マナーうんちく話461≪手土産の頂き方≫
西洋は大陸続きで常に戦争の歴史を歩んできており、そんな社会環境の中で生まれたマナーは危機管理的要素が強いようです。
一方平和な社会背景から生まれた日本の礼儀作法は、「思いやりの心」が中心になります。
贈答を通じ、相手に対する思いやりの気持ちを、具体的に伝える文化が生まれるのも頷けます。
贈答の起源についてはのちに詳しく触れますが、物のやり取りを通じ、人間関係をより良好にする文化が芽生えたのではないでしょうか?
■贈答文化のしきたりと意義
《和》を特に大切にしてきた先人は、日本という風土の中で長年生き抜き、創意工夫を繰り返しながら、長年にわたり築き上げた生活の知恵が「年中行事」や「しきたり」です。
そしてスムーズな人づきあいを願って作られた「贈答文化」は、とてもユニークな伝承の生活文化として捉えることができるのではないでしょうか。
365日を謳歌する、素晴らしい手引書でもあると思います。
もちろんすべてのものが現在に役立つものではなく、また心地よいものでもないかもしれません。
加えて既に消え去ったものも多々あります。
またマナーは不易流行的側面を有しているので、時代の流れとともに大きく形を変えたものもあります。
このような経過を経て現在まで脈々と伝わっている贈答文化は、商業主義的要素が強いものの、それなりに意味や意義があるからではないでしょうか。
■先人が築いた贈答文化を楽しんでください
現在まで残っている贈答文化は、その意義や役割を正しく理解すればするほど、心を豊かにしてくれるものばかりだと考えます。
しかし謝った捉え方をすれば虚礼にもなりかねないでしょう。
特に物が豊かになり、全てのことが便利になったが、周囲との人間関係が希薄になった現在は、贈答文化の本音を知ることにより、生活がいきいきとし、心を豊かにしてくれるでしょう。
過去の遺物として捉えるか、一年365日を豊かに彩る生活の知恵と捉えるかは雲泥の差があります。