【保存版】風俗トラブルで今すぐやるべきこと・やってはいけないこと
風俗店の利用をめぐるトラブルは、「誰にも言えない」という事情が判断を急がせやすい分野です。その場で言われるまま支払ってしまう方もいれば、連絡を絶ったまま何か月も不安を抱え続ける方もいます。どちらも、あとから振り返ると選べたはずの手段を失っていた、ということが起こります。
この記事では、風俗トラブルで相談できる先を一覧にしたうえで、それぞれの窓口が何をしてくれて、何をしてくれないのかを整理します。窓口の役割を取り違えたまま時間だけが過ぎる、という事態を避けるための地図としてお読みください。
この記事の対象と、「泣き寝入り」の二つの方向
対象となる方
本記事は、性風俗店を利用した男性(客側)の立場を想定しています。相手が18歳未満だった可能性がある場合、すでに逮捕・勾留されている場合は、扱いが大きく異なりますので、一般的な説明ではなく個別の相談をご検討ください。
「泣き寝入り」には二つの方向がある
この言葉は、ふつう「被害を受けたのに言い出せない」という意味で使われます。ただ、風俗トラブルでは、もう一つの方向の泣き寝入りが起きています。
- 支払う義務があるかどうか確かめないまま、その場の空気で払ってしまう。あるいは、脅されたり、金銭を要求されたりしても、知られたくない一心で誰にも言えない
- 自分にも落ち度がある場面で、連絡を断って放置してしまい、時間が経ってから、取りうる手段が限られた状態で対応せざるを得なくなる
前者は払わなくてよかったかもしれないものを払う方向、後者は本来向き合うべきものから目をそらす方向です。相談先を知っておくことは、どちらの方向にも効きます。相談は、責任を免れるためではなく、責任の範囲を正しく確かめるための手続きだと考えてください。
相談先は「立場」ではなく「いま最も困っていること」で決まる
風俗トラブルは、一つの出来事の中に性質の違う問題が同時に走っていることが少なくありません。おおまかに分けると、次の三つです。
- 安全の問題……いま囲まれている、帰してもらえない、自宅や職場に来られている
- 刑事の問題……犯罪として扱われるかどうか。被害届、警察からの連絡、処分
- 民事(お金)の問題……請求されている金額を払う義務があるのか、すでに払ったものを取り戻せるのか
窓口はこの三つのどれを扱うかで分かれています。ですから「自分は加害者だから弁護士」「自分は被害者だから警察」という決め方ではなく、いま最も困っていることがどれかで入口を選ぶほうが実際的です。相談先を一つに絞らなければならない決まりもありません。警察に相談しながら弁護士にも相談する、という進め方は珍しくありません。
相談先の一覧と、それぞれの役割
| 窓口 | 主にできること | 期待しにくいこと | 費用の目安 |
|---|---|---|---|
| 警察(110番・最寄りの警察署) | その場の危険への対応、犯罪としての受理・捜査 | 金額の妥当性の判断、相手との交渉、返金 | 無料 |
| 警察相談専用電話(#9110) | 緊急でない相談の受付、担当窓口への振り分け | 事件としての即時対応 | 無料(通話料は自己負担) |
| 弁護士 | 法的な支払義務の検討、代理人としての交渉、刑事手続の対応 | 逮捕や捜査そのもの、その場への急行 | 相談料・着手金等 |
| 消費生活センター(188) | 消費者と事業者の契約トラブルの助言・あっせん | 強制力のある解決、内容によっては相談自体 | 無料(通話料は自己負担) |
| 法テラス | 法制度や相談窓口の情報提供、要件を満たす場合の無料法律相談 | 個別の法的判断(サポートダイヤル) | 情報提供は無料 |
| 暴力追放運動推進センター | 暴力団等が関係する場合の相談、関係機関への引継ぎ | 民事上の請求の代理 | 無料 |
警察
