【風俗トラブル】コンドームを外したと疑われたら、どう説明すればいい?
風俗店とのトラブルで示談書を交わした後に書面を見直すと、記載されている金額と、ご自身が実際に支払った金額が合わないことに気づく場合があります。その場では手持ちの現金だけを渡した、示談金とは別に「迷惑料」を求められて支払った、金額欄が空いたまま署名した書面に後から数字が書き込まれていた、といった経緯から生じることが多いようです。
金額のずれは、後になって追加の請求を受ける根拠にされたり、支払ったお金が何のためのものだったのかが分からなくなったりする原因になります。この記事では、ずれの向きごとに何が問題になるのかと、気づいた段階で整理しておきたいことを解説します。
本記事は2026年10月時点の法令にもとづく一般的な解説です。個別の事情によって結論が変わることがありますので、具体的な対応はご相談のうえでご判断ください。
示談書の金額と支払額のずれは3つの型に分けて考える
ずれ方によって、問題になる点が変わります。まずは、ご自身の状況がどの型に近いかを確かめます。
| ずれの型 | よくある経緯 | 主に問題になる点 |
|---|---|---|
| 示談書の金額が支払額より多い | その場では手持ちの現金だけを渡し、残りは後日と言われた | 残額を支払う義務が書面上残っているか |
| 実際の支払額が示談書の金額より多い | 示談金とは別に「迷惑料」「罰金」「手数料」などを求められた | 差額が何の支払いで、返還を求められるか |
| 金額は同じだが、受取人や名目が違う | 店に払ったのに、示談書の当事者は女性本人になっている | その支払いが示談金の支払いとして扱われるか |
どの型でも、出発点は「示談書に何が書かれているか」と「実際に、誰に、いつ、いくら、何の名目で渡したか」を突き合わせることです。
示談書の金額のほうが多い場合|残りを支払う約束になっていないか
示談書に書かれた金額が支払義務の基準になる
示談は、当事者が互いに譲り合って争いをやめることを約束する和解契約にあたります(民法695条)。和解が成立すると、書面で定めた内容が当事者の間の権利関係として確定する効力があります(民法696条)。
そのため、示談書に「示談金100万円を支払う」と書かれていて、実際には30万円しか渡していない場合、書面の上では残りの70万円の支払義務が残っていると読まれる可能性があります。「その場で払った分で終わりにする」と口頭で言われていたとしても、それを裏づける材料がなければ、書面の記載を基準に扱われやすい点に注意が必要です。
その場で支払った分が書面のどこに表れているか
確認したいのは、既に支払った金額が示談書の中でどう扱われているかです。
- 「本日、うち○万円を受領した」など、受領済みの金額が書かれているか。
- 残額の支払期限や支払方法が定められているか。
- 「本書に定めるほか債権債務がない」という清算条項があるか。
- 別に受け取った領収書や受領書の金額と日付が、示談書と矛盾していないか。
受領済みの記載も領収書もない場合、支払った事実そのものを後から示すことが難しくなります。支払いの際には受取証書(領収証)の交付を求めることができますので(民法486条1項)、手元にない場合は、受領した金額を書面で確認してもらう方法を検討します。受領書の作り方は【風俗トラブル】示談金の領収書・受領書をどう作るか|後日の否認に備えるで解説しています。
残額について分割払いの取り決めがある場合は、【風俗トラブル】分割払いの示談に応じる場合|風俗トラブル固有の注意点もあわせてご覧ください。
合意していない金額が書き込まれていたとき
金額欄が空いたままの書面に署名を求められ、後から自分の認識と違う金額が書き込まれていたというご相談もあります。この場合は、書面の金額で合意したわけではないことを主張していくことになりますが、署名がある以上、合意の内容が違っていたことを示す材料が必要になります。金額をめぐるメッセージのやり取り、その場の録音、同席していた人の記憶などが手がかりになり得ます。
