マナーうんちく話1848《本当に2000万円も必要なの?「高齢期を【幸齢期】にするために①」》
「1月はいぬる、2月は逃げる、3月は去る」といわれますが、この時期は何かと行事が多く、時の流れが速くなるという意味で使用されます。
しかし歳を重ねますと1年12か月全てが大変早く感じるようになります。
ところでこの季節の言葉に「三寒四温」や「柊挿す」があります。
三寒四温は、もとは中国や朝鮮半島でみられる現象だそうですが、三日寒い日が続けば四日暖かい日が続くという意味です。
ただ現実は今が一年で最も寒い時期で、もうしばらくは注意が必要ですね。
一方「柊」は冬になると、白いかわいらしい花を咲かせますが、金木製に似た甘い香をただよわせてくれます。
のこぎりのようなギザギザの葉があるので、柊の葉を玄関などに挿して「魔よけ」のおまじないとして節分に重宝されます。「柊挿す」はここからついた言葉ですが、「鬼の目つき」という名もついています。
さらに柊は日本だけでなく、外国でも魔よけとして使用されています。
幼いイエス・キリストを邪悪なものから守ったという言い伝えがあり、今でもクリスマスのモチーフにはかかせないものになっていますね。
このように鋭い葉を武器に「邪気払い」の木として大活躍した柊。
不思議なもので、歳を重ねてくると、とても丸くなり、優しさを増して、心を和ませてくれるようになります。
理想的な年の取り方だと思います。
今や日本は「人生百年二毛作時代」。
人もこうありたいものです。
若い内は企業戦士として活躍した人が、セカンドライフは今までとは別の人生を構築し、社会を明るく照らす役目を担うようになれば理想的でしょう。
若い人は時代風俗の象徴であり、何かとエネルギッシュで頼もしい存在です。
日本の将来に欠かせない貴重な人材です。
一方シニア世代の、艱難辛苦を経験したからこそ身に付いた「人間力」にも期待したいものです。
その人間力の代表的なものが、多彩な知識や知恵だと思いますが、日本人特有の「優しさ」や「寛容さ」も見捨てたものではないはずです。
柊の葉のように、鋭かったものが丸くなるということは、時間の経過とともに、優しさや寛容さが加味されてくるということでしょう。
このような時代だからこそ、形からでも、心からでもいいので、日本人ならではの「心の美しさ」を復活したいものです。
国際化やデジタル化の流れを受け現在は何かとあわただしくなりましたが、そもそも日本人は昔から日本人特有の美しさを兼ね備えていたはずです。
日本の四季の美しさや、国土の7割以上を占める美しい山河の佇まいも優しさを築いた大きな要因でしょう。
また日本の和風建築の大きな特徴は畳や襖や障子、そして床の間があることです。それが自然に、優しい立ち居振る舞いを日常生活で身につけてくれました。
「優しさ」や「寛容さ」があれば周囲と良好な人間関係が築けます。
幸せな生活には良好な人間関係は必要不可欠です。
またこれらは、どちらかといえば、道徳に関する日本人の美徳ですが、いずれも健康に良く、幸福感を高める効果があるという研究結果もあります。