マナーうんちく話622≪世界平和記念日と日本の礼儀作法≫
真夏に近づくこの時期は、何もかもが非常にエネルギッシュになり、命がみなぎっています。
季節に同化するため旬のものを食して免疫力を高めるのもお勧めです。
我が家の畑では、梅雨と太陽の恵みをいっぱい受け、すくすくと育っている夏野菜がそろそろ収穫できそうです。
ところで蒸し暑い夏を前に、何かと体調不良に陥ることが多い季節ですね。
カビが生えたり、気分がイライラしたり、周囲との関係がうまくいかなかったりすれば、身体の不調が伴うようになります。
どうする?
ヨモギ風呂に入る、アロマオイルや水晶やパワーストーンの力を借りる。
睡眠や栄養や休養をしっかりとる。
日本酒や盛り塩で邪気を払う。
方法は沢山あると思いますが、昔のように身と心を清め、悪霊に取りつかれないようなお祓いを受ける人は少ないと思います。
ただ非科学的とも思える年中行事には、意外に気分をリセットしたり、仕切り直す効果はあると思います。
だからこそ「五節句」や「茅の輪くぐり」の様な儀式がAI全盛の今でも続いているのではないでしょうか。
さらに6月(水無月)を代表する和菓子である、三角形をした「水無月」は、表面に小豆がのっていますが、これは邪気払いの願いが込められています。
もともとは半年間の穢れを払う目的で、6月の終わりころに行われる「夏越の祓い」で食される和菓子だそうです。
赤い色をした小豆には邪気を払う効果がありますが、白い米粉を蒸して作る「ういろう」は水を意味しており、暑気払いの意味があります。
時期的にも蒸し暑い日が続き、身も心も弱ってしまうこともあるでしょう。
こんな時こそ、近所の神社に出向き「茅の輪くぐり」をして、その後「水無月」を頂いて気分転換を図るのもいいですね。
なお「茅の輪くぐりの作法につきましては「マナーうんちく話2045」を参考にして下さい。
ちなみに1月から6月までの半年間を見ても、邪気を払う行事は多々あります。
1月7日の「人日の節句」では七草粥を食して邪気を払い、2月3日の「節分」では豆まきをして鬼(邪気)を退治し、3月3日の「上巳の節句」は桃の節句ともいわれますが、桃には邪気払いの効果があります。
さらに5月5日の「端午の節句」では菖蒲で邪気を払います。
本当にお祓いの儀式が多いですね。
医学も未発達で、栄養状態や衛生面は今と比較にならないくらい悪かったので、お祓いによって心身を清めることが大変重要だったと思います。
これらを、古い因習に不必要にとらわれることはないと捉えるか、何百年も、あるいは千年以上も続く伝統行事に、何かしら生活の知恵を見出し前向きにとらえるかは人それぞれですが、命や自然と真摯に向き合ってきた先人の行動には、教えられるものが多々あるような気がします。
6月30日はちょうど一年の半分が過ぎたところです。
日本人は「節目」をとても大切にしてきましたが、折り返し点できちんと節目を付け、
また新たな気分で残り半分を元気に歩みたいものですね。
先人は「夏越の祓い」で茅の輪くぐりをして、心身を清め、清らかな気持ちでお盆を迎えたのでしょう。
この精神が、日本が世界に誇る「おもてなし」の原点になっているわけです。