マナーうんちく話604≪武士は食わねど高楊枝≫
日常生活でもビジネスの世界でも「しきたり」とは切っても切れない関係にありますが、では改めて「しきたり」とは何かに触れてみます。
耳にした口にすることは多々あります。
しかしいざ明瞭簡潔に「しきたり」の意味を説明せよといわれたら自信ない方も多いと思います。
このような言葉はなにかとおぼろげになりがちですが、平たく言えば「しきたり」とは「昔から(前々)からそのようにやってきていること」と認識したらいいでしょう。
よく似た言葉に「慣習」があります。
「しきたり」も「慣習」も明確な違いは辞書を引いてもよく理解できませんが、慣習は「いつもそのようにする決まりになっている」ことと微妙に表現が異なるようです。
神経質になることはないと思いますが、いずれも国や地域や家庭といった複数が関与しますが。
ちなみに生活の中で繰り返し行っていることを意味する「習慣」は、一個人にも使用できる言葉です。
前回「しきたり」は神道、仏教、キリスト教など宗教の影響が大きいと述べましたが、無神論者も多いと思います。
しかし日本で生活していれば、知人、友人、身内の人が結婚するとなると、紅白の水引に熨斗がついた祝儀袋にお金を入れてお祝いしたり、披露宴で鯛を食べたりすることは多いと思います。
また合格祝い・入学祝・長寿の祝い等で赤飯を焚くこともあるでしょう。
加えて葬式には黒い服で参列すると思います。
そもそも神道と仏教を信仰し、国土の7割以上が山林で覆われ、四季が豊かで、稲作を中心とした農耕文化で栄えた日本のしきたりは、神様や仏様、そしてご先祖様に対して、祈りをささげるとともに、感謝の気持ちを表すために、様々な行事を通じて伝わったものです。
従って「しきたり」とは、生活の営みとともに生まれた「祈り」や「感謝」と言っていいでしょう。
なにしろ現代のように科学には無縁の時代ですから、大風が吹いたり、雷が鳴ったり、大雪や大雨に見舞われるたびに、それらを鎮めるために祈りをささげたと思います。
次回に続きます