マナーうんちく話499≪習慣は第二の天性なり≫
江戸時代に日本を訪れた多くの欧米人は、日本の「貧しくても幸せそうな光景」を眼のあたりにして大きな感銘を受けたと言われます。
日本人は、四季が美しく平和な社会背景の中、自然と共生しつつ、農業に勤しみ、常に礼儀正しく、謙虚であるけど凛とした主体性を維持してきました。
だから今でも、世界中の人々から好かれているのではないでしょうか?
最近日本文化が改めて見直されています。
日本の多種多様な文化を学び、礼儀作法や幅広い教養を身に付け、自分磨きに励む人が増えたことは喜ばしい事です。
反面、日本の伝統的な事を何も知らなくて、プライベートやビジネスシーンで恥をかいたり困ったりする人もいます。
例えば、ハロウィーンイベントでカボチャの存在は殆どの人が知っていますが、「冬至」とカボチャの関係はあまり知られていません。
キリストの誕生日を祝う人は大勢いますが、お釈迦様の誕生日を祝う人は殆どいません。誕生日さえ知らない人が多いのではないでしょうか。
それでいて、葬儀は殆どの人が仏式スタイルで執り行います。
まだあります。
日本人にとって最大の行事である大晦日や正月の迎え方や過ごし方にも、カウントダウンイベント等が流行し、大きな変化が見られ始めました。
そして最も気になるのが「和食」の知識や食べです。
ミシェランガイドが絶賛し、ユネスコの世界無形文化遺産に登録された和食は、季節性や食材の豊富さもさることながら、優れた精神文化を有し、世界から大きな注目を浴びています。
しかし残念ながら世界が認めた価値と、日本の実体は大きく異なっています。
「祝い箸」や「割箸」に込められた文化や年中行事等の関わりは殆ど知られていません。
日本は、「物質的には豊かですが幸福度は高くない」理由が、この当たりに潜んでいる気がしてなりません。
ひとえに今を生きる大人の責任です。
まして「子は親の背中を見て育つ」とか、「雛鳥は親鳥の通りにさえずる」と言われますので、次世代への責任は重大です。
子どもに正しい箸使いをキチンと教えれば、「いじめ」に走る子は確実に減ると思います。
しかし、正しく箸が使えない大人が多すぎます。
世界一「飽食の国」「美食の国」になり久しいですが、自国の食文化に精通している人がどれくらい存在するのでしょうか・・・。
本当に由々しきことだと考えます。
これほど自国の食文化が危うくなっている国が本当にハッピーになれるのか?
甚だ不安に思うわけですが、如何でしょうか?
「思いやりの心」「おもてなしの心」「より良く生きる知恵」が凝縮されている「和の礼儀作法」や「和食のマナー」を正しく理解し、自分も素敵に輝き、次世代にも伝え、そして国際化が進展する中、世界にも発信したいものです。