マナーうんちく話622≪世界平和記念日と日本の礼儀作法≫
おすこやかに新春をお迎えのことと思います
昨年は「マナーうんちく話」にお付き合いいただき誠にありがとうございました
今年も何卒よろしくお願い申し上げます
令和3年の正月を迎え、全国津々浦々で「あけましておめでとうございます」の挨拶が交わされていると思います。
何十年も、正月の挨拶として当然のように口にしたり、耳にしたり、目にする言葉ですが、この言葉にはどのような意味が込められているのでしょうか?
言葉の意味を正しく把握する前に、まずは正月に関する基礎知識と、先人の思いを理解することが大切です。
日本は非常に長い歴史を有し、四季が豊かで、稲作を中心とした農耕文化で栄え、神道を信仰してきた国です。
何万年以上も前から狩猟、漁業、農耕に依存して生計を営んできたわけですが、自然とのかかわりがとても深くなります。全てにおいて、自然に依存するわけですから、地震、雷、豪雨、強風、豪雪、干ばつなどなど、不安や恐怖は今のコロナ以上だったかもしれませんね・・・。
様々な自然現象や、山、川、草木、動物に至るまで、あらゆるものの中に霊的な存在を感じて、それを神とみなし、畏敬の念を抱き、崇め、そして祀ったのでしょう・・・。
加えて四季を大切な節目としたようです。
とりわけすべてのものが芽吹く春を大切にしたわけですね。
そして春になると積極的に神を招いて、祀ろうと考え、神と一体となり、神の霊力を授かるために、神とともに酒食をして、余興でもてなしたわけです。
また人が亡くなると、その霊は死霊となり、やがて時が経つうちに祖霊となり、神になると信じられていたようです。
祖霊は「山の神」になるわけですが、春になれば麓に降りて「田の神」になり、五穀豊穣をもたらしてくれます。
ところで「正月」とは「歳神様」をお迎えし、おもてなしし、お見送りする一連の行事ですが、歳神様とはどんな神様でしょうか?
正月になると様々なシーンに登場される歳神様は、「穀霊」と「先祖霊」の習合霊で、各家々にやってこられて、家族の健康や幸せ、そして豊作をもたらして下さる最高にありがたい神様です。
ちなみに「門松」はその家に里帰りされる歳神様の依り代になり、「鏡餅」は歳神様へのお供え物です。
《あけましておめでとう》の言葉には実に多くの意味が込められています。
歳神様へ「今年もようこそおいでくださいました」という歓迎の挨拶、「昨年は色々有り難うございました」という感謝の挨拶、「お陰様で厳しい寒さの時でもなんとか正月を迎えることができました」というお礼の挨拶、「今年もどうか健康と豊作をお願いします」という祈りの挨拶でもあるわけです。
このような由来を持つ、まさに日本ならではの言葉ですから、笑顔で多くの人に挨拶してくださいね。
ところで数ある日本の年中行事には豊かな精神文化がたくさん宿っています。
このような精神文化を大切にしながら生きることで、「いつも神様が私たちを守って下さっている」。だから一生懸命前を向いて生きていこう!
「何事にも一生懸命取り組むが、力足らずのところは神様が何とかしてくださる」と思えば、気持ちが和らぎ、明るく幸せな気分になります。
オンラインを巧みに使いこなすのもいいかもしれないけど、かつて先人が長い間行ってきたように、自然や神様に感謝しながら、寄り添って過ごすこともおすすめです。
念頭にあたって、本当の幸せとは何か?ゆっくり考えてみるのもいいですね・・・。
日本人らしい真の豊かさが見いだせると思います。