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この記事では、交際中に相手の支払いを自分のクレジットカードで代わりに済ませた場合を想定しています。相手が自分のカードを無断で使った場合は、扱いが異なります。
交際中、相手の携帯代や買い物の支払いを自分のクレジットカードで済ませ、「あとで返すね」と言われたまま別れてしまった。カードの引き落としは自分の口座から続くのに、相手からの返済はない。このようなご相談は少なくありません。この記事では、交際相手のためにカードで代わりに払ったお金を返してもらえるかどうかを分ける事情と、請求の進め方を整理します。
カードで代わりに払ったお金の性質
交際相手の支払いを自分のカードで済ませたとき、そのお金が法律上どう扱われるかは、払ったときの事情によって変わります。相手から頼まれて代わりに払い、後で返してもらう前提だったのであれば、相手のための支払いを引き受けた「立替払い」として、払った分を相手に求められる可能性があります。返す約束がはっきりしていれば、お金の貸し借り(金銭消費貸借)に近い関係として整理されることもあります。
これに対し、自分の意思で相手のために負担した、いわゆる「おごり」やプレゼントであれば、贈与として扱われ、後から返還を求めることは難しくなります。交際中のお金のやり取りでは借用書のような書面を作ることがまれなため、どちらにあたるのかが争いになりやすいところです。
| 払ったときの事情 | 考えられる整理 | 返還を求める見通し |
|---|---|---|
| 相手に頼まれ、後で返すと言われて払った | 立替払い・貸し借り | 求められる余地が比較的大きい |
| 相手名義の携帯代など、相手自身の支払いを代わりに済ませた | 立替払い | 頼まれた経緯や返済の話の有無によって変わる |
| 二人で使った食事代・旅行代を払った | 好意による負担・贈与 | 難しくなりやすい |
| 誕生日などに品物を買って贈った | 贈与 | 原則として難しい |
カード払いであることの意味
カードで払った場合、カード会社に代金を返済する義務を負うのは、カードの名義人である自分です。相手が返してくれないことを理由に、カード会社への支払いを止めることはできません。カード会社との関係と、交際相手との関係は、別のものとして考える必要があります。
一方で、カード払いには、利用日・利用先・金額が利用明細に残るという特徴があります。現金を手渡した場合に比べ、「いつ、何に、いくら払ったか」は示しやすくなります。ただし、明細が示すのは自分が支払ったという事実までで、相手が返すと約束していたことまでは示しません。返還を求めるうえでは、明細と相手とのやり取りを組み合わせて考えることになります。
返してもらえるかどうかを分ける事情
立替払いだったのか、贈与だったのかは、一つの事情だけで決まるものではありません。次のような事情を総合して判断されることが多いといえます。
- 相手から「代わりに払っておいて」などと頼まれて払ったこと。
- 相手が「返す」「給料が入ったら払う」などと述べていたこと。
- 支払いの対象が、相手名義の携帯代や家賃、相手自身のローンなど、相手の契約や債務であること。
- 相手が一部でも返済していたこと。
- 金額が大きく、交際中のやり取りとして通常考えられる範囲を超えていること。
これらの事情が多く当てはまるほど、返す前提での支払いだったと説明しやすくなります。反対に、頼まれたわけではなく、返済の話も一度も出ていない場合には、贈与と受け取られる余地が大きくなります。
デート代や二人で使った費用
食事代や旅行代のように二人で楽しんだ費用は、払った側が好意で負担したものと受け止められやすく、別れた後にまとめて返還を求めても認められにくい傾向があります。もっとも、事前に「割り勘にする」「後で半分払う」と取り決め、そのやり取りが残っているのであれば、相手の負担分を求められる余地はあります。
「もらったものだと思っていた」と言われたとき
返済を求めると、相手から「あれはもらったものだと思っていた」と返されることがあります。その場合には、支払いを頼まれたときのメッセージや、返すと言っていた記録を確かめることが出発点になります。交際中に立て替えたお金全般の考え方は、交際中に立て替えた生活費・プレゼント代は返してもらえる?でも解説しています。
分割払い・リボ払いの手数料まで求められるか
相手の支払いを自分のカードで分割払いやリボ払いにした場合、カード会社に払う手数料も負担してほしいと考える方もいるでしょう。手数料まで求められるかは、相手がその支払い方法を承知していたかどうかなど、個別の事情によります。分割払いにすることを相手と話し合って決めていた場合には手数料を含めて求める余地がある一方、自分の判断で分割払いやリボ払いにした場合には、手数料分の負担を相手に求めるのは難しくなりやすいところです。
なお、民法には、頼まれた事務を処理するために支出した費用について、支出の日以後の利息とあわせて返還を求められるとする規定があります(民法650条1項、656条)。ただし、交際中の立替払いがこの規定の対象にあたるかどうかも含め、事情ごとの検討が必要です。
相手に自分のカードを使わせていた場合
交際中に、自分のカードを相手に渡して使ってもらっていたという場合もあります。この場合も、カード会社に対して支払い義務を負うのは名義人である自分です。多くのカード会社の会員規約では名義人以外の利用を認めていないため、カード会社との関係では、相手が使った分であっても自分が支払うことになると考えておく必要があります。
