マナーうんちく話1898《シニアの起業!成功への心構え⑩「案ずるより産むがやすし」》
「願わくば我に七難八苦を与えたまえ」と叫んだ戦国乱世の武将がいましたが、世界屈指の長寿国で「人生百歳時代」を迎えている今の日本では、多くの人が長い人生を幸せに歩みたいと願っているのではないでしょうか。
長い人生を幸せに生きるためには「健康」「お金」「生きがい」「地位・名誉」「良好な人間関係」などなど沢山ありますが、素敵なマナーを身に着けることをお勧めします。
「マナーうんちく話」で何度も触れていますが「マナー」とは平たく言えば他者への思いやりや敬意です。
自分を格好よく見せるためではなく、他者に好感を与えるものだということです。
人里離れた場所で、一人で暮らしている場合は、つねに自分の事ばかり考えていればOKですからマナーは不要でしょう。
しかしたいていの場合は、自覚していなくても多くの人と関わり合いがあり、互いに助け合い、支え合いながら生活しています。
他者との関りの中で、相手に不快感を与えないことと、好感を与えることが「思いやり」です。
従って相手に対して思いやりが発揮できるということは、社会生活や人間生活が良好になることであり、相手から信頼され、評価も上がるというわけです。
学校では学力が評価の物差しになるケースが多いと思いますが、社会生活においてはいかに素敵なマナーを発揮できるかでしょう。
今や日本は「平均寿命」も「健康寿命」も世界トップクラスであり、百歳以上生きている人が全国で9万人を超えています。
まさに「人生百歳時代」に突入しているといっていいと思います。
そんな長い人生において、つねに素敵なマナーを発揮できるか否かでは、人生に雲泥の差が出るかもしれませんね。
長生きするようになったからこそ豊かな生活を心がけたいものです。
残念ながら世界屈指の長寿国日本では、マナー教育はほとんど行われていません。
小学校でも中学校でも高校でも、体系だったマナー教育はほとんど行われてないのが実態ではないでしょうか。
私も学校からの依頼は結構ありますが、ほとんどが数時間の講話ばかりです。
大学でもしかりでしょう。
日本には800近くの大学があるようですが、マナーに特化した学部は聞いたことがありません。
卒業を控え、就職する間際になって「ビジネスマナー」を、にわかに勉強するくらいでしょう。
しかしこの時点ではすでに遅いと思います。
若い人のビジネスマナー研修を多々担当してきましたが、「思いやりの心」は、中学卒業の頃にはしっかり教え込む必要があるのではと痛感しています。
またSDGs運動にしても、求められる要素は人や自然への思いやりの心です。
横文字を並べる前に、先ずは「思いやりの心」の育成であり、その発揮の仕方だと思います。
そのてん戦前の学校のマナー教育は素晴らしかったと思います。
江戸時代のマナー教育もしかりです。
江戸時代の藩校や寺子屋、そして明治から終戦までの尋常小学校、尋常高等小学校、国民学校、それに高等女学校などで教科として教えた「礼法」です。
昔のことですから、今では考えられない要素も少なからずあったが、全体としては非常に高度であり、優雅さが漂うものです。
家事の手伝い、整理整頓、社交辞令から贈答、水引の結び方、和食の作法、神社での参拝の作法などなど・・・。
加えて「立礼」や「座礼」も、令和の今見習う点が多々あると考えます。
当時は平均寿命が50歳に届かなかったわけですが、貧しいながら豊かな生活を送るうえで大変参考になったと思います。
今の日本は平和で、物が豊かで、便利で恵まれすぎるくらい恵まれていますが、世界全体から見れば幸福度はお世辞にもよくありません。
特に今の子どもは、先進国の中でも健康面はトップクラスですが、精神面はワーストクラスであり、友達を作る能力が非常に低いようです。
人生百歳時代における幸せは、天から自然に降ってくるものではなく、自分で作るものであり、それは心ひとつで決まります。
百歳時代を幸せに生きるという大きな目標に向かって、改めて「自分の生き方の軸足はどうか」自ら問いかけ、マナーの必要性の再認識したいものですね。
次回は江戸時代から戦前の子どものマナー教育に触れてみます。