【解決事例】メンズエステでの罰金100万円請求|示談交渉で44万円に減額し刑事事件化を回避した事例
施術の終わり際に、店のアプリではなく個人のアカウントを渡された。次からは直接連絡してくれれば安くできる、と言われた。メンズエステの利用に関するご相談の中で、こうした話は珍しくありません。誘われた側からすれば好意の表れにも見えますし、その場で断る理由も思い当たらない場面です。
もっとも、後日になって「店から連絡が来ている」「相手から金銭を求められている」「もう連絡しないでほしいと言われたのに送り続けた、と言われている」という形でご相談に至ることがあります。私的なやり取りをすること自体が罪に問われるわけではありません。変わるのは、何かあったときに誰と話し、何をもって当時の事実を確かめるのか、という部分です。
この記事では、セラピストから私的な連絡を誘われて応じた場合に、その後どのような形で問題が生じ得るのかを、利用する側の立場から整理します。連絡先を得る方法や、店に知られずに済ませる方法を説明するものではありません。
この記事で扱う範囲
はじめに、どの場面を想定しているかを示しておきます。
- 利用する側が成人であることを前提にしています。
- 相手の年齢が18歳未満である可能性がある場合は、考え方が別になりますので個別にご相談ください。
- すでに店や相手から具体的な請求を受けている段階の対応は、事情によって変わるため一般論としては書いていません。
- 店の届出の有無や営業の区分そのものについては、別の記事で扱っています。
- 私的な関係を勧める趣旨でも、生じる責任を軽く見せる趣旨でもありません。
その誘いがどこから来ているのか
好意と営業は同じ言葉で表れることがある
個人的な連絡の誘いには、いくつかの背景が考えられます。純粋に相手が好意を持った場合もあれば、指名を続けてもらうための働きかけである場合もあります。店を通さずに直接やり取りしたほうが取り分が増えるという事情が背景にあることもあります。
外から見て、この三つは同じ言葉として表れます。「あなただけ」「本当は禁止されているけれど」といった言い回しは、どの背景でも使われ得るものです。相手の気持ちの真偽を確かめる手立ては基本的にありませんので、気持ちの側ではなく、その後に何が起きるかの側から考えたほうが見通しが立ちます。
多くの店では個人的な連絡が禁じられている
求人情報や店の案内を見ると、客とセラピストの間で連絡先を交換することを禁じている店が多数派であることが分かります。理由は、店を通さない取引によって売上が失われることと、トラブルが起きたときに店が関与できなくなることの二つに整理できます。
つまり、私的な連絡は店の側から見れば規約に反する行為として位置づけられていることが多い、ということになります。この「誰との間の、どのような約束に反するのか」という点が、後で述べる請求の話につながってきます。
店を通さない関係になると、何が外れるのか
同じ相手と同じように会っていても、店を経由しているかどうかで前提が変わります。整理すると次のようになります。
| 場面 | 店を通した関係 | 個人的な関係 |
|---|---|---|
| 話し合いの相手 | 店という窓口がある | 当事者どうししかいない |
| 相手が誰か | 店が把握している立場にある | 源氏名と連絡先だけのことがある |
| 年齢や本人の確認 | 店が確認を求められる立場にある | 確認する人がいない |
| やり取りの記録 | 予約や決済の記録が残る | 双方の端末にしか残らない |
| お金の性質 | 料金として説明がある | 名目が決まらないまま渡ることがある |
変わるのは行為の重さではなく、後から確かめる手段
誤解されやすいのですが、店を通さなくなったことで、その場で行われたことの法的な評価が軽くなったり重くなったりするわけではありません。変わるのは後から事実を確かめる手段と、間に立つ人の有無です。
店を通していれば、予約の記録、入退室の時刻、決済の履歴といったものが第三者の側に残ります。何を頼み、いくら支払ったのかについて、当事者の記憶以外の材料があるということです。個人的な関係になると、この部分がすべて当事者の手元の記録に置き換わります。手元の記録は、消すこともできますし、消えることもあります。
店から客に請求が来ることはあるのか
違約金の約束は、店とセラピストの間のもの
店とセラピストの契約には、店を通さない取引を禁じ、違反した場合に違約金を支払う旨の定めが置かれていることがあります。ここで押さえておきたいのは、その約束の当事者は店とセラピストであり、客は当事者ではないという点です。
したがって、店とセラピストの間に違約金の定めがあるという事実から直ちに、客が店に対して同じ金額を支払う義務を負う、という関係にはなりません。「規約にこう書いてある」と示されたときは、それが誰と誰の間の取り決めなのかを最初に確認することになります。
