マナーうんちく話2231《幸せを呼ぶ挨拶の心得と作法《和顔愛語 先意承問》
【大切にしたい食前・食後の挨拶】
日本には食前、食後に「いただきます」「ごちそう様」の美しい挨拶があります。
何度も触れましたが「いただきます」は魚や卵や動物や野菜等の食材に対する感謝の言葉です。
稲作を中心とした農耕文化で栄えた日本は、何事も米と密接な関係があります。
その昔、米が豊作になるように、神様のお好きな酒や魚介類や野菜などをお供えして神事を執り行います。
そして神事が終われば、お供えした食べ物を参加者が食すわけですが、神様にお供えした物をもらって食べるわけですから、「もらう」「食べる」の謙譲語である「いただく」になったのでしょうね。
一方「ごちそう様」は「ご馳走様」で、料理を作ってくれた人への感謝の言葉です。
走り回って食材を調達し、真心をこめてそれを調理してくれた人への感謝と尊敬の気持ちを込めて「様」をつけました。
昔は馬に乗って狩りをして食べ物を調達していたのでしょうね。
ところで、「いただきます」「ごちそう様」の言葉を発する時に「合掌」、つまり手を合わせますか?
ある調査によると「いただきます」「ごちそう様」の言葉と同時に合掌する人は約6割、言葉だけの人は3割で、残りの人はそのまま食べるそうです。
手を合わすことは神社やお寺にお参りする時にも行いますが、確かに心が清らかになりますね。
食前食後の挨拶をする際の合掌は「自分の命」と「食材の命」を合体するという意味ではないかと思います。