マナーうんちく話296≪家族団欒の作り方≫
長年社員研修やマナー研修に携わって、最近の若い人は良いところも多いのですが、ストレスに非常に弱いと痛感します。
いろいろ原因が考えられますが、恵まれた環境で育った人が多いからでしょうか。
昔に比べ、豊かで、便利で、自由なことはとてもいいことです。
欲しいものはすぐ手に入り、やりたいことも簡単にできる。
素晴らしいことですが、言い方を変えれば苦労知らずに育っているわけでしょう。
いやなら「無理しなくてもいい」。
これって、本当に子どものためになるのでしょうか?
嫌なら「今のままでいい」では成長はないとおもうのですが。
加えて今の子どもは、褒められて育てられ、叱られた経験が少ないような気がします。
さらに怒ることも、叱ることも、いずれも相手を威圧したり、恐怖心を与えるのでよくないという意見もあるようですが、順風満帆の温室育ちの子どもが、大きくなって相手の痛みを理解できるようになるのでしょうか?
逆境に弱くなるとおもいますが、いかがでしょうか。
忍耐力もなければ、我慢することもできません。
学校を卒業し就職しても、3年以内にやめる若者が相変わらず多いようですが、自立支援に関わってみて、それが理解できる気がします。
親の躾は非常に大切だと痛感します。
多くの親に、躾に対する自覚を持っていただきたいものです。
ところでコミュニケーションやマナーのセミナーでは「聞き上手」「褒め上手」はよく耳にしますが、恐らく「叱り上手」はあまり聞きなれないのではないでしょうか。
躾に「しかり上手」は大いに関係があると考えます。
子どもに、相手に不快感を与えるような言動があれば、親は間髪入れず注意したり、叱ったりすることが大切だということです。
ある程度の束縛や訓練も必要だと思います。
こどもを傷つけないことも大切だけど、簡単に傷つきにくい心を鍛えることの方がもっと大切だと私は思います。
今や日本は世界に誇る人生百歳時代です。
長い人生には苦労も多々あります。
今回経験したコロナもそうでしょう。
苦しい状況でも、逞しく生きる力は必要不可欠です。
戦争や大災害をいつ経験するかもわかりません。
ちなみに日本には世界に誇る礼儀作法があります。
平和な社会で育まれた日本の礼儀作法は「思いやりの心」を基盤にしている素晴らしい文化です。そして躾もそうでしょう。
最近「子どもの虐待」が大きな話題になることが多いようで、褒め上手が推奨されています。
褒めることと叱ることのバランスを上手にとって、「叱り上手」になっていただきたいものです。
ポイントに触れておきます。
マナーには「なぜそうするのか?」という合理的な理由が存在しますが、しかり方もそうです。
なぜ叱るのか?
そして叱ることにより、子どもにどのような効果が期待できるのか?
この点をしっかり認識してくださいね。
勿論その前に、日頃から親と子の信頼関係を築いておくこともお忘れなく。
親の人生観や信念に基づいてきちんと叱れば、子は親の期待に背くことはないと思います。
子はいつも「親の背中を見て育つ」といわれますね。