【男女トラブル】自分名義で契約したスマホの代金を、元恋人が払わないときは?

若井亮

若井亮

テーマ:男女トラブル

この記事は、2026年10月時点の法令と一般的な携帯電話の契約の仕組みをもとにしています。料金の扱いや手続の細部は携帯会社や契約プランによって異なるため、実際の契約内容もあわせてご確認ください。


交際中に「自分の名義では契約できないから」と頼まれ、自分の名義でスマホを契約して相手に使わせていた。料金は相手が払う約束だったのに、別れた後に支払いが止まり、自分のところに請求が届くようになった。このようなご相談は、男女トラブルの中でも決して珍しいものではありません。

 この記事では、自分名義のスマホの代金を元恋人が払わなくなったときに、携帯会社との関係、元恋人との関係をどう分けて考えればよいか、回線をどう扱い、支払いをどう求めていくかを順に整理します。

このようなことでお困りではありませんか


  • 元恋人に使わせていたスマホの料金が、別れた後に払われなくなった。
  • 携帯会社や回収の委託先から、自分宛てに督促が届いている。
  • 相手に連絡しても「別れたから関係ない」と言われる。
  • 回線を解約したいが、端末代の残りを一括で求められるのが不安だ。
  • 相手がスマホを持ったまま連絡がつかなくなった。


携帯会社に支払う義務を負うのは、名義人です

 まず押さえておきたいのは、携帯会社との関係では、契約の当事者である名義人が料金を支払う義務を負うという点です。実際に使っていたのが元恋人であっても、「料金は相手が払う約束だった」という事情は、名義人と元恋人との間の約束にすぎず、携帯会社に対して支払いを断る理由にはなりにくいのが通常です。

 支払いが滞ると、一般的には督促を経て利用停止となり、さらに続くと契約が解除されます。契約が解除されると、分割で払っていた端末代の残りや未払いの料金をまとめて求められることがあり、携帯会社から委託を受けた法律事務所や債権回収会社から通知が届く段階に進むこともあります。

料金の種類主な中身滞納が続いた場合に起こりうること
月々の利用料基本料金・通話料・データ通信料など督促、利用停止、契約の解除
端末の分割代金スマホ本体の代金を分割したもの信用情報機関への延滞の登録、残額の一括請求
キャリア決済・オプションアプリ課金、通販の支払い、有料サービスなど利用料と合わせて名義人に請求される
解約に伴う費用契約内容により発生する手数料など解約の時期やプランによって負担が生じる


 特に注意したいのは、端末代を分割で支払っている場合です。分割払いの延滞は、クレジットやローンと同じように信用情報機関に登録されることがあり、名義人自身が今後ローンを組んだりクレジットカードを作ったりするときに影響するおそれがあります。また、携帯会社の間で料金の不払いに関する情報が共有される仕組みもあるため、名義人が別の会社で新たに契約しにくくなる可能性も否定できません。

 同じ名義で自分の回線も契約している場合や、家族割などでまとめて請求されている場合には、元恋人の回線の滞納が自分の回線の利用にも影響することがあります。まとめて契約しているサービスの整理については、【男女トラブル】スマホの家族割やサブスクを共有している|別れた後の解約の順序もあわせてご覧ください。

元恋人には「払ってもらう約束」を根拠に請求できます

 携帯会社には名義人が支払う義務を負うとしても、それで話が終わるわけではありません。名義人と元恋人との間には「料金は相手が負担する」という約束があったはずです。この約束がある以上、名義人が携帯会社に支払った分や、これから支払わなければならない分について、元恋人に支払いを求めることができると考えられます。

 約束は書面がなくても成立します。口約束だけであっても、約束があったことを示す記録が残っていれば、請求の根拠になります。また、相手がスマホを使って利益を受け、名義人がその分を負担して損をしているという関係から、不当利得として返還を求める考え方もあります。

約束を裏づける記録


  • 契約前後に「料金は自分が払う」と相手が述べたLINEやメール。
  • 交際中に相手が料金分を振り込んでいた履歴や、引き落とし口座が相手名義になっていた記録。
  • 携帯会社の契約書類や、利用者として相手の氏名が登録されている記録。
  • 月ごとの請求明細と、名義人が実際に支払った記録。
  • 別れた後に支払いを求めたやり取りと、それに対する相手の返答。


