【風俗トラブル】キャバクラで後からボトル代を請求されたら払うべき?

若井亮

若井亮

テーマ:風俗トラブル

キャバクラで飲んだ数日後に、「ボトル代が会計から漏れていた」「前回のボトル代が未払いになっている」と店から連絡が来ることがあります。酔っていて注文した覚えがはっきりしない、聞いていた料金と違う、といった事情があると、言われた金額をそのまま払ってよいのか迷われると思います。本記事では、後からボトル代を請求されたときに支払義務の有無を分ける考え方と、払う前に確かめておきたいことを整理します。

本記事は、2025年6月に施行された改正風営法、および2020年4月に施行された改正民法(消滅時効の見直し)を前提に記載しています。個別の事案での結論は、注文の経緯や残っている記録によって異なります。


後からボトル代を請求される主な場面


  • 会計のあとで「ボトル代が漏れていた」と店から連絡が来た。
  • その場では手持ちが足りず一部だけ払い、残りを後日払うよう求められている。
  • 酔っていて、ボトルを注文したかどうか覚えていない。
  • キャストに「ボトル入れていい?」と聞かれたが、金額は聞いていなかった。
  • カードの利用明細を見たら、思っていたより高い金額が決済されていた。
  • 「払わなければ家族や会社に連絡する」と言われている。


 インターネット上の法律相談でも、案内された料金と実際の会計額が大きく違い、その場では一部だけを払って残りを後日請求されている、という相談が繰り返し寄せられています。どの場面でも、最初に確かめるのは「そのボトルについて注文が成り立っているか」と「金額について合意があったか」の2点です。

支払義務を分けるのは「注文」と「金額」の合意

 キャバクラでの飲食代は、客と店との契約にもとづいて発生します。ボトルを注文し、その料金を承知していたのであれば、請求が後からになったとしても、支払義務そのものは否定しにくいのが通常です。一方で、注文した事実がない場合や、説明と異なる金額を請求されている場合には、請求の全部または一部を争える余地があります。

注文したかどうかは、請求する側が示すもの

 代金を請求する店の側が、客がそのボトルを注文したことを示す必要があります。伝票、注文時のやり取り、店内の記録などがその根拠になります。「入れたはず」「キャストが聞いたら頷いていた」という説明だけでは、注文の有無がはっきりしないこともあります。
 キャストが客の明確な了承なくボトルを入れたと疑われる場合や、ボトルが実際に開けられたのかが分からない場合には、伝票や明細の提示を求め、どの時点で誰が注文したことになっているのかを確かめることが出発点になります。注文していない飲食の請求については、【風俗トラブル】『頼んでいない飲食』を出されて請求された|18条の3第3号と支払拒否の理屈でも解説しています。

料金を知らされていたか

 接待を伴う飲食店には、風営法により、料金を店内の見やすい場所に表示することが義務付けられています。東京都では、いわゆるぼったくり防止条例(性風俗営業等に係る不当な勧誘、料金の取立て等及び性関連禁止営業への場所の提供の規制に関する条例)でも、料金の表示や不当な取立てについての規制が定められています。
 メニューに載っていない「時価」のボトルを値段を告げられないまま勧められた場合や、案内されていたセット料金と大きく異なる会計になっている場合には、提示された金額について合意があったとは言いにくいことがあります。また、事業者と消費者の間の契約では、重要な事項について事実と異なる説明を受けて契約した場合に、消費者契約法にもとづいて取り消しを主張できる場面もあります。

酔っていて覚えていない場合

 酔っていたことだけを理由に、注文が当然に無効になるわけではありません。物事を判断できないほどの泥酔状態であれば、意思能力を欠いた状態での契約として無効を主張できる可能性はありますが(民法3条の2)、その程度を後から示すのは容易ではありません。
 覚えていないときは、「払わない」と強く言い切るよりも、まず伝票・明細・注文時の状況の説明を求め、記録を突き合わせて判断する方が、その後の話し合いを進めやすくなります。記憶がない場面での請求への向き合い方は、泥酔状態で身に覚えのない請求・トラブル|記憶がない場合の対応もご参照ください。

改正風営法で禁じられた行為との関係

 2025年6月に施行された改正風営法では、キャバクラを含む接待飲食営業について、営業者が守るべき事項が加えられました。料金について虚偽の説明をすること、客が注文していない飲食物を提供して料金を求めること、恋愛感情につけこんで飲食を求めることなどが禁じられています。あわせて、威迫して困惑させるなどの方法で料金の支払いを求めることも禁じられ、違反には刑事罰が設けられています。
 これらは主に営業者に対する規制ですが、後から請求されたボトル代が「注文していないもの」や「説明と違う金額」にあたるかを考えるうえで、一つの手がかりになります。