書面の控えが手元にない場合は、【風俗トラブル】示談書の原本を店しか持っていない|控えを求めるべき理由や【風俗トラブル】店の事務所で書かされた紙の写真を撮っていない|内容を後から確かめる方法で扱っている方法で、記載内容を確かめるところから始めます。
実際に払った金額のほうが多い場合|差額は何に対する支払いだったのか
示談書の外で渡したお金は、示談の範囲に入らないことがある
示談書に記載された金額は30万円なのに、実際には50万円を渡していた、という場面です。差額の20万円は、店から「迷惑料」「罰金」「出入り禁止の手数料」などの名目で求められたものであることが少なくありません。
示談書の清算条項は、原則としてその書面の当事者の間で、書面が対象とする出来事について効力を持ちます。示談書とは別に渡したお金は示談の内容に含まれていないため、何の義務にもとづく支払いだったのかがあいまいなまま残りがちです。その結果、「あれは店への別の支払いで、示談金はまだ受け取っていない」と扱われるおそれもあります。
同じ相手に複数の名目で支払う場合、支払う側は、支払いの時にどの債務に充てるかを指定することができます(民法488条1項)。指定した記録が残っていないと、後になって何に充てた支払いだったのかをめぐって争いになることがあります。
差額を取り戻せるかを分ける事情
法律上の原因がないのに受け取った利益は、返還を求める対象になり得ます(民法703条)。一方で、支払う義務がないことを知りながら支払った場合には返還を求められないとする規定もあります(民法705条)。ただし、断れない状況でやむを得ず支払った場合には、この規定が当てはまらないと考えられる場面もあります。差額の返還を考えるときは、次のような事情が分かれ目になります。
| 確認したい事情 | 返還を求める方向に働きやすい例 | 返還が難しくなりやすい例 |
|---|---|---|
| 支払いに至った経緯 | 帰らせない、家族や職場に知らせると告げられ、断れない状況で払った | 内容を理解したうえで、自分から上乗せして渡した |
| 名目と金額の根拠 | 名目の説明がなく、金額の根拠も示されなかった | 損害の内訳が説明され、それに応じて支払った |
| 残っている記録 | やり取りの録音や、支払いを求めるメッセージが残っている | 支払いを裏づける記録が手元にない |
強い圧力のもとで支払った場合には、意思表示の取消し(民法96条1項)や、公序良俗に反する合意としての無効(民法90条)が検討の対象になります。取消しは、追認できる時から5年以内に行使する必要があります(民法126条)。取り戻しの考え方は払ってしまった示談金・違約金は取り戻せるか?返金請求の可否、書面の効力については脅されて署名した念書・示談書は有効か|「無効」と「取消し」の違いで詳しく扱っています。
「書面には少なく書いておく」と言われたとき
店側から「書類上は少なめにしておく」「残りは別にもらう」と持ちかけられることもあります。理由として説明される内容はさまざまですが、書面に表れない支払いは、後で支払った事実や趣旨を示すことが難しくなります。応じる前に、すべての支払いを書面に記載し、それぞれの名目と受取人を明記するよう求めることが、ご自身を守ることにつながります。
金額のずれが刑事手続との関係で問題になる場面
風俗店とのトラブルでは、女性側が訴える内容によって、刑事手続が関わってくることがあります。示談書は、被害の回復に努めたことを示す資料として、捜査機関に提出されることがあります。
このとき、示談書の金額と実際の支払額が違っていると、示談が書面どおりに履行されたのかどうかが確認しにくくなります。女性本人が「書面の金額を受け取っていない」と述べた場合、支払いを裏づける記録がなければ、示談が十分に考慮されない可能性もあります。また、示談が成立していても、起訴するかどうかは検察官が事情を総合して判断するものであり、示談だけで決まるわけではありません(刑事訴訟法248条)。この点は【風俗トラブル】示談金を払ったのに被害届を出された|合意の効果と刑事手続で解説しています。
店に支払ったお金が、女性本人の損害に充てられたものとして扱われるかどうかが争点になることもあります。誰に支払ったかという点は、金額と同じくらい重要です。
ずれに気づいたときに整理しておくこと
手元の資料を突き合わせる
