マナーうんちく話138≪贈り物を渡す時のマナー≫
【水引の色】
水引の色にはいろいろありますが、大きく分けて慶事用と弔事用になります。
最も多いのは「赤と白」で慶事全般に使用されます。
これにはいろいろな説があるようですが、室町時代に日本は明国と貿易をしており、祝い事の進物用に日本の役人が明に品物を発注しました。
明は日本に輸出する品物に、他の商品と区別するために紅白の紐を付けました。
その紅白の紐が付いた品物を受け取った日本の役人は勘違いして、祝い事には紅白のひもをつけると思ったわけです。
そして江戸時代になって、祝い事が紅白なら、弔事は黒白がいいのではとなったようです。ほかにも色の組み合わせがあるので触れておきます。
〇白赤⇒慶事全般。儀式にも使用できます。
〇金銀⇒結婚祝いや長寿の祝い
〇白黒⇒仏式の香典など弔事に多く使用されます。
〇白黄⇒仏事、法事等
〇双銀⇒弔事用に用います。
そして紐は自分でも結ぶことができますが、基本は濃い色が右に来るようにしてください。
最後に水引を使用する慶事の祝い品や、お歳暮のような儀礼的な贈答品には右側に「熨斗(のし)」をつけます。
「熨斗」は「あわび」をたたいて伸ばした「のし鮑」のことですが、祝い事がいつまでも続くようにとの願いを込めています。
つまり「引き延ばす」という意味があるので、病気見舞いや弔事にはお勧めできません。
ではなぜ鮑なのでしょうか。
和食、洋食、中華でも鮑は高級食材で美味とされていますが、一番の理由は鮑が長寿だからです。
さらに、ここで「祝儀」にふれておきます。
祝儀とは祝いの儀式で、「結婚祝いや出産祝い」を意味する場合と、「お祝いごとに贈る贈り物や金銭」を意味することもあります。
本来は紙で包み、水引をかけ、熨斗を付けるわけですが、心づけやチップの意味でも用いられるケースもあります。
祝儀袋というものがありますが、お年玉や心づけに用いられます。
なお慶事の「表書き」は濃い墨で書くのがお勧めですが、筆ペンでもいいでしょう。
【リボン】
日本の水引に対して西洋には「リボン(ribbon)」の文化があります。
リボンの歴史も古く、古代ローマから広く使用されてきたようですが、日本に伝わったのは明治維新以後です。
もともと日本は贈り物が盛んな国ですから、普及するのも早かったと思います。
加えて水引や熨斗にくらべ、厳格なマナーもないようですから、なじむのも簡単だったと思います。
用途は「品物のラッピング」を始め、「頭髪を結ぶ」「来賓の胸章」、さらに「テープカット」にも利用され、何かと便利がいいようですね。
【水引とリボンの決定的な違い】
品物を贈る際、水引をかけるか、リボンにするか、真心がこもっていればどちらでもいいようですが、水引とリボンには決定的な違いがあります。
リボンは「結んで解くこと」を前提としていますが、水引は基本的には固く結んで解けないようにして末永い交流を目的としています。
贈る目的、贈る相手、贈る品物の内容等に応じて臨機応変に対応してください。