払う前に確かめておきたいこと


確かめること確かめる理由
請求の内訳(ボトルの銘柄・本数・単価・来店日)どの注文の代金なのかを特定するため
伝票や注文時の記録注文の有無を店側の記録で確かめるため
来店時の料金表示や案内された料金合意していた金額との違いを確かめるため
すでに支払った金額と支払方法同じ代金を重ねて請求されていないかを確かめるため
請求している相手(店の名称・運営会社・担当者)誰に対して支払うことになるのかを明確にするため


 店とのやり取りは、LINEやメールなど記録に残る形で行うのが望ましく、電話で話した場合は日時と内容をメモしておくと、後で事実関係を整理しやすくなります。請求書面が届いている場合の読み方は、店からの請求書面の読み方|名目別に法的根拠を突き合わせるで詳しく取り上げています。

対応するときに気をつけたいこと


一部だけ払う、「払います」と返す前に

 内訳がはっきりしないまま一部を支払ったり、「残りは必ず払います」とメッセージで返したりすると、請求額の全体を認めたものと受け取られるおそれがあります。支払いを約束する念書や借用書への署名を求められた場合も、内容を確かめる前に応じるのは控えた方がよいでしょう。

時間がたってからの請求

 以前は飲食店の代金について1年の短期消滅時効がありましたが、2020年4月の民法改正でこの規定は廃止されました。現在は原則として、請求できることを知った時から5年で時効にかかります。数か月前の来店について請求されたとしても、時間がたったことだけを理由に支払いを拒めるわけではない点には注意が必要です。

身分証や連絡先を店に渡している場合

 その場で払いきれず、免許証の写しや連絡先を店に渡していることもあります。身分証を預けたからといって請求額に同意したことにはなりませんが、自宅や勤務先への連絡を心配して、内容を確かめないまま請求に応じてしまう方は少なくありません。
 「払わなければ家族や会社に知らせる」と告げて支払いを迫ることは、内容や態様によっては脅迫や恐喝にあたる可能性があります。こうした言葉が出ているときは、やり取りの記録を残したうえで、早めに弁護士や警察へ相談することをおすすめします。

すでに払った場合・カードで決済された場合

 すでに支払った後でも、注文していない飲食の代金や、説明と異なる金額が含まれていた場合には、返還を求める余地があります。ただし、支払いの経緯や残っている記録によって見通しは変わり、返還に応じてもらうには交渉が必要になることが多いのが実情です。
 クレジットカードで決済された場合は、利用明細を確認し、身に覚えのない金額が含まれているときはカード会社に事情を伝えて対応を相談する方法も考えられます。決済の取り消しが認められるかどうかは、カード会社の判断や決済の状況によって異なります。詳しくはクレジットカードで高額決済させられた|取消・チャージバックは可能かをご覧ください。

弁護士に相談すると何が変わるか

 弁護士が代理人として店との窓口になると、ご本人が店と直接やり取りする必要がなくなり、連絡も弁護士に一本化されます。弁護士は、請求の内訳や根拠の提示を求め、支払うべき部分とそうでない部分を整理したうえで交渉を進めます。
 支払うべき代金がある場合には、その範囲で合意書を交わして清算し、後から別の請求が出ないように整えておくことも大切です。家族や勤務先に知られないように進めたいというご希望があれば、連絡方法や書面の送り先も含めてご相談いただけます。

関連する解説記事



 後からボトル代を請求されたときは、言われた金額をすぐに払う前に、注文と金額について合意があったかを内訳と記録で確かめることが大切です。支払うべきものとそうでないものを分けて考えることで、納得できる形で清算する見通しが立てやすくなります。

同じような状況でも、経緯や残っている記録によって取れる手段は変わります。どこから手をつければよいか判断がつかない段階でも、事実を整理するところからご一緒できます。
当事務所では、電話・メール・LINEのうちご希望の方法でご相談をお受けしています。ご都合のよい手段をお選びください。
早い段階でご相談いただくほど、選べる手立ては多く残ります。迷っている段階でも、まずはお気軽にお声がけください。

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若井亮
専門家

若井亮(弁護士)

弁護士法人若井綜合法律事務所

風俗トラブルや男女トラブル、それに伴う刑事事件まで一貫して対応。累計相談件数は男女トラブル約23,000件、風俗トラブル約8,000件。全国からの相談を24時間受け付け、迅速な対応を心がけています。

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