マナーうんちく話1084《「延喜式」と「忌中」と「喪中」と「喪中はがき」》

平松幹夫

平松幹夫

テーマ:弔事のマナー

地球上では1年間に7000万人くらい人口が増えているそうですが、日本は超高齢化と少子化が同時に進行しているので、産まれて来る子どもより高齢のため亡くなる人の方が多い国です。

つまり「少子多死社会」に陥っているわけで、死と向かい合って行かなくてはいけません。また、身近で葬儀を経験する機会も多くなってきます。

しかし、このようなことは学校で学習することなく、社会人になるので、解らないことが多く、ともすれば見よう・見まねになりがちです。さらに自信が無ければ、とかく人のことが気になるものです。

正しい知識を身に付け、自分なりの考えを持つことが大切だと思います

ところで、平安時代中期に編纂された律令の施行細則である「延喜式」をご存知でしょうか?

後醍醐天皇の命を受け藤原時平らが延喜5年(905年)から編集に着手したから延喜式と呼ばれますが、1巻から50巻、約3300条からなります。

ここで色々なことが規定されているわけですが、人の死の穢れの期間は49日と定められております。

そしてその期間中は、遺族は他の人との接触を避け、行動を慎まなければいけないとされています。
これがいわゆる「忌中」です。

これに対して、49日が過ぎれば「喪中」になり、主体的に故人のために行動を慎むようになります。忌中よりはるかに拘束がゆるやかになり、喪に服さないからと言って、人に後ろ指を指されることもありません。

忌中・喪中の根拠は以上のようなものですが、現在では非常にあいまいで、捉え方も人それぞれでしょう。

但し、忌中は結婚の祝い等は差し控えますが、喪中については必ずしもそうではないと私は考えます。
年賀状しかりです。

マナーは法律ではないので、「このようにしなければなりません」というような、ルールとしての正解は有りません。

国々の文化、歴史、国民性、食べ物、宗教等にも異なるし、不易流行的な側面もあります。

喪中葉書を出す、出さないは自由で、絶対的なものでもないし、年賀状のように「マナーの根拠」も明確ではありません。

しかし、世間の多くの人が「喪中は年賀状を出さない」と捉えているのであれば、それに従うのもありかなと思います。

現に殆どのマナーの書物等を見ても、喪中期間は年賀の挨拶は控えるのが常識となっているようですね。いずれにせよ、忌中と喪中の違いを理解したうえで、故人との関係、亡くなられてからの期間等を考慮して、自分なりに判断したらいいと思います。

既に触れましたが、日本には約81000社の神社があり、約76000の寺院があります。コンビニよりはるかに多いわけですね。

人口は約12700万人ですが、檀家と氏子を合わせれば2億人を超えます。
つまり殆どの日本人は仏教にも神道にもかかわっているということです。

そのような国が、結婚式は過半数のカップルがキリスト教スタイルで行います。加えて、クリスマスのイベントはキリスト教国より早くから取り組み、とても盛大に繰り広げます。今やハロウイーンのイベントしかりでしょう。

それでいて、喪中葉書に執着するのもおかしな現象だと思いますが如何でしょうか?

経済効果のみで考えると納得しますが、他にももっと真剣に考えなければいけない面があると思うにですが・・・。

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平松幹夫
専門家

平松幹夫(マナー講師)

人づくり・まちづくり・未来づくりプロジェクト ハッピーライフ創造塾

「マルチマナー講師」と「生きがいづくりのプロ」という二本柱の講演で大活躍。「心の豊かさ」を理念に、実践に即応した講演・講座・コラムを通じ、感動・感激・喜びを提供。豊かでハッピーな人生に好転させます。

平松幹夫プロは山陽新聞社が厳正なる審査をした登録専門家です

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