段階でご相談いただくほど、選べる手立ては多く残ります。迷っている段階でも、まずはお気軽にお声がけください。