いま囲まれている、退去を求めても帰ってもらえない、危害を加えられそうだといった場面では、110番が最も早い手段です。緊急ではないものの相談したいという場合には、警察相談専用電話「#9110」が全国共通の入口として用意されており、電話をかけた地域を管轄する警察本部等の相談窓口につながります。受付時間は都道府県によって異なり、平日の日中を原則としつつ、時間外は当直対応などとしている地域もあります。
一方で、警察に期待しにくいこともあります。請求されている金額が妥当かどうかを判断したり、相手方と交渉して減額したり、すでに払ったお金を取り戻したりする役割は、警察は担っていません。また、自分の行為についても事情を聞かれる可能性がある点は、正直にお伝えしておく必要があります。相談したことが直ちに立件につながるわけではありませんが、そうした可能性がないとも言い切れません。判断に迷う場合は、警察に行く前に弁護士に相談しておく、という順番も選べます。
弁護士
弁護士は、請求に法的な根拠があるのか、金額が相当といえるのか、支払うとしてどのような形で終わらせるのかといった、お金の当否そのものを扱います。代理人として窓口を引き受け、相手方とのやり取りを一本化することもできます。刑事手続に入っている場合の対応も同様です。
入口は主に三つあります。
- 法律事務所に直接連絡する。初回相談を無料としている事務所もあります
- 弁護士会の法律相談センターを利用する。全国共通の「ひまわりお悩み110番」(0570-783-110)から、地域の法律相談センターにつながります。相談料はおおむね30分5,500円程度が目安ですが、内容によって無料となる場合もあります
- 法テラスの無料法律相談を利用する。収入・資産が基準以下であることなどの要件があり、後述のとおり刑事事件に関する相談は対象外です
なお、逮捕された場合には、弁護士会の当番弁護士制度により、初回の接見を無料で受けられます。
消費生活センター(消費者ホットライン188)
風俗トラブルの相談先として消費生活センターを挙げる解説を見かけますが、期待できる役割はかなり限定的です。ここは消費者と事業者との契約トラブルについて、助言・あっせん・情報提供を行う窓口だからです。
たとえば東京都の消費生活総合センターは、相談に応じることができない場合の例として、個人間のトラブルに関する相談、公序良俗に反する相談、すでに裁判中のトラブルに関する相談などを挙げています。性的サービスの対価をめぐるやり取りは、この整理と正面からぶつかる可能性があります。加えて、相談は在住・在勤・在学の地域の窓口を利用する仕組みであること、受付時に氏名・住所などを聞かれること、あっせんに強制力があるわけではないことも押さえておく必要があります。
まったく使えないと決めつける必要はありません。クレジットカードの利用をめぐる問題など、消費者トラブルとしての側面がある場合には情報提供を受けられることがあります。ただ、相手との示談や支払義務の判断をここに期待すると、時間だけが過ぎることになりかねません。
法テラス
法テラス・サポートダイヤル(0570-078374、IP電話等からは03-6745-5600)は、平日9時から21時、土曜9時から17時に受付を行っています。利用料は無料で、匿名でも問い合わせができます。ただし、オペレーターが個別の法律相談や法的判断を行うことはできず、制度や相談窓口の案内が中心です。
弁護士による無料法律相談(民事法律扶助)は、収入と資産が基準以下であること、勝訴の見込みがないとはいえないこと、制度の趣旨に適することという要件を満たす必要があり、刑事事件に関する相談は対象外とされています。風俗トラブルは刑事と民事が交錯しやすいため、この線引きは相談前に知っておくと無駄足を避けられます。犯罪の被害に遭われた方向けには、犯罪被害者支援ダイヤル(0120-079714)が別に用意されています。
暴力団等が関係している場合
相手方が暴力団関係者をほのめかす、明らかにその筋の人物が出てくるといった場合には、各都道府県の暴力追放運動推進センターが相談を受け付けています。相談は無料で、相談の秘密を守ることが法律上義務づけられており、必要に応じて警察の援助や弁護士会への引継ぎも行われます。
気持ちのほうが先に限界に近いとき
