マナーうんちく話2287《めでたい時に幸せご飯「赤飯」を食べる理由》

平松幹夫

平松幹夫

テーマ:冠婚葬祭のマナー

日本の4月は清々しい時期であり、おめでたいことが多い頃でもあります。

そして日本人は、AI全盛期の今でもお赤飯が大好きで、喜びごとや祝い事がある日に、お赤飯をいただく習慣は今でも残っています。

そこで今回は《お赤飯》についてのうんちくに触れてみたいと思います。

●赤飯とは?
もち米にささげや小豆などを加えて蒸しあげた、日本の伝統的なお祝いの料理です。

ちなみに「ささげ」も「小豆」も見た目はよく似ていますが、いずれもマメ科のササゲ属です。

小豆は粒が丸くつやのある赤色で、煮ると皮が破れやすいのが特徴です。
一方ササゲは粒が細長く、くすんだ色で、煮崩れしません。

従って江戸時代の武家社会では煮崩れすること、つまり胴割れすることが「切腹」につながるとして、赤飯にはササゲが使用されたといわれています。

そもそも米が中国から伝わったころは「赤米」が主流で、この赤米文化がいろいろな神事や儀式などと結びついて、赤いご飯は神聖な食べ物であると認識されるようになったとか・・・。

つまり江戸時代になる前までは多くの庶民はインディカ種の赤米を食べており、赤飯も赤米を蒸したものだったということです。

やがて稲作技術が進歩し、品種改良がおこなわれ、味が良くて安定した生産ができるジャポニカ種の今の米に変わったようです。

ただ赤いご飯を神様にお供えする習慣は根強く残っており、江戸中期になって白い米に小豆を加えて蒸したものが「赤飯」として広まったわけです。

ちなみに赤飯には「ゴマ塩」がつくことがありますが、これは赤米から作ったものではなく、白いもち米に小豆を加え赤く染めてつくったということを誤魔化すためだったという説があります。

通常は黒いゴマを使用することが多いのですが、中には黒は不祝儀の色と捉えられることがあるので、祝儀にはあえて白い色のゴマを使用することもあります。


●「江戸わずらい」予防の効果もあった
元禄時代になって白いご飯が定着するようになってくると、米の力で体力が増強してきますが、いい事ばかりではありません。

特に下級武士は、おかずは少なく、米ばかり多く食べたといわれていますが、これだとビタミン不足に陥ります。

新たにビタミンB1不足による「脚気」という病気が蔓延するようになります。
いわゆる「江戸わずらい」という奇病ですね。

そこで「食べ方」の問題が生じるわけですが、ポリフェノールを始め多くの栄養素が含まれる小豆ご飯は、健康に非常に良い食べ物になったわけです。

今ではもち米と小豆が主に使用され、小豆の赤い色素で染めて喜びを表現するようになっています。

私たちが日常に食しているコメは「うるち米」ですが、赤飯は粘りが強い「もち米」を蒸してつくります。

ただ今年はもち米が非常に高くなったので、うるち米を使用する場合も増えるかもしれませんね。

●赤飯の意味と祝いの席に赤飯が添えられる理由
今でも月の始めと15日に赤飯を焚く習慣が残っている地域もあるようですが、1月7日の「七草粥」に対し、1月15日の「小正月(女正月)には「小豆粥」を焚いて邪気払いをする習慣も残っています。

このように日本では古くから赤い色には邪気を払う力が存在すると信じられており、神聖な行事では赤色の食べ物が多く用いられ、赤飯は神様へのお供え物として重宝されてきました。

また江戸時代になると赤米から入手しやすい小豆が使用されるようになり、小豆で赤色を出す赤飯が一般的になり、赤飯は邪気を払い幸運を呼ぶ食べ物になってきたわけです。

●弔事で赤飯が供される理由
日本には1700余りの市町村がありますが、冠婚葬祭には地域色がつきもので、特に葬儀の際に赤飯を提供する地域も珍しくないようです。
理由は下記のように色々あります。

〇赤飯の赤色には邪気を払う力があるので、凶を返して福となす縁起直しの意味が込められている。
※赤飯に「南天の葉」がそえられますが、南天はまさに「難」を「転じる」という語呂合わせの縁起が良い木だといわれています。
今でいう「安心」「安全」に対する、先人の長い経験や知恵から生じた生活の知恵ですね。

〇また死の穢れを払うためという理由があります。

〇葬儀後の会食、つまり精進落としてしても赤飯が供される地域もあるようです。

〇「赤飯供養」という言葉があるように、死者の供養としても供されます。

この他、特に高齢者が亡くなった時には、もちろん深い悲しみは伴いますが、長寿を全うし安らかに旅立たれたわけですから、大往生を称える意味で赤飯が出される場合もあるようです。

この様に地域により様々ですが、いずれにせよ食文化や地域の慣習、さらには宗教的な慣習を尊重することは大事にしたいものです。

●結局、赤飯はどういう時に食べるの
もとは神事の際の神様へのお供えとして、さらに鎌倉時代になると上巳の節句・端午の節句・重陽の節句などの季節の節目に行事食として、そして室町時代になると祝儀の際の食べ物として赤飯が登場するわけですが、江戸時代後期になって庶民の晴れの日の食卓に供されるようになったいきさつがあります。

今では出産祝い、初節句、誕生祝、七五三、入学や卒業祝い、就職祝い、成人祝い、長寿祝いなどで振舞われるのが一般的です。

物が豊かで便利になった今では、赤飯はスーパーなどでいつでもお手頃価格で購入できます。

皆様方の食卓に赤飯が多く並ぶことをお祈りしつつ、記事を閉じさせていただきます。

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平松幹夫
専門家

平松幹夫(マナー講師)

人づくり・まちづくり・未来づくりプロジェクト ハッピーライフ創造塾

「マルチマナー講師」と「生きがいづくりのプロ」という二本柱の講演で大活躍。「心の豊かさ」を理念に、実践に即応した講演・講座・コラムを通じ、感動・感激・喜びを提供。豊かでハッピーな人生に好転させます。

平松幹夫プロは山陽新聞社が厳正なる審査をした登録専門家です

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