相手との関係では、使ってよいと伝えた範囲や、後で精算する約束があったかどうかが問題になります。使ってよいと伝えていない利用が含まれる場合や、別れた後も相手がカードを持ったままになっている場合の対応は、【男女トラブル】相手が自分のクレジットカードを持ったまま別れたをご覧ください。
返してもらうために整理しておきたい記録
請求に入る前に手元の記録を整理しておくと、相手との話し合いでも、その後の手続でも説明がしやすくなります。
- カードの利用明細(利用日・利用先・金額がわかるもの)。
- 支払いを頼まれたときのLINEやメッセージ。
- 相手が「返す」と述べたやり取りや、返済の時期について話した記録。
- 相手から一部返済を受けた際の振込記録や、受け取りを伝えたメッセージ。
- 立て替えた支払いの対象がわかる資料(相手名義の請求書、購入した品物の記録など)。
これらを日付順に一覧表にまとめ、合計額を出しておくと、請求する金額の根拠を示しやすくなります。メッセージは、相手がアカウントを削除したり、自分の端末を機種変更したりすると見られなくなることがあるため、早めに画面の保存やバックアップをしておくことが望ましいといえます。記録の残し方は男女トラブルの証拠の集め方|LINE・録音・写真を法的に有効にするで詳しく扱っています。LINEの履歴をもとに貸したお金の回収に至った例として、【解決事例】店舗型風俗店のキャストに貸した200万円|LINE履歴と弁護士会照会で回収に至った事例もご参照ください。
請求の進め方
まずはメッセージや書面で求める
最初は、立て替えた金額の合計と内訳を示し、いつまでに、どの方法で返してほしいかを相手に伝えるのが一般的です。感情的な言葉や、勤務先や家族に知らせるといった言い方は、話し合いをこじらせたり、別の問題を招いたりするおそれがあるため、避けたほうがよいでしょう。
相手が返済に応じると言った場合には、金額や支払い方法、期限を書面にしておくと、後で「そんな約束はしていない」と言われることを防ぎやすくなります。相手から返事がない場合には、内容証明郵便で請求する方法もあります。
裁判所の手続を使う
話し合いで解決しない場合には、裁判所の手続を検討することになります。主な手続は次のとおりです。
| 手続 | 概要 |
|---|---|
| 支払督促 | 書類の審査だけで支払いを命じてもらう手続。相手が異議を述べると通常の訴訟に移る |
| 少額訴訟 | 60万円以下の金銭の請求について、原則1回の審理で判決を目指す手続 |
| 通常訴訟 | 金額の制限はなく、双方の主張と証拠をもとに判断を求める手続 |
どの手続が向いているかは、金額や手元の記録、相手が争ってくるかどうかによって変わります。相手が話し合いに応じない場合や、連絡が途絶えている場合の進め方は、【男女トラブル】相手が話し合いに応じない|連絡が取れないまま清算する方法もあわせてご覧ください。
時効にも注意する
立て替えたお金の返還を求める権利も、時間の経過によって消滅することがあります。現在の民法では、権利を行使できることを知った時から5年、権利を行使できる時から10年で時効となるのが原則です(民法166条1項)。別れた直後は連絡したくないと先送りにしているうちに時間が過ぎてしまうこともあるため、目安を確かめておくとよいでしょう。請求の種類ごとの期間は男女トラブルの時効早見表|請求の種類別に何年で消えるかにまとめています。
弁護士に相談する意味
交際相手とのお金の問題は、当事者同士で話すと感情が先に立ち、金額の話にたどり着かないまま連絡が途絶えてしまうことがあります。弁護士が窓口になることで、立て替えた分の内訳を整理し、法的な根拠に沿った形で請求を伝えることができます。相手から「もらったものだ」と反論された場合にも、残っている記録からどこまで主張できるかを見極めたうえで、交渉や手続の方針を考えることができます。
また、立て替えた金額によっては、弁護士費用とのバランスも考える必要があります。相談の段階で、見込める回収額と費用の見通しを確かめておくと、進めるかどうかを判断しやすくなります。当事務所が交際関係の解消に伴う金銭の清算にどう関わるかは、【男女トラブル】弁護士が交際関係の解消時のトラブルに介入するサービス|金銭の清算・画像の削除・ストーカー・脅迫まで全国対応でご紹介しています。
まとめ
- 交際中にカードで代わりに払ったお金は、頼まれて払い、返す約束があった場合には、返還を求められる可能性があります。
- 自分の意思で負担したおごりやプレゼントは贈与と扱われやすく、後から返還を求めることは難しくなります。
- カード会社への支払い義務は名義人である自分にあり、相手が返さないことを理由に止めることはできません。
- 利用明細に加えて、頼まれたときや返すと言われたときのやり取りを残しておくことが大切です。
- 時効があるため、請求を長く先送りにしないことが望ましいといえます。
交際中は相手を信頼して支払いを引き受けていたからこそ、別れた後に返済を求めることにためらいを感じる方も多いと思います。立て替えた金額や経緯を整理するだけでも、取れる手段の見通しは立てやすくなります。
同じような状況でも、経緯や残っている記録によって取れる手段は変わります。どこから手をつければよいか判断がつかない段階でも、事実を整理するところからご一緒できます。
当事務所では、電話・メール・LINEのうちご希望の方法でご相談をお受けしています。ご都合のよい手段をお選びください。
早い段階でご相談いただくほど、選べる手立ては多く残ります。迷っている段階でも、まずはお気軽にお声がけください。