それでも客に向けて請求される場合、何が主張されるのか
店が客に対して金銭を求めてくる場合、店の側は、客が働きかけたことで本来得られたはずの売上が失われた、という形の主張をすることがあります。この種の主張が通るかどうかは、誰がどのように働きかけたのか、店に損害といえるものが生じたといえるのか、その額をどう説明するのか、といった点にかかってきます。
規約に金額が書かれていることは、その金額を支払う根拠がそろっていることを意味しません。求める側が、根拠と金額の両方を説明する立場にあります。なお、請求書の名目が「罰金」とされていることもありますが、罰金は刑罰の名称であり、店が客に科すものではありません。
利用を断られることと、金銭の請求は別の話
店が今後の予約を受け付けない、出入りを断るといった対応をとることはあります。これは誰と契約するかという店の側の自由に関わる部分で、金銭の支払義務があるかどうかとは切り離して考えることになります。両者を混ぜて説明されると、断られること自体が支払の理由であるかのように感じられますが、そうではありません。
会う場所と行為の内容によって、問題の層が変わる
店の外に出ても、刑事のルールは変わらない
店の外で会った場合でも、同意があったといえるか、相手がどのような状態だったかについての評価の枠組みは変わりません。店の規約に触れるかどうかという話と、法令に触れるかどうかという話は、そもそも別の層にあるからです。
むしろ注意したいのは、店の記録も第三者の目もない場所では、後から「どのような状況だったか」を示す材料が双方とも乏しくなるという点です。これは、身に覚えのないことを言われた側にとっても不利に働き得ます。また、同意なく写真や動画を撮ることについては別のルールが働き、これも場所によって扱いが変わるものではありません。
対価が伴う関係になった場合
金銭のやり取りを伴う関係になった場合には、売春防止法の枠組みが関わってきます。買う側について直接の罰則を定めた規定は現在のところ置かれていませんが、この点は制度の見直しに関する議論が続いている領域でもあります。この論点は単独で扱う必要がありますので、別の記事に譲ります。
相手が誰なのかを確かめる人がいなくなる
年齢の確認が外れる
営業の届出をしている店は、働く人の年齢について確認を求められる立場にあり、従業者の名簿を備えておくことも求められています。個人的な関係になると、この確認を経ないまま会うことになります。
相手の年齢について後から問題になったとき、「店を通していたのだから確認されているはずだ」という前提は使えません。年齢に関わる問題は、こちらがどう思っていたかだけで決まるものではありませんので、少しでも気にかかる点があれば、その段階でご相談ください。
相手の生活の事情も見えない
相手に配偶者がいた場合には、男女間の問題として慰謝料を請求される場面があります。逆に、こちらに家庭がある場合には、私的なやり取りの記録が家庭に知られる形で問題が表面化することもあります。店を通した利用であれば当事者の関係で完結していたものが、個人的な関係になると関係者が増える、ということです。
連絡を続けること自体が問題になる場面
断られた後も送り続けた、という形になりやすい
相手への好意やそれが満たされなかったことに基づいて、拒まれた後も繰り返し連絡する形になると、ストーカー規制法の枠組みで捉えられることがあります。都道府県の条例が別の枠組みを用意していることもあり、恋愛感情によるものといえない場合でも取り上げられることがあります。
私的なやり取りで難しいのは、断り方が遠回しになりやすいことです。「今は忙しくて」「また落ち着いたら」という返信が続いている状況を、こちらは継続中と受け取り、相手は断ったつもりでいる、という食い違いが生じます。返信が止まった、既読がつかなくなった、といった変化があったときは、そこで一度立ち止まる判断が現実的です。
店や勤務先に働きかけると、別の問題が重なる
連絡が取れなくなったときに、店に問い合わせる、出勤の予定を調べて待つ、共通の知人を通じて働きかけるといった行動に出ると、相手個人との問題に加えて、店の業務に関わる問題が重なることがあります。相手を探す行為そのものが、後から見たときに別の意味を持ってしまう場面です。
お金が動いたときに残る問題
名目が決まらないまま渡ることが多い
個人的な関係の中で渡したお金は、料金なのか、立て替えなのか、貸したのか、贈ったのかがはっきりしないまま動きがちです。名目は後から都合のよいものを選べるわけではなく、渡した当時のやり取りによって決まっていきます。渡す前後のメッセージが残っているかどうかが、その後の話し合いを大きく左右します。渡したお金の返還を求める場面については、別の記事で扱っています。