 相手からは「プレゼントだと思っていた」「一緒に使っていたのだから折半だ」といった反論が出ることもあります。交際中に名義人が一部を負担していた時期があるなら、その事情も含めて、どの期間のどの料金を誰が負担する約束だったのかを整理しておくことが大切です。全額を請求できるかどうかは、こうした経緯によって変わってきます。

最初に手をつけたいこと|請求の確認と回線の扱い


請求の中身を確認する

 まずは、携帯会社の会員ページや請求書で、何か月分が滞納になっているか、端末代の残りがいくらか、利用停止や契約解除の予定日がいつかを確認します。キャリア決済で高額な利用がないかも見ておきたい点です。金額と期限が分かれば、何から優先すべきかが見えてきます。

回線を残すか、止めるか

 名義人は、自分の判断で回線の解約などの手続をとることができます。ただし、どの方法にも利点と負担があるため、次のように比べて考えるとよいでしょう。

対応利点注意したい点
そのまま残す相手との関係がすぐに悪化しにくい料金が積み上がり、滞納が長引くおそれがある
一時的に止める新たな利用料の発生を抑えやすい手続の可否や費用は携帯会社により異なる
解約する今後の利用料の発生を止められる端末代の残りや解約に伴う費用の負担が生じることがある


 解約や停止をすると、相手は突然連絡手段を失うことになり、そのことが新たなもめごとにつながる場合もあります。可能であれば、「いつまでに名義変更か支払いがなければ回線を止める」と事前に伝え、そのやり取りを記録に残しておくのが穏当です。端末については、名義人が代金を負担して購入したものであれば返還を求められる場合もありますが、交際中に相手に贈ったものと評価される余地もあるため、経緯に照らして判断する必要があります。

名義変更には相手の協力と審査が必要

 相手に名義を移してもらえれば、今後の料金は相手の契約になります。もっとも、名義変更には通常、名義人と新しい名義人の双方の手続が必要で、相手が携帯会社の審査を通る必要もあります。そもそも相手が自分の名義で契約できなかった事情がある場合や、滞納が残っている場合には、名義変更が難しいことも少なくありません。名義変更だけを頼りに待ち続けるのではなく、期限を区切って解約も選択肢に入れておくことが現実的です。

滞納分を先に払うかどうか

 信用情報への影響を避けるため、名義人がひとまず滞納分を支払うという判断もあります。支払った分は、元恋人との約束に基づいて後から請求できます。一方で、家計を圧迫してまで一度に支払う必要があるとは限りません。携帯会社や回収の委託先に分割での支払いを相談できる場合もあるため、無理のない方法を選ぶことが大切です。

元恋人に支払いを求める進め方


  1. 請求する金額を、期間と費目ごとに確定させる。
  2. LINEやメールなど記録に残る方法で、金額と期限を示して支払いを求める。
  3. 応じない場合は、内容証明郵便で改めて請求する。
  4. 話し合いがまとまれば、支払方法を合意書にまとめる。
  5. それでも支払われない場合は、支払督促や少額訴訟、通常の訴訟を検討する。


 合意書には、支払う金額と期限、分割にする場合の回数と、支払いが遅れたときに残りを一括で支払う取り決め、名義変更または解約への協力の期限、端末の返却の有無などを盛り込んでおくと、後からもめにくくなります。口約束で済ませてしまった場合の整え方は、【男女トラブル】口約束で別れの条件を決めてしまった|後から書面にする方法で解説しています。

 請求額が60万円以下であれば、原則として1回の期日で審理を終える少額訴訟という手続を利用できます。交際相手との金銭の回収全般については、恋人・元恋人に貸したお金が返ってこない|借用書なしでも回収できる?も参考になります。

連絡の取り方で気をつけたいこと

 支払いを求める連絡は正当なものですが、短い間に何度も連絡したり、深夜に電話を続けたりすると、かえって相手から問題視されるおそれがあります。また、「払わないなら職場や家族に知らせる」と伝えることは、脅迫や名誉毀損と受け取られる危険があります。用件と期限を簡潔に伝え、記録に残る方法でやり取りすることを心がけてください。正当な用件の連絡がどのような場合に問題になりうるかは、【刑事事件】元交際相手に荷物やお金の清算で連絡したい|正当な用件でもストーカーと言われる場面で詳しく取り上げています。

相手と連絡が取れない場合

 相手が電話番号を変えたり、住まいを移したりして連絡がつかなくなることもあります。この場合でも、相手の住所が分かれば書面を送ったり裁判手続を進めたりすることができます。弁護士に依頼すれば、事件の処理に必要な範囲で住民票を取得するなどして所在を調べられる場合があります。詳しくは【男女トラブル】相手が話し合いに応じない|連絡が取れないまま清算する方法をご覧ください。

