マナーうんちく話521≪お心肥し≫
孫子の兵法に、「彼を知り、己を知れば、百戦危うからず」と言う言葉があります。
敵についても、味方についても、情勢をしっかり把握しておけば、何回戦っても負けることは無いと言う意味です。
「彼=敵」ですが、敵の長所・短所も、味方の調所・短所を見極め、互いの実力や現状を正しく把握すれば、攻めるべきか?退くべきか?等の判断がつくと言うことで、兵法の書としては、古今東西最も信頼されている言葉です。
兵法に限らず、あらゆる人間の活動において、相手を知り、自分を知ることは非常に重要な基盤になります。
人と人との交流においては、人を理解することが大切ですが、人が人を理解することはたやすいことではありません。
本当に人を理解するには、先ず自分を理解することです。
現在は高度に発達した情報化時代ですから、相手の情報は比較的たやすく入手できます。
しかし、自分のことを理解することは、本当は難しいことですね。
謙虚になって過少評価しても、あるいはお高くとまって過大評価してもいけません。
どんな所で生まれ育ち、どんな人達と学生時代を過ごし、どん仕事に付いているか? そこでどんな思想を抱き、どんな価値観を形成してきたか?
何が得意で何が不得意か?何が好きで何が嫌いか?
自分の過去を振り返ってみるのもお勧めです。
そして意識的に自分の属性や、心理状態等ありのままの自分について、きちんと理解して下さい。
特に自分自身の「本当の能力」を知っておくことは大切です。
悪い面のみならず、出来れば長所を正しく理解するよう心がけて下さいね。
では、自分のことを、自分で褒めることが出来ますか?
人と良好な人間関係を築くポイントは、相手の良い所を理解して、それを具体的に褒めることです。
しかし、人の良い点を褒めるには、先ずは自分の良い点を、自分で褒めることが大切です。
たとえ人が評価してくれなくても、自分が自分の事を納得できればいいと思います。
自分を褒めることが出来る人は幸せです。
自分を褒めている姿は、はたから見ても気持ちいいものです。
では人前で、自分の伴侶や家族を褒めますか?
日本人は、自分の妻をあえて「愚妻」等と表現するのが奥ゆかしいと思われている面がありますが、私は好きではありません。
愚妻や愚息の意味は、妻や息子が愚かな意味ではなく、愚かな自分の妻や息子を意味する言葉で、自分をへりくだった言い方でしょうが、非常に紛らわしく、違和感を覚えます。
自分をへりくだるのも本当は非常に難しいわけです。
だったら素直に前向きの表現した方が良いのでは?と考えます。
人前で、自分の伴侶や家族の悪い点を愚痴るのではなく、良い点を褒めることが出来ればいいですね。
それを聞いて、どう感じるかは、その人次第ですが、きっといい気持になる人の方が多いと思うわけですが、如何でしょうか?