求められる側になった場合
「店に言う」「家族に知らせる」と告げたうえで金銭を求める、といった形は、脅迫や恐喝の枠組みで捉えられることがあります。もっとも、こちらから相手の生活の場に出向いたり、周囲に知らせたりして取り返そうとすると、今度は自分の側の行為が問題にされます。求められている側であっても、動き方によって立場が入れ替わり得るという点は押さえておきたいところです。
自分の情報がどこまで渡っているかを把握する
相談の場でよく見落とされるのが、こちらの情報がどれだけ相手の側にあるか、という点です。次のようなものが考えられます。
- 予約の際に店へ伝えた電話番号や、確認のために示した身分証。
- 個人のアカウントでやり取りする中で表示される本名やアイコン、過去の投稿。
- 待ち合わせや送迎の際に伝えた自宅や勤務先のおおよその場所。
- 送金や決済の記録に残る名義。
- 写真や動画に写り込んだ室内、車内、周辺の様子。
- 共通の知人や、同じ店を利用している人からたどれる情報。
これらは、話し合いになったときの力関係にそのまま影響します。何を渡してしまっているかを把握しておくことは、必要以上に譲歩しないためにも意味があります。
残しておきたいものと、避けたい対応
具体的な問題が起きたとき、あるいは起きそうなときの目安を挙げます。
- やり取りは消さずに残す。自分に不利に見える部分も含めて、経緯が分かる形で保存する。
- 店や相手から連絡が来たときは、日時と内容を控えておく。
- その場で書面に署名したり、金額を約束したりしない。
- 請求を受けたときは、誰の立場からの請求か、根拠は何か、金額の内訳はどうなっているかを確認する。
- 自分から相手の勤務先や周囲に働きかけない。
- 家族や職場に知られたくないという気持ちを、そのまま相手に伝えない。
最後の点は補足が必要かもしれません。知られたくないという事情は、多くの方が抱えているものですが、それを相手に伝えると交渉の材料として扱われることがあります。その事情は、相手ではなく相談先に伝えるべきものです。
よくあるご質問
連絡先を交換したことが店に知られると、客の側も何か処分を受けるのでしょうか
店が客に対してとり得る対応は、今後の予約を受け付けない、出入りを断るといったものが中心です。金銭の請求は別の話であり、請求する側が根拠と金額を説明する立場にあります。求められた金額をそのまま受け入れる前に、内容を確認する時間をとって差し支えありません。
相手から「店には言わないでほしい」と頼まれています。応じてよいものでしょうか
黙っていること自体が問題になるわけではありません。ただ、秘密を共有している状態は、後から金銭の話が出てきたときに断りにくさとして働くことがあります。相手の事情に配慮することと、こちらが不利な立場に置かれることは切り分けて考えておくとよいでしょう。
連絡先を交換しただけで、まだ会っていません。この段階でできることはありますか
問題が生じていない段階であれば、やり取りを残しておくことと、相手が距離を置く様子を見せたときに追わないことが基本になります。すでに金銭の話が出ている、あるいは店から連絡が来ているという場合は、次の一手を決める前にご相談ください。
まとめ
- 私的な連絡に応じること自体が罪に問われるわけではないが、店を経由しない関係になると前提がいくつか外れる。
- 外れるのは、話し合いの窓口、第三者の側に残る記録、年齢や本人の確認といった部分である。
- 店とセラピストの間の違約金の定めは、客を当事者とするものではなく、そこから直ちに客の支払義務が生じるわけではない。
- 店が客に請求する場合、根拠と金額の説明は求める側の役割であり、規約の記載がそのまま根拠になるわけではない。
- 利用を断られることと、金銭の支払義務があることは別の話である。
- 店の外に出ても、同意や相手の状態に関する評価の枠組みは変わらず、確かめる材料が減るだけである。
- 拒まれた後も連絡を続ける形になると、こちらの行為が問題として取り上げられることがある。
- 渡したお金は名目が決まらないまま動きやすく、当時のやり取りが残っているかどうかが後の話し合いを左右する。
メンズエステのトラブルでお困りの方へ
弁護士法人若井綜合法律事務所では、風俗トラブルに関するご相談を池袋と新橋の事務所でお受けしています。店から連絡が来ている方、金銭を求められている方、相手との連絡をどう扱えばよいか迷っている方のいずれについても、これまでの経緯を伺ったうえで、次に何をするかを一緒に整理します。
ご相談の内容は守秘義務の対象となり、ご家族や勤務先に知られない形での進め方についてもご相談いただけます。ご自身で対応を続けるうちに立場が入れ替わってしまう場面もありますので、動く前の段階でお声がけいただければと思います。