まずは次の順に、書面と支払いの記録を照らし合わせます。
- 示談書の控えや写真をそろえ、記載された金額・当事者・支払期限・清算条項を書き出します。
- 実際の支払いについて、日時・場所・受け取った人・金額・名目を、記憶が新しいうちに時系列で書き出します。
- 領収書、振込の明細、ATMの引出し記録、店とのメッセージなど、支払いを裏づける記録を集めます。
- 書面の金額と支払額の差がいくらで、その差がどの支払いから生じたのかを特定します。
相手に確認を求めるときは文面で
差額や受領済みの金額について相手に確認を求める場合は、電話や対面ではなく、記録が残る文面で行うことが望ましいといえます。口頭のやり取りの中で、新たな名目の支払いや、追加の書面への署名を求められることがあるためです。請求額が動いている場合の考え方は【風俗トラブル】請求額が連絡のたびに増えていく|金額が動く請求への向き合い方をご覧ください。
確認の結果、受領した金額を明記した覚書を追加で作る、示談書を作り直すといった方法が考えられます。ただし、作り直しの場面で新たな約束が付け加えられることもあるため、署名する前に内容を確認する時間を確保することが大切です。確認の観点は【風俗トラブル】店が用意した示談書にサインする前に、何を確認すればいい?で整理しています。
追加の支払いを求められても、その場では応じない
書面の金額との差額を理由に追加の支払いを求められた場合でも、応じる前に、既に支払った分がどう扱われているのかを確かめることが先決です。支払いを重ねるほど、何に対する支払いだったのかの整理が難しくなります。
よくあるご質問
領収書がない現金の支払いは、なかったことにされてしまいますか。
領収書がないことだけで、支払いの事実が否定されるわけではありません。直前にATMで引き出した記録、支払いの場面に触れたメッセージ、同席していた人の話などを組み合わせて示していくことになります。ただ、材料が少ないほど争いになりやすいため、早い段階で記録を集めておくことが大切です。
示談書の金額が少ないのは、こちらに有利なのではありませんか。
書面の金額が少なければ、それ以上の支払義務はないと主張しやすくなる面はあります。一方で、実際に多く払った分が示談金の一部として扱われず、別の名目の支払いとされると、示談で解決した範囲がどこまでなのかが分かりにくくなります。一概に有利とはいえないため、支払いの全体を整理しておくことが大切です。
振込手数料の分だけ金額がずれている場合も問題になりますか。
弁済の費用は、特に取り決めがなければ支払う側の負担とされています(民法485条)。手数料を差し引いて振り込むと、わずかでも残額があるものとして扱われることがあるため、書面の金額どおりに着金するよう振り込むか、手数料の扱いを事前に取り決めておくと安心です。
まとめ
- 示談書の金額は当事者の間の権利関係を確定させる基準として扱われるため、実際の支払額とのずれは放置しないことが大切です。
- 示談書の金額のほうが多い場合は、受領済みの記載や領収書がないと、残額の支払義務が残っていると読まれるおそれがあります。
- 実際の支払額のほうが多い場合は、差額が何の名目で誰に支払われたのかを特定し、返還を求められるかを検討します。
- 強い圧力のもとで支払った場合は、取消し(民法96条1項)や無効(民法90条)の主張が検討の対象になり、取消しは追認できる時から5年以内に行使する必要があります(民法126条)。
- 刑事手続との関係では、支払いを裏づける記録の有無が、示談の考慮のされ方に影響することがあります。
- 相手に確認を求めるときは文面で行い、書面を作り直す場合は署名する前に内容を確認します。
示談書と実際の支払いが合っていない状態は、時間が経つほど事実関係を確かめにくくなります。書面と記録が手元にそろっているうちに、一度全体を整理しておくことをおすすめします。
同じような状況でも、経緯や残っている記録によって取れる手段は変わります。どこから手をつければよいか判断がつかない段階でも、事実を整理するところからご一緒できます。
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