マナーうんちく話2191《お盆の供養の仕方が変わってきた。本当にこれでいいの?》

平松幹夫

平松幹夫

テーマ:冠婚葬祭のマナー

大型台風が気になりますが、8月13日から16日までは「月遅れの盆」です。

盆にも「新暦の盆」「月遅れの盆」「旧暦の盆」があり、地域によりことなりますが、月遅れの盆を行うところが多いようです。

ところでお盆は、仏様(ご先祖の霊)を自宅にお迎えして供養する行事ですが、日本古来の祖霊信仰と仏教の行事が融合した行事です。

日本には年に二回、先祖の霊を迎える行事があります。
盆は夏季に行われる祖霊を祀る一連の行事と捉えたらいいと思います。

ご先祖の霊があの世から、自宅に里帰りされて、家族とともにひと時を過ごされるわけですが、ご先祖の霊を迎え、安らかに成仏していただきたいという祈りと、生前の感謝を込めて供養します。

しかしその供養の仕方が、最近大きく変化してきた感があります。
コロナの影響も大きかったです。

後継ぎ不要のお墓が最近増えているようですが、価値観の変化でしょうか。

墓石を立てて、家族でそれを守っていく伝統的なお墓が減り、樹木葬、納骨堂、永代供養墓がふえているとか。
「墓じまい」も増えてきたそうで、今後はさらに加速するでしょう。

その影響でしょうか、お盆やお彼岸にお墓参りする人が減少しているそうです。
お墓に対する考え方が大きく変化したということですね。

超高齢化、少子化、核家族化、国際化、デジタル化に加え単独世帯の増加などなど、多くの要因が重なったためだと思いますが、これでいいのでしょうか。

現在日本の人口は約12500万人で、そのうち65歳以上の高齢者は3600万人を超え、独居高齢者が740万人となれば「孤独死」も増加するでしょう。
課題山積だと考えますが、この抜本的対策はあまり聞こえてきません。

ちなみに今から80年前までは義務教育で、神社に対する礼法、家のしきたりや先祖の祭、さらには「家例祭忌」を教えています。

「家例」とはその家に代々伝わる特別なしきたりや決まりの事で、「祭忌」とは故人の年忌の祭りのことです。

戦前には小学校高学年で、神社での拝礼の作法、さらには焼香や玉串について詳しく教え、さらに先祖が定めた家のしきたりを重んじ、先祖の恩を忘れないよう説いています。

家風、家例に従って祖先を祀り、郷土の慣習に基づき、神霊を祀ることも教えています。
家族や地域における協調性や絆づくりの大切さを教えたということです。

これらは古臭いしきたりであり、今の時代にマッチしないという意見もありますが、では今はどうでしょう?

日本の子どもは幸福を感じているのでしょうか?
便利で物質的にも豊かになり、お洒落も楽しみ、世界屈指の贅沢な食生活を謳歌していますが、先進国の中では幸福度はワーストクラスでしょう。

自殺が多く、友達を作る能力が極端に低いのも大変気になります。

古臭いといわれても、家族そろって墓参りをし、ご先祖に感謝し、家族の絆を深めるのがお盆の存在意義です。

そして供養とは、お盆にあの世から里帰りされたご先祖の霊とのコミュニケーションの意味もあると考えます。

マナーには「不易流行」的側面がありますが、時代が大きく変わっても、供養の本質は変わらないでほしいものです。

なぜなら百歳時代を豊かに生きるには、感謝の気持ちや絆づくりは必要不可欠だからです。


神様を敬い、祖先を奉るということは日本古来の伝統であり美風です。

そして神社やお寺と同様、仏壇やお墓は日本人にとっては心のよりどころだと思います。

ご先祖に真摯に向き合い、手を合わせることにより、心が落ち着きつきます。
また人間力向上にもつながるでしょう。

戦前の家制度も崩れ今では核家族、単独世帯が増加し、それに伴いお盆の供養の方法が変化するのは仕方ないことですが、先祖のお陰で今があることに変わりはありません。
先祖を偲び、感謝する気持ちだけは大切にしたいものです。

加えて伴侶、家族、親族など、大切な人とのコミュニケーションも大事にして下さいね。

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平松幹夫
専門家

平松幹夫(マナー講師)

人づくり・まちづくり・未来づくりプロジェクト ハッピーライフ創造塾

「マルチマナー講師」と「生きがいづくりのプロ」という二本柱の講演で大活躍。「心の豊かさ」を理念に、実践に即応した講演・講座・コラムを通じ、感動・感激・喜びを提供。豊かでハッピーな人生に好転させます。

平松幹夫プロは山陽新聞社が厳正なる審査をした登録専門家です

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