マナーうんちく話683《呑舟の魚枝流に泳がず》

平松幹夫

平松幹夫

テーマ:日常生活におけるマナー

寒い日が続いていますが、次第に厳しい寒さが弱まり、水が温み、今まで降っていた雪が雨になり、氷が溶け始めて来る頃です。

つまり、この時期は雪と雨の分かれ目の頃でもありますが、雪と雨が一緒になった「みぞれ」の降る頃でもあります。

2月19日は二十四節季の一つ「雨水(うすい)」です。
春の気配に草木の芽が出始めるので、昔から雨水は農耕の準備に取り掛かる目安になっていました。

かれこれ四十年くらい前になりますか、キャンディーズの大ヒット曲「春一番」に、「雪が解けて川となって流れていきます」という歌詞がありますが、山の雪が解けて、田や畑を潤す雪解け水の事を「雪消の水(ゆきげのみず)」といいます。

さらに、花や草木を潤すこの頃の雨は「養花雨(ようかう)」と呼ばれます。
また、雨水から春先にかけての「催花雨(さいかう)」と呼ばれる雨も有ります。
先人の、花咲く春を待ちわびる気持ちが伝わってくる素敵なネーミングですね。

雪消水、養花雨、催花雨にせよ、うららかな日差しの中、雪の合間を勢いよく流れる様は、私たちに元気を与えてくれそうです。
大きな希望を持って、元気に歩み始める時期でもあるということでしょうか?

「呑舟の魚は枝流に泳がず」と言う言葉があります。

呑舟の魚とは、船をも飲み込む程大きい魚の事で、そのような魚は本流にいるもので、枝流にはいないと言う意味です。
枝流とは大河の支流の意味です。

つまり、人生における目標は、大きければ大きいほど良いと言う意味です。
すぐに叶う小さな目標で有れば、努力しないで済むので、それに甘んじてしまい宜しくないと言うことですね。

大きな目標で有れば、常に努力が必要で、たとえ100%叶わなくても、それなりの所までは到達できると言う意味です。

そして、この諺には、さらに大切な意味があります。
大きな目標を立てれば、それなりに環境を整えることが大切である!と言うことです。

枝流に紛れ込んでは元も子も有りません。
常に目標から目をそらさないことが大切ですね。

加えて、呑舟の魚を大モノの人物とみることもできます。
大モノは小モノとは関わらない。すなわち、小さな事にはメソメソしないで、いつも堂々としている人でしょうか。

大衆をリードする人や世の中を動かす人、歴史上の人物に例えれば、小田信長、豊臣秀吉、徳川家康のような人で、大きな目標を掲げ、それを成し遂げるために綿密な計画を練れる人のことです。

人生の一こまにおいて、大きな目標を持つのもお勧めです。
焦る必要はありません。
ゆっくりでも良いですが、立てた目標から目を離さないようにして下さいね。

とはいっても、世の中、大志を抱いている人は、そんなに多くはないと思います。ひと年重ねればなおさらです。

目標は、幾つ歳を重ねても有った方がいいと考えますが、大きな目標ではなくても、実現可能な目標を立て、着実にこなしていくのも手ではないでしょうか。

大きくても、それなりでも、立てた目標に向かって、綿密な計画を練り、それが達成できるように努力を怠らないことが大切ですね。

たとえ、目標が達成できなくても、自分を振り返り、反省すべき点は謙虚に反省し、それを次に生かせばいいと考えます。

大きな目標、小さな目標、人それぞれですが、「雨水」はこれから明るい兆しへとなびく縁起のいい日です。身も心も元気で歩んで下さいね。




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平松幹夫
専門家

平松幹夫(マナー講師)

人づくり・まちづくり・未来づくりプロジェクト ハッピーライフ創造塾

「マルチマナー講師」と「生きがいづくりのプロ」という二本柱の講演で大活躍。「心の豊かさ」を理念に、実践に即応した講演・講座・コラムを通じ、感動・感激・喜びを提供。豊かでハッピーな人生に好転させます。

平松幹夫プロは山陽新聞社が厳正なる審査をした登録専門家です

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