マナーうんちく話604≪武士は食わねど高楊枝≫
大空を見上げていたら、青空に浮かぶ雲が一段と近くなった気がします。
自然がより身近に感じられるということは、それだけ夏か近くなったということかもしれませんね・・・。
5月1日は「雑節」の一つ「八十八夜」で、5日は二十四節気の一つ「立夏」。
「夏も近づく八十八夜、野にも山にも若葉が茂る、あれに見えるは茶摘みじゃないか」とうたわれるように、茶摘みの目安になる頃です。
ちなみに「八十八夜」とは立春から数えて88日目ですが、神事の多くが稲作に関係するように、「瑞穂の国」日本では《コメ》は単なる食物ではなく、経済基盤の戦略的物資であり、文化形成の大役を果たしてきた特別な存在です。
そして、その米という漢字を分解したら「八と十と八」になるので、八十八夜に摘んだお茶は縁起が良く、不老長寿に効くといって喜ばれました。
また奈良時代から平安時代に、中国から遣唐使や留学僧によってもたらされたお茶は、当時特別階級の人たちの薬として珍重されていただけあって、新茶は栄養価も高く、若さや気力を蘇えらせてくれそうです。
コーヒーや紅茶が普及したとはいえ、日本茶は日本人にとって切っても切れない関係です。これからは新茶の季節ですから、お茶をお楽しみください。
どこの国でもその国を代表するお茶が存在しますが、お茶の多くは「もてなし」の文化を形成しています。日本の茶の湯にみられるもてなしもそうですね。
さて新型コロナウイルス感染症に関する状況は日々刻々と変わっています。
新聞やテレビなどからもたらされる情報に、気持ちが揺さぶられ、落ち着かない日々が続いていますが、程度の差こそあれ、大きな打撃を受け憂鬱になっているのは誰しも同じでしょう。
しかし長い人類の歴史は常に危機との戦いであったような気がします。
自然災害、飢え、病気の蔓延、戦争などなど挙げればきりがないほどです。
今も世界は依然予断許さない状況ですが、こんな時こそ正確な情報に基づいて、落ち着いて行動することが大切だと痛感しています。
さらに日々積み重なる不安や恐れは判断を狂わし、気持ちがネガティブになりがちですが、プラス思考で、心豊かに過ごす工夫をしてみてはいかがでしょうか。
加えて何かと不平不満が蓄積しがちですが、コロナの恐怖にも負けず、人々の安心・安全を守るために使命感に燃え、日々奮闘している人への感謝も大事です。
人類の歴史はまさに度重なる試練との戦いでしたが、その都度、人は英知を結集し、それらを果敢に乗り越えてきました。
生きるための勉強も積み重ね、様々な知識や知恵も身に付けました。
他者への思いやり、助け合い、支えあいの精神も育んできたはずです。
「明けない夜はない」とか、「春の来ない冬はない」とよく言われますが、瑞々しい新緑が野山に目立ち、緑の風が吹き抜け、夏の気配が感じられる絶好の季節です。
出来る範囲で野山の自然にも触れ、新鮮な空気をいっぱい吸い込んで、5月の瑞々しい「気」を味わい、心と体に潤いを与えて下さい。
ちなみに新茶の鮮やかな緑は《再生》の意味があります。
お茶でも頂きながら、季節と仲良く過ごすこともお勧めです。
さらに子どもがいる家庭では、柏餅とお茶で楽しい団らんのひと時を過ごすのもいいですね。
何かと窮屈な暮らしながらも、家族みんなで楽しく語らいながら、子どもの健やかな成長を祈ることにはとても大きな意味があると考えます。
「こんな時だから」こそ、ぜひ実行していただきたいものです。
ただしコロナ対策には万全を期してくださいね・・・。