マナーうんちく話2276《どう違う「心ばかり」と「寸志」。正しく理解したい「表書き」の意味と意義》

平松幹夫

平松幹夫

テーマ:贈答のマナー

●贈答の目的
室町時代には冠婚葬祭時に、ものを贈り合った習慣が存在していたといわれますが、そのDNDを受け継いでいるのでしょうか、日本人はとにかく贈りものが好きです。

ちなみに「贈答」は、相手に対する気持ちをより丁寧に伝える手段だといえます。

物のやり取りを通じ親交を深めることは良いことですが、ただ目的を明確にすることが大事です。
また過分な贈り物も、返って相手に心理的な負担を与える恐れがあります。

現在の贈り物は大きく分けて下記の3種類があります。
○結婚祝い、入学祝い、誕生祝など、互いに喜びを分かち合う物

○日頃お世話になっている方や上司などへ、感謝の気持ちを伝える中元、お歳暮など

○慶事や弔事などの際、なにかの施しを受けた際のお礼である「内祝い」や「香典返し」など

●表書きの意味と意義
和食もそうですが、日本のしきたりは神道の影響を非常に強く受けています。
だから贈り物をするときには、昔から白い紙に包み、熨斗を付け、さらに水引を結びます。白色は清浄を表す色です。

さらに贈り物には「お礼」「御祝い」などと、品物を贈る目的をしたためた「表書き」があります。

贈答が盛んな日本ではお祝いの意味での「御祝い」「寿」、謝礼としての「お礼」「寸志」、加えて「ご霊前」「ご仏前」などの弔事から、季節の挨拶である「お歳暮」「お中元」、さらには「お見舞い」や「粗品」まで非常に多くの表書きがあります。
そして表書きの下には送り主の名前を表示します。

室町時代には贈る品物に目録を添える習慣があったようで、やがて江戸時代にそれが庶民まで普及し、水引や熨斗を付けるようになったとか・・・。

●表書きには贈る目的のみならず、感謝や敬意を文字て伝える役目がある
そして「表書き」は単に贈る目的を表現したものばかりではありません。

相手に対して感謝や敬意を、文字で簡潔に伝える温かみのあるコミュニケーションツールでもあります。

文字を的確に選ぶことにより、相手に対する細かな配慮が感じられる、素晴らしい文化です。

贈る側にとっても、「私はマナーをきちんとわきまえていますよ」いうことになるでしょう。

●言葉の響きがおくゆかしくて優しい「心ばかり」という表現
ところで最近は何かと物価高。
贈答品も倹約傾向になるかも・・・。

そんな中、たいしたものではなく、ほんの気持ちだけといった贈り物も多々あります。

ビジネスシーンや日常生活の中で贈り物やお礼の品、お詫びの品などを渡す時には「心ばかり」という表書きが使用されます。

自分の気持ちや品物を謙遜して、自分より目上への人や取引先に対して使います。

口頭でも言いますし、熨斗にも使用します。

ただし、きちんとしたお礼やお祝い、謝罪などは「お礼」「御祝い」「寿」「お詫び」の方がいいでしょう。

つまり品物や金額に応じて使い分けるということで、あくまで自分や相手の置かれている状況なども考慮する必要がありますが、一般的には1万円を超えたら「心ばかり」は使用しません。

また謝罪の場合は、あくまで最初にお詫びの言葉を述べてからで、「お詫び」と表示したほうがいい時も多々あります。

心ばかりは、お菓子や食べ物や少額で、目上への人に対しての言葉で、大変相手を思いやる日本ならではの美しい言葉だと思います。
言葉の響きも、どこか優しくて奥ゆかしい気がします。

さらに上品で丁寧です。

●目上から目下に渡す際の「寸志」という表現
一方よく似た言葉で「寸志」や「薄謝」がありますが、目上から目下に渡す際に使用します。

また寸志は「心付け」といい、お世話になった人へのお礼や感謝の気持ちを表す少しばかりのお金や品物です。

ちなみに「心ばかり」の品物をいただく際は、「お心遣いありがとうございます」とか「有難く頂戴します」と言って受け取ればいいでしょう。

基本的にはお返しは不要と考えます。
「粗品」もありますが、心ばかりに比べると事務的な感じがします。

贈り物の内容や金額、さらに目上から目下の場合と、目下から目上への場合では表現が異なります。
日本の贈答は大変奥が深いですね。

例えば「お年玉」は基本的には、目上から目下になりますが、親や祖父母に対しては「お年賀」と表示します。

年々、贈り物もキャッシュレスが増えているようですが、日本の贈り物は「心を添える」ことが大事だと考えます。

●カタログギフトもいいけど品物を贈るわけとは
日本の贈答は神道の強い影響を受けていますが、その心は贈り物とは「贈り主の心」を贈るということです。

長年ホテルでブライダルの仕事に携わってきて、結納の儀式も多く担当してきましたが、例えば結納の品物などを、相手の事を思いながら、時間や経費をかけて選ぶということは、その人の心がこもるわけです。

つまり手間暇を充分かけて贈るからこそ、相手に自分の気持ちが伝わり、絆が深まるわけです。
表書きしかりです。

ちなみに人間関係を築いたり深めたりするポイントは、しっかり手間暇をかけるというのが筆者の持論です。

最近は合理的にキャッシュレスにする傾向も強いようですが、再度日本の贈答の原点を考えてみたいものです。

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平松幹夫
専門家

平松幹夫(マナー講師)

人づくり・まちづくり・未来づくりプロジェクト ハッピーライフ創造塾

「マルチマナー講師」と「生きがいづくりのプロ」という二本柱の講演で大活躍。「心の豊かさ」を理念に、実践に即応した講演・講座・コラムを通じ、感動・感激・喜びを提供。豊かでハッピーな人生に好転させます。

平松幹夫プロは山陽新聞社が厳正なる審査をした登録専門家です

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