請求できる期間にも限りがあります

 元恋人への請求権は、時間が経つと時効によって消滅することがあります。一般的な金銭の請求は、権利を行使できることを知った時から5年が目安です。滞納が始まってから時間が経っている場合は、早めに請求の手続に着手しておくことが望ましいでしょう。請求の種類ごとの期間は、男女トラブルの時効早見表|請求の種類別に何年で消えるかにまとめています。

名義を貸して使わせていたこと自体の扱い

 自分名義のスマホを他人に使わせることは、携帯会社の契約上、制限されている場合があります。また、携帯電話不正利用防止法は、携帯会社の承諾を得ずに契約上の地位を他人に譲ることなどを規制しています。交際相手に使わせていたという事情だけで直ちに処罰の対象になるとは限りませんが、相手がそのスマホを犯罪に使っていた場合には、名義人が事情を聞かれる可能性もあります。

 こうした点からも、別れた後に自分名義の回線を相手が使い続けている状態は、早めに整理しておくことが望ましいといえます。法律上の扱いについては、【刑事事件】スマホやSIMを他人に渡した|携帯電話不正利用防止法での扱いで解説しています。

弁護士に相談するメリット

 弁護士に依頼すると、元恋人との連絡の窓口を弁護士が担うため、直接やり取りする負担を減らすことができます。どの期間のどの料金を請求できるかを記録から整理し、弁護士名義の書面で請求することで、相手が話し合いに応じるきっかけになることもあります。話し合いがまとまれば、支払方法や名義変更・解約への協力、今後の接触についての取り決めを合意書にまとめ、まとまらない場合には裁判手続に進むことも検討できます。

 交際関係の解消に伴う金銭の清算について、当事務所の対応内容は【男女トラブル】弁護士が交際関係の解消時のトラブルに介入するサービス|金銭の清算・画像の削除・ストーカー・脅迫まで全国対応でご紹介しています。

よくあるご質問


相手から「別れたのだから関係ない」と言われました

 料金を相手が負担する約束は、交際が続いていることを条件にしていたとは限りません。別れるまでに使った分はもちろん、別れた後も相手が使い続けていた分についても、約束や利用の実態に照らして請求できる可能性があります。約束の内容を示す記録を確認したうえで判断することになります。

交際中は自分も料金の一部を負担していました

 一部を負担していた場合でも、それが好意で補っていたものなのか、負担を分け合う約束だったのかによって、請求できる範囲が変わります。同棲中の家計とまとめて払っていたような場合は、生活費全体の清算の問題として整理することもあります。

相手の家族に払ってもらうことはできますか

 成人した元恋人の支払いについて、家族が代わりに支払う義務を負うことは原則としてありません。家族が任意に支払いに応じる場合は別ですが、家族に支払いを迫ることはトラブルを大きくするおそれがあるため、慎重に考える必要があります。

逆に、相手名義のスマホを自分が使っていた場合はどうなりますか

 立場が逆の場合の考え方は、【男女トラブル】別れた後に「携帯代を払え」と言われた|名義を貸した・借りた場合の清算で解説しています。

まとめ

 自分名義のスマホの代金は、携帯会社との関係では名義人が支払う義務を負います。一方で、料金を相手が負担する約束があったのであれば、その約束を根拠に元恋人へ支払いを求めることができます。請求額と期限の確認、回線の扱いの判断、約束を示す記録の確保を早めに進めることで、信用情報への影響を抑えながら清算を進めやすくなります。

 相手が支払いに応じない、連絡がつかない、直接やり取りするのが負担だという場合は、一人で抱え込まずにご相談ください。

同じような状況でも、経緯や残っている記録によって取れる手段は変わります。どこから手をつければよいか判断がつかない段階でも、事実を整理するところからご一緒できます。
当事務所では、電話・メール・LINEのうちご希望の方法でご相談をお受けしています。ご都合のよい手段をお選びください。
早い段階でご相談いただくほど、選べる手立ては多く残ります。迷っている段階でも、まずはお気軽にお声がけください。

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若井亮
専門家

若井亮(弁護士)

弁護士法人若井綜合法律事務所

風俗トラブルや男女トラブル、それに伴う刑事事件まで一貫して対応。累計相談件数は男女トラブル約23,000件、風俗トラブル約8,000件。全国からの相談を24時間受け付け、迅速な対応を心がけています。

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