金銭の問題以上に、眠れない、仕事が手につかない、誰にも言えないという状態が続くこともあります。こころの健康相談統一ダイヤル(0570-064-556)は、電話をかけた地域の公的な相談窓口につながる全国共通の番号です(受付時間は地域によって異なります)。法律の窓口と並行して使ってかまいません。
状況別・最初にどこへ連絡するか
| いま最も困っていること | まず連絡する先 | あわせて検討すること |
|---|---|---|
| 店員に囲まれて帰してもらえない | 110番 | 安全確保が最優先。その場での署名・支払いは避ける |
| 後日、高額な金銭を請求されている | 弁護士 | 請求の名目・根拠・期限を書き出しておく |
| 「被害届を出す」と言われている | 弁護士 | 通報自体は止められない。金銭要求との関係は別に評価される |
| 警察から連絡が来た | 弁護士 | 出頭日までの数日が準備できる時間になる |
| 写真や個人情報で脅されている | 警察と弁護士の双方 | やり取りの記録を消さない |
| 暴力団関係者をほのめかされた | 警察・暴力追放運動推進センター | 一人で会いに行かない |
| 盗撮など、自分が被害を受けた | 警察 | 犯罪被害者支援の窓口も利用できる |
「相談先」に見えて、相談先ではないもの
- 示談交渉を代行すると持ちかける業者……弁護士でない者が報酬を得る目的で法律事務を扱うことは、弁護士法72条により禁じられています。解決を任せたつもりが、法的に有効な清算になっていないこともあります
- トラブルの相手方である店……店に問い合わせることは、相手方に相談している状態にほかなりません。連絡した事実自体が、相手方にとっての手がかりになる場合もあります
- 匿名掲示板やSNS……書き込んだ内容が相手方の目に触れることがあり、後から削除しても記録が残る可能性があります
- 「名前を出さずに必ず解決する」と約束する相手……結果を保証する表現には慎重になったほうがよい場面です
匿名で聞ける窓口と、名前が必要になる場面
「知られたくない」という気持ちが相談をためらわせている場合、次の区別が役に立ちます。
- 匿名のまま聞ける……法テラス・サポートダイヤルへの問い合わせ、地域によっては#9110への相談
- 氏名などを伝える必要がある……消費生活センターへの相談、警察に被害届や告訴を出す場面、弁護士に依頼して代理人として動いてもらう場面
弁護士には守秘義務があり、これは相談の段階から及びます(弁護士法23条)。もっとも、条文は「正当な理由がある場合を除き」という構造になっており、何があっても外に出ないと言い切れる制度ではありません。家族や職場への連絡方法に配慮してほしいといった希望は、最初に伝えておくことができます。
相談しても状況が変わらないこともあります
最後に、期待の持ちすぎを避けるために書いておきます。
- すでに支払ったお金が戻るとは限りません。任意に払ったものを取り戻すには、争うための主張と裏づけが必要になります
- 警察に相談しても、相手との交渉や金額の調整をしてもらえるわけではありません
- 弁護士に相談しても、相手方の同意が必要な事柄(示談など)や、検察官が決める事柄(処分)を、こちらの希望どおりにできるわけではありません
それでも早めに相談する意味は、「必ず良い結果になる」ことではなく、選べる手段が残っているうちに選べることにあります。支払いや署名を済ませてしまった後、記録を消してしまった後では、同じ相談をしても取りうる選択肢が減ります。
まとめ
風俗トラブルの相談先は一つではありません。安全、刑事、お金という三つの性質のどれに困っているかで入口が変わり、複数を並行して使うこともできます。警察、弁護士、公的な窓口には、それぞれ担える範囲と担えない範囲があります。
相談の前に整えておくとよいのは、出来事を時間順に並べたメモ、届いた書面(封筒ごと)、やり取りの記録の三つです。あいまいな点は、あいまいなままで構いません。分からないことを分からないと伝えられるだけでも、相談の質は変わります。


