マナーうんちく話2200《暦のある豊かな生活!「初暦」と「旧暦」と「新暦」》

平松幹夫

平松幹夫

テーマ:日常生活におけるマナー

明けましておめでとうございます

旧年中はいろいろとありがとうございました。
今年も「マナーうんちく話」をよろしくお願いいたします。


スマホ全盛の時代になっても、真新しい暦の最初の一ページをめぐるときの気分は格別ですね。

令和5年が令和6年に代わっても、何もかも急によくなることはないでしょうが、一つの節目にはなりそうな気がします。

物価高に加え、政界、財界、芸能界、大学等で不祥事が相次いだ令和5年より少しはよくなりますように・・・。


ところでデジタル社会でも、日本人のおおくは正月になると「明けましておめでとう」の挨拶をかわし、お節料理を頂きます。
初詣に出かける人も多いでしょう。

また春になって桜が咲けば「花見」を楽しみ、夏の土用には「ウナギ」を食す人も多いですね。
そして秋には収穫に感謝する「秋祭り」が盛大に開催されます。

日本には非常に多くの季節の行事がありますが、このような季節ごとの行事を「歳時」と呼び、それは実に多種多様です。

四季の豊かさを上手に捉える日本人の繊細な感性には感心します。

しかもそれらは何百年も何千年も脈々と続いてきたものが多く、由緒ある伝統行事といえるでしょう。

人生をよりよく生きるための知恵でもあると思いますが、最近西洋文化に押され、その影が次第に薄くなっていく気がしてなりません。

特に10代から20代の若者にとっては、正月行事よりクリスマスイベントの方が、花見よりハロウィンやバレンタインデーの方が関心あるとか・・・。

時代の流れといってしまえばそれだけかもしれませんが、こんなに素晴らしい日本の歳時が、学校でも家庭でも、先生から生徒に、親から子にきちんと伝えられていないのが原因ではないでしょうか?

さらにクリスマスやハロウィンデーやバレンタインデーに繰り広げられる巧みな商戦も大きな影響があるかもしれませんね。
宗教色はあまりないにせよ寂しい気がします。

ちなみに私は年間の予定は必ず手帳にしたためますが、必ず年中行事が詳しく記載されているものを使用します。

新年を迎えたところで改めて《旧暦》の豊かさや《新暦》に触れてみます。


●明治になって突然日本の暦が変わった!

明治新政府は世界の仲間入りするため、欧米文化を積極的に取り入れました。
暦も例外ではありません。

明治の初めまでの日本の暦は「太陰太陽暦」です。
陰は月のことですが、月の満ち欠けと太陽の動きがもとになった暦で、古代中国から日本に伝わり、日本のしきたりの基盤になった暦です。

月の満ち欠けが基準ですから、月が新しい月になる日が各月の1日、三日月なら3日になります。

また先人は季節ごとに自然を味わい、一年を24に分類し、その区切りに素敵な名前を付けました。いわゆ「二十四節気」です。

さらにそれを3等分ずつして、一年を72に区切り、鳥や魚や動物や植物の変化及び、気象の動きを知らせる「七十二候」もよく知られています。

これらに「雑節」や「節句」を設け、気候のずれを補いました。

稲作を中心として栄えた日本では、当時9割くらいの人が農業で生計を立てていたので、一年単位で行う農作業に、これからの暦はとても役に立ったわけです。

このように明治5年12月2日まで日本では太陰太陽暦が使用されていましたが、明治5年12月2日を過ぎると、突然明治6年1月1日になりました。

世界各国で使用されていた「グレゴリオ暦(太陽暦)」が採用されたわけです。

そして、これを機会に新しく採用されたグレゴリオ暦を「新暦」、それまで(明治5年12月2日)使用されていた太陰太陽暦は「旧暦」と呼ぶようになったわけです。

今では「カレンダー」という言葉が主流になりましたが、それでも立春を迎えると「暦の上では春になりましたが・・・」というように暦という言葉も生きていますね。
カレンダーは外来語で暦と同じ意味です。


●旧暦と新暦の違い

〇一年の長さが違う
新暦の一年は365日ですが、旧暦は354日です。
旧暦は月の満ち欠けで一月が決まるわけですが、月の満ち欠けの周期は29,5日ですから、29,5×12=354になります。

〇一年のスタートが違う
また新暦の一年の始まりは1月1日ですが、旧暦は新暦の2月4日(立春)を基準にして、前後15日の間になります。

つまり旧暦の時には、正月を迎えるということは同時に春を迎えるということで、2重の喜びであったわけです。

照明器具も暖房器具も食べ物にも不自由していた当時、冬の季節は大変厳しかったと思います。

だから春の到来は格別で、春をいち早く知らしてくれる鶯や梅を「春告げ鳥」「春告げ草」などと、縁起のいい名前を付けたのでしょう。

〇月の呼び名が違う
さらに新暦では月の表示を英語やフラン語の他、数字で表しますが、旧暦はその月に相応しい漢字で表現しています。

「マナーうんちく話」で何度も登場しますが、睦月、如月、弥生、卯月、皐月、水無月、文月のような「和風月名」です。


この様に大変情緒豊かな旧暦ですが、新暦とは20日から50日のずれがあり、毎年変わるので、大変ややこしいのが難点です。

月の満ち欠けが基本になる日本の「お月見」は旧暦の8月15日ですが、毎年異なりますね。

節句もそうです。
3月3日は桃の花が咲く時期ですから「上巳の節句」を「桃の節句」とも呼びますが、桃の花が咲くのは4月頃の地域が多いですね。

9月9日の「重陽の節句」は五節句の中では一番格式が高く「菊の節句」ともいわれますが、菊が咲くのは11月になってからです。
しかも菊の節句が商業ペースに乗ることはまずないでしょう。

ネーミングが季節外れに加え、商戦にならない行事は、いくら豊かな精神文化を含んでいても置き去りにされてしまうのは、何とももったいないことだと思うのですが・・・。
いい方法はないものでしょうか。

世界に誇る日本の素晴らしい文化を再認識し、日本の歳時をなるべく家庭や地域で楽しまれることをお勧めします。
その由来は「マナーうんちく話」を参考にして下さいね。

そして歳時に込められた意味やその心に触れるとともに、豊かな感性や思いやりの心を再び呼び起こしていただきたいものです。


今年一年、皆様の暦に、一つでも多くの幸せな出来事が刻み込まれますように祈念いたします。

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平松幹夫
専門家

平松幹夫(マナー講師)

人づくり・まちづくり・未来づくりプロジェクト ハッピーライフ創造塾

「マルチマナー講師」と「生きがいづくりのプロ」という二本柱の講演で大活躍。「心の豊かさ」を理念に、実践に即応した講演・講座・コラムを通じ、感動・感激・喜びを提供。豊かでハッピーな人生に好転させます。

平松幹夫プロは山陽新聞社が厳正なる審査をした登録専